まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ハロー・グッドバイ(Hello Goodbye)」ザ・ビートルズ(1967)

   おはようございます。

    1967年のビートルズをもう一曲。

 ”BEATLES MUSIC HISTORY"というサイトの「ハロー・グッドバイ」の記事はこんな一文で始まっています。

 

 ”1967年にビートルズが解き放った音楽的進化に対して、世の中の誰も準備ができていなかった”

 

 やはり、この年のビートルズの進化はそれだけ劇的なものだったわけです。

    同じ年に、かつてのビートルズのイメージを狙って作られた”アメリカ版ビートルズ”のモンキーズが大ブレイクしたのですが、本家ビートルズの方はとんでもない跳躍を見せて全く違うステージに上がってしまいました。その結果、その時代のポップ・ミュージックに大きな幅や奥行きが生まれたのではないかと僕は推測します。

 そこに、アソシエーション、フィフスディメンション、スパンキー&アワ・ギャング、ハーパーズ・ビザールなどのコーラスグループが質の高いポップスを送り出し、バリエーションもどんどん豊かになっていったわけです。

 

      さて、この「ハロー・グッドバイ」ですが、その1967年の年末にアメリカとイギリスのチャートで1位を独走した、まさにその年のトリを飾った曲です。

 

  "キミがイエスと言うと、僕はノーと言う

  キミがストップと言うと、僕はゴー"

 

  キミと僕が反対語を言い合うというなんともシンプルな歌です。そのために、今に至るまで不当に(?)軽視され続けている曲でもあります。

    かつてジョン・レノンがインタビューでこの曲をこき下ろしていましたし、「ローリングストーン」誌でビートルズの楽曲をランキング付けしたときは、なんと100位でした。

    

   ある時ポールが ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインの個人アシスタントだったアリスター・テイラーに一緒に曲を作ろうと持ちかけて、彼にオルガンで無作為に音を出させて、反対語を言い合うというセッションを行ったみたいで、それがきっかけになったそうです。

 

    大衆がついていけないほどの急激な進化を見せた彼らですが、ビジネス的には大衆にわかりやすいヒットがやはり必要で、それに答えるという意義もこの曲にはあッタように僕は思います。

   歌詞とメロディーは大衆にわかりやすいところへ持っていきながら、サウンドや構成などトータルのクリエイティビティは、他のアーティストには決して届かない”遥かな高み”にある、そんな曲のように僕には思えます。   

 

    世の中には"ビートルズ風"のエッセンスを意図的に取り入れた曲というのは星の数ほどありますが、特にこの曲のサウンドやコード進行を反映させたものは少ないと思います。彼らのレパートリーの100位に甘んじる曲では断じてない、と僕は思うのですがどうでしょう。

 

    さて、1967年というのは音楽史的には決してポップスの黄金時代とはされていません(僕が黄金期だと騒いでいるだけです、、)。ロックではジミヘン、ドアーズ、ジャニス、グレイトフルデッドなど商業的ポップスとは真逆のベクトルのアーティストが台頭してきました。

     しかし、そこでポップスは衰退せず、独自の進化を見せた、大げさに言えば百花繚乱の年だったように思います。

     そこでイニシアチブをとったのが、ビートルズ。厳密に言えばポール・マッカートニーです。

    この時期のビートルズの作品は、それまでの主流だったプロデューサーとソングライターチーム、そして百戦錬磨のスタジオミュージシャンによるヒット曲生産工場スタイルでは決して作り得ないものでした。いくら才能が集まっても、システマティックな分業する制作では絶対に作ることのできない"自作自演の世界"の力をまざまざと見せつけたわけです。

     そして、音楽シーンは、自作自演アーティストが完全に主流になっていくのです。

    

      


The Beatles - Hello, Goodbye

 

Hello, Goodbye

Hello, Goodbye