まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ハロー・グッドバイ(Hello Goodbye)」ザ・ビートルズ(1967)

   おはようございます。

    1967年のビートルズをもう一曲。「ハロー・グッドバイ」です。


The Beatles - Hello, Goodbye

You say yes, I say no
You say stop and I say go go go
Ooh no


You say goodbye and I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello


I say high, you say low
You say why and I say I don't know


You say goodbye and I say hello
(Hello, goodbye, hello, goodbye) Hello, hello
(Hello, goodbye) I don't know why you say goodbye, I say hello
(Hello, goodbye, hello, goodbye) Hello, hello
(Hello, goodbye) I don't know why you say goodbye, I say hello
(Hello, goodbye)


Why why why why why why do you say goodbye?
Goodbye, bye bye bye bye
Oh no


You say goodbye and I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello


You say yes (I say yes)
I say no (But I may mean no)
You say stop (I can stay)
And I say go go go ('Till it's time to go)
Oh, oh no

You say goodbye and I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello
Hello, hello
I don't know why you say goodbye, I say hello, oh, oh
Hello
Hela, heba helloa,,,

 

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君はイエスと言い、僕はノーと言う
君はストップと言うと僕は言う、ゴー、ゴー、ゴー
ああ、なんてことだ


君はグッバイと言うと僕はハローはと言う
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか


僕は高いと言い、君は低いと言う
君はなぜと言い、僕はわからないと言う


君はグッバイと言い、僕はハローと言う
(ハロー、グッドバイ、ハロー、グッドバイ) ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
(ハロー、グッバイ、ハロー、グッバイ)ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
(ハロー、グッドバイ)

なぜなぜなぜなぜ君はグッバイと言うの?
グッバイ、バイバイバイ オーノー

君はグッバイと言い、僕はハローと言う
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか


君はイエスと言う(僕はイエスと言う)
僕はノーと言う(だけど、ノーという意味かも)
君はストップと言う (僕はここにいれる)
そして僕は言う、ゴー・ゴー・ゴー(行かなきゃならない時間までは)
ああ、なんてことだ

君はグッバイと言い 僕はハローと言う
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
ハロー、ハロー
僕にはわからない、なんで君がグッバイと言って、僕がハローと言うのか
ハロー

                        (拙訳)

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 ”BEATLES MUSIC HISTORY"というサイトの「ハロー・グッドバイ」の記事はこんな一文で始まっています。

 

 ”1967年にビートルズが解き放った音楽的進化に対して、世の中の誰も準備ができていなかった”

 

 やはり、この年のビートルズの進化はそれだけ劇的なものだったわけです。

 

    同じ年に、かつてのビートルズのイメージを狙って作られた”アメリカ版ビートルズ”のモンキーズが大ブレイクしたのですが、本家ビートルズの方はとんでもない跳躍を見せて全く違うステージに上がっていってしまいました。

 

 そのためビートルズモンキーズは全く競合せずにそれぞれが成功し、結果的にその時代のポップ・ミュージックに大きな幅や奥行きが生まれたのではないかと僕は推測しています。

 

 そこに、アソシエーション、フィフスディメンション、スパンキー&アワ・ギャング、ハーパーズ・ビザールなどのコーラス・グループが質の高いポップスを送り出し、バリエーションが一段と豊かになっていったわけです。

 

      さて、この「ハロー・グッドバイ」ですが、その1967年の年末にアメリカとイギリスのチャートで1位を独走した、まさにその年のトリを飾った曲です。

 

  キミと僕が反対語を言い合うというなんともシンプルな歌です。そのために、今に至るまで不当に(?)軽視され続けている曲のような気がします。

 

    かつてジョン・レノンがインタビューでこの曲をこき下ろしていましたし、「ローリングストーン」誌がビートルズの楽曲をランキング付けしたときは、なんとこの曲は”100位”でした。

    

   ちなみにこの曲は、ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインの個人アシスタントだったアリスター・テイラーがポールの自宅を訪れた時に曲作りはどうやってやるのか尋ねたので、ポールが試しに一緒に曲を作ってみようと言い出し、ハーモニウムに座って無作為に音を出しながら、お互い反対語を言い合うというセッションを行ったそうで、それがきっかけとなって出来上がったと言われています。

 

 ゲームのようなやり方で自然とメロディが湧き上がってくる、いかにもポールならでは、という気がします。

 

 当然、出来上がった曲、時に歌詞がシンプルなものだったわけですが、クリエイティヴィティが最高潮だったビートルズは、アレンジ、レコーディングの実験的技法を駆使して、他のアーティストが真似できないような楽曲に仕上げたわけです。

 

 歌詞が他愛のないものだったからこそ、かえって、自由に楽しむようにレコーディングでき極上にキャッチーな仕上がりになった、という側面もあったんじゃないかと僕は推測しています。

 

    そして、大衆がついていけないほどの急激な進化を見せた当時のビートルズですが、大衆にわかりやすい曲というのはやはり必要で、そのニーズに答えたのがこの曲で、アメリカではモンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」を蹴落として3週間1位、イギリスではなんと7週連続1位を記録しています。

 

 この当時の他のヒット曲と比較して見ると、サウンドや曲の構成などトータルのクリエイティビティは、他のアーティストには決して届かない”遥かな高み”にある、そんなことを実感できる楽曲だと思います。彼らのレパートリーの100位に甘んじる曲では断じてない、と僕は思うのですがどうでしょう。

 

    さて、1967年というのは音楽史的には決してポップスの黄金時代とはされていません(僕が黄金期だと騒いでいるだけです、、)。ロックではジミヘン、ドアーズ、ジャニス、グレイトフルデッドなど商業的ポップスとは真逆のベクトルのアーティストが台頭してきました。

     しかし、そこでポップスは衰退せず、独自の進化を見せた、大げさに言えば百花繚乱の年だったように思います。

     そこでイニシアチブをとったのが、ビートルズ。厳密に言えばポール・マッカートニーです。

    この時期のビートルズの作品は、それまでの主流だったプロデューサーとソングライターチーム、そして百戦錬磨のスタジオミュージシャンによるヒット曲生産工場スタイルでは決して作り得ないものでした。いくら才能が集まっても、システマティックな分業する制作では絶対に作ることのできない"自作自演の世界"の力をこの頃のビートルズは音楽シーンにまざまざと見せつけたわけです。

     そして、この後シーンは自作自演アーティストが完全に主流になっていくのです。

    

      

 最後に2010年にNHKの番組で、YMOがこの曲をカバーした映像がありますので、そちらを。

www.youtube.com

 

Hello, Goodbye

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