まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「SET ME FREE」ユートピア(1979)

 おはようございます。

    今日、ピックアップしたのは、素晴らしい名曲を数多く持つソングライターにして、プロデューサー、マルチプレイヤーでもある奇才トッド・ラングレンが組んだバンド、ユートピアの「セット・ミー・フリー」です。

 


Utopia - Set me Free

 

 ”僕を待たせる理由なんてない

  僕のことはあきらめて、僕は行くよ

  さあ問題を整理して   僕という人間にも権利はある

  もし君のプランに僕が合わないなら 僕を自由にしてくれ

 

  だけど君は僕が自由になるのを拒むんだ

  僕の要求を却下するんだ

  僕を厳重に管理してさ

  僕はただ自由になりたいんだ 僕を自由にしてくれ

 

      君は僕が言うことを気にも留めなかった

   自分がやりたいようにやりたかったそれだけの理由で

      僕はスーパーマンじゃないんだ もし君がそれを求めるなら

   僕を自由にしてほしい

 

  僕をどうか解放してもらえないかな

       君は僕を傷つけることで楽しんでいるんだよ

       もしこれからもこんな感じなら

  ただ自由にしてほしい 解放してほしいんだ

 

  僕が猛烈に怒ったって当然だろ

  だってわけがわからないから

  君の手の中に 倒れるために身を置くよ

  だけど 辞めはしない

 

  僕たちの過ごした時間は無駄だったようだ

    遅かれ早かれ、さよならを、言うことになるよ

  だって君は気にもかけないから

  だから別のヤツを見つけて 僕を解放してくれ

 

    だけど君は自由にするのを拒むんだ

    僕の要求を却下するんだ

    僕を厳重に管理してさ

    僕はただ自由になりたいんだ 僕を自由にしてくれ

 

  僕をどうか解放してもらえないかな

       君は僕を傷つけることで楽しんでいるんだよ

       もしこれからもこんな感じなら

  ただ自由にしてほしい 解放してほしいんだ   ”  (拙訳)

 

 

 このユートピア最大のヒット曲を書いたのは、トッド・ラングレンではなく、ベースのカシム・サルトンでした。

 彼はこう語っています。

「トッドが書くポップ・ソングもぼくとすごく似たテイストなんだよ。しかもソングライターとしては彼のほうが優れているから、どうしても競争が激しくなるし、これだ、とも言ってもらえない。でも<セット・ミー・フリー>の時は、トッドもある程度認めてくれて、アルバムに入れようと言ってくれたんだ」

 

  関係が終わっているはずなのにずっと束縛してくる女性に対して僕を自由にしてくれ(SET ME FREE)と懇願している歌のようにも聴こえますが、実際はもめていたレコード会社に対してカシム・サルトンが、契約から解放してくれという気持ちで作ったものということです。

 

「ぼくはソロのレコードを作りたくてウズウズしていた」

「でもアルバートグロスマン。レーベルの社長)は時期尚早だと考え、僕のデモの出来もまだまだだと思っていた。まず彼を儲けさせてからじゃないと、とても僕を離してくれそうになかった。だから<セット・ミー・フリー>は契約を解除してくれという、ある種、怒りの曲なんだ」

     (ポール・マイヤーズ「トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代」)

 

 なるほど、そういう視点で歌詞を見直すと、完全にそうですね。

 

  ちなみに彼が作りたかったソロ・アルバムは1982年にリリースされています。そのアルバムから最後に1曲。


Someone to Love // Kasim Sulton

 

Set Me Free

Set Me Free

 

 

Adventures In Utopia

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