まいにちポップス(My Niche Pops)

ただただ毎日好きな曲を聴いて気持ちを整えることで、なんとか人生をやってきた筆者が、古今東西のポップ・ソングを、意外なエピソード、マニアックなネタ、拙い対訳、勝手な推理、などを交えて紹介していきます。みなさんが音楽を楽しむときにほんの少しでも役に立つことがでたらうれしいです。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ハンドバッグと外出着 (Handbags and Gladrags)」ロッド・スチュワート(Rod Stewart)(1969)

 おはようございます。今日はロッド・スチュワートの「ハンドバッグと外出着 (Handbags and Gladrags)」です。

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Ever seen a blind man cross the road
Trying to make the other side?
Ever seen a young girl growing old
Trying to make herself a bride?

So what becomes of you my love
When they have finally stripped you of
The handbags and the gladrags
That your grandad had to sweat so you could buy?

Once I was a young man
And all I thought I had to do was smile
You are still a young girl
And you bought everything in style
Listen

But once you think you're in, you're out
'Cause you don't mean a single thing without
The handbags and the gladrags
That your grandad had to sweat so you could buy

Sing a song of six-pence for your sake
And take a bottle full of rye
Four and twenty blackbirds in a cake
And bake them all in a pie

They told me you missed school today
So what I suggest you just throw them all away
The handbags and the gladrags
That your poor old granddad had to sweat to buy

They told me you missed school today
So I suggest you just throw them all away
The handbags and the gladrags
That your poor old granddad had to sweat to buy ya, baby
Bye, bye

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目の見えない人が、
向こう側に行こうとして
道を横切っているのを見たことがあるかい?

若い女性が
花嫁になろうとしていながら
年老いていくのを見たことがあるかい?

それじゃあ、僕の愛しい人、
君はどうなってしまうんだろう?
いつか人々が最後に君から、
ハンドバッグやよそ行きの服を
すべてはぎ取ってしまったら
それを買えるようにと
君のおじいさんが汗水流して働いてくれたのに

かつて僕は若僧だった
ただ微笑んでいればいいと思っていた
君はまだ若い娘さ
おしゃれなものは何でも手に入れてきた

聞いてくれ

だけど、君が流行に追いついたと思った時には、
もう時代遅れになっているんだ
なぜなら君には一つとして意味がないのだから
おじいさんが汗水流して働かなくては君には買えなかった
そのハンドバッグとよそ行きの服がなかったら

君のために「6ペンスの唄」を歌おう
そしてライ麦酒をいっぱい詰めた瓶を持ってこよう
ケーキの中の24羽の黒ツグミ(クロウタドリ)
みんなまとめてパイに入れて焼こう

君は今日学校をサボったんだってね
だから僕から言わせてもらえば
そんなものは全部、捨ててしまえばいい
ハンドバッグや、お洒落な服なんて
君の気の毒な年老いたおじいさんが、
君に買わせようと汗水流して働いたものだけど

君は今日学校をサボったんだってね
だから僕から言わせてもらえば
そんなものは全部、捨ててしまえばいい
ハンドバッグや、お洒落な服なんて
君の気の毒な年老いたおじいさんが、
君に買わせようと汗水流して働いたものだけど

ベイビー、さよならさ        (拙訳)

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 Gladrags。この曲を聴いて初めて知った単語でした。パーティーとか、ここぞ、という特別な機会できる、お洒落な晴れ着、勝負服といったものを指すスラングなんですね。

 この曲はロッド・スチュワートのデビュー・アルバム「ロッド・スチュワート・アルバム(An Old Raincoat Won't Ever Let You Down)」(1969)に収録されていて、1972年にシングルになると全米42位まで上がっています。本国イギリスではヒットはしていなかったようです。

 僕はリアルタイムでは知らなくて、彼が1993年に出したMTVのライヴ・アルバム「アンプラグド(Unplugged...and Seated)」で初めて聴いてすごくいい曲だなと思いました。

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 ちなみにこの曲を最初に歌ったのはロッドではなく、クリス・ファーロウでした。ミック・ジャガーとキース・リチャードが提供した「アウト・オブ・タイム」などで知られるシンガーですね。彼が1967年にこの曲を発売しています。

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 彼の次にカバーしたのは「エヴァーラスティング・ラブ」で知られるラヴ・アフェアー。ロッドは3番目のリリースでした。

 

 この曲を書いたのはマイク・ダボ(Mike D'Abo)。彼は1960年代のイギリスを代表するロック・グループの一つ、マンフレッド・マンで、ポール・ジョーンズの後釜としてリード・ボーカルを担当していた人です。

   「ハンドバッグと外出着 (Handbags and Gladrags)」は流行を追いかけておしゃれすることに夢中になる若い女性に忠告する歌ですが、彼は最初からそういう曲を作ろうとしていたわけではなかっんですね。

 曲を作るきっかけになったのはジミ・ヘンドリックスの「The Wind Cries Mary」。その中のソロにはカントリー風のギターフレーズがあって、そのフレーズが数か月間頭から離れず、そこからまずインストゥルメンタルのリフを作った、と本人は語っています。

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 彼は自分の実力以上のものを生み出そうとしているんだなと感じたそうですが、しかし諦めずに続けていると、

 不意に

Ever seen a blind man cross the road
Trying to make the other side?

と歌っている自分に気づき、そして、

Ever seen a young girl growing old
Trying to make herself a bride?

という歌詞も浮かんできて、そこからこれは何を歌っているのだろうと、考え始めたそうです。

 彼はこう語っています。

「明らかにインスピレーションが湧いてきたのです。インスピレーションは、自分がより高次の自己と繋がっていて、今この瞬間にいて、何か素晴らしいことが起こっていると感じている時に確かに存在するものです」

 彼は韻を踏むことにとても興味があったそうで、Handbags、Glandrags、Granddadsといった言葉はあくまでも”韻”優先で選んでいったんですね。

「多くの人は私が孫娘について書いたと思うでしょうが、私がこの曲を書いたのはまだ22歳だったんです!私は、流行のアクセサリーを身につけて、もう成功したと思っている女の子に説教していたのですが、私が言いたいのは、人生を生き抜くには物質的なもの以外にも必要なものがたくさんあるということです。『早く大人になりすぎないで』と言いたかったのでしょう。そんなイメージが頭に浮かんだとき、私は書き続け、自分が何か特別なことをしていると感じました。私の内なる声が、まだ私を導いてくれていたのです。」

 彼はテクニカルに作為的にコントロールしながら曲を作ったのではなく、湧いてくるインスピレーションに導かれるように作っていった結果、自分も思ってもいなかったような作品ができたということです。

 この歌詞の中で日本人にはよくわからないのが、君のために「6ペンスの唄」を歌おう、、、のくだり。これはマザーグースに「6ペンスの唄」というのがあります。

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Sing a song of sixpence,
A pocket full of rye.
Four and twenty blackbirds,
Baked in a pie.
When the pie was opened
The birds began to sing;
Wasn't that a dainty dish,
To set before the king

The king was in his counting house,
Counting out his money;
The queen was in the parlour,
Eating bread and honey.
The maid was in the garden,
Hanging out the clothes,
When down came a blackbird
And pecked off her nose.

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六ペンスの唄を歌おう
ポケットいっぱいのライ麦
パイに焼かれた
二十四羽のクロツグミ

パイを開けてみると
鳥たちが歌いだした
なんと素敵なごちそう
王様の前に出す

王様はお蔵で
お金を数えて
お妃様は居間で
パンと蜂蜜を食べている

女中は庭で
洗濯物を干していた
そこへクロツグミが舞い降りて
彼女の鼻をパチンとついばんだ

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 いったい何の歌なんだか?って感じですけど。パイの中のクロツグミというのは、中世からテューダー朝のイギリスやイタリアの宴会では、空洞のあるパイを焼いて、その中に鳥を入れて、食卓で切り開くと鳥が飛び出す、という趣向の「見世物料理」が実際にあったそうなんです。

 歌の解釈についてはいろいろあるようですが、「ハンドバッグと外出着」の場合、贅沢な暮らしのバカげた無意味さを皮肉るために引用したのかもしれません。

 

 曲を完成させたマイクはまずはマンフレッドマンのメンバーに聴かせたそうですが、メンバーはどうしたらいいか戸惑い、録音しませんでした。

 彼はロッドと繋がりがあったようで、ロッドがまだ全く無名だった頃にこの曲をやりたいって言ってきて、ただその時はすでに彼はクリス・ファーロウとレコーディングしていました。それから1969年にロッドがソロ・アルバムの契約ができるとまたマイクのところに来てこの曲をやりたいといってきたそうです。そして、マイクがプロデュースとアレンジも手がけたのが最初にお聴きいただいたヴァージョンだったということです。ロッドは本当にこの曲が気に入っていたことがわかるエピソードです。

 

参考:

https://www.songwritingmagazine.co.uk/interviews/handbags-and-gladrags-mike-dabo

 

 この曲は2008年にステレオフォニックスがカバーしたことで再注目されました。

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 マイク本人も何度もこの曲をセルフカバーしていますが、このヴァージョンが一番最初に彼がアレンジしたロッドにヴァージョンに近いようです。最後にそちらを。

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