まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「瞳の中の愛(I Saw The Light)」トッド・ラングレン(1972)

 おはようございます。

 今日はトッド・ラングレンの「I Saw The Light」です。


Todd Rundgren - I Saw The Light (Lyrics Below) (HQ)

It was late last night
I was feeling something wasn't right
There was not another soul in sight
Only you, only you


So we walked along
Though I knew that there was something wrong
And a feeling hit me, oh so strong
About you


Then you gazed up at me
And the answer was plain to see
'Cause I saw the light
In your eyes (In your eyes)
In your eyes (In your eyes)


Though we had our fling (We had our fling)
I just never would suspect a thing (Suspect a thing)
'Til that little bell began to ring (Began to ring)
In my head, in my head


But I tried to run (I tried to run)
Though I knew it wouldn't help me none (Not help me none)
'Cause I couldn't ever love no one
Or so I said


But my feelings for you
Were just something I never knew
'Til I saw the light
In your eyes (In your eyes)
In your eyes (In your eyes)


But I love you best
It's not something that I say in jest
'Cause you're different, girl, from all the rest
In my eyes


And I ran out before
But I won't do it anymore
Can't you see the light in my eyes (In my eyes)

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 ”昨夜遅くのことだった 何かおかしな感じがしたんだ 

   他に目に映るものはなくて   ただ君だけ 君だけだった

   まだ何かおかしいと思いながら 二人で歩いたとき

   ある感情が僕の心を打った 強い君への感情が

   そのあと君が僕の方を見つめとき その答えはすぐにわかったよ

   だって君の瞳に光が見えたから

 

  ひとときの関係なんだって

  僕は疑いもしなかった

  頭の中で小さなベルが鳴り始めたときまで  

     なのに、僕は逃げ出そうとした

  そんなことをしても何にもならないとわかっていても

  だって 誰も愛したことがなかったから、僕はいつもそう言っていたから

  でも 君への想いは 僕には初めてのものだった

  君の瞳の光を見るまでは

 

  君を誰より愛している

  ふざけて言っているんじゃない

  君は誰とも違うんだ 僕の目に映る他の誰ともね

  逃げ出したことがあったけど 二度としないよ

  僕の瞳に光が見えるだろ?        ” (拙訳)


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   とてもシンプルでロマンチックな歌詞です。

 いつも独特の”曲者感”を漂わせながらも、音楽から垣間見える本質的な感性が人一倍ピュアでロマンティックである、そこが彼の魅力であり、日本人からも長く敬愛されているところじゃないかと僕は思います。

 

 トッド・ラングレンはシンガー・ソング・ライターにしてマルチ・プレイヤー、様々なジャンルのアーティストのプロデューサーでもあり、しかもエンジニアでもある、万能の天才。ボカロPなどの「宅録」もさかのぼって行けば、彼にたどり着くんじゃないでしょうか。

 僕はうっかり見逃してしまいましたが今月来日公演を行い、70歳にして見事なRAPの曲も披露していたそうです。

 

 この「I Saw The Light」は彼の最初のヒット曲(全米16位)。楽器の演奏もコーラスも全て彼一人でやっています。

 彼は自分が今まで曲作りで学んだことを全て投下して、ポップで親しみ易い作品をつくりたいと決意して作曲に取り掛かり、わずか20分で歌詞とメロディーが出来上がったそうです。

 実は、ポップスのスタンダードや大ヒット曲の中で、数十分でできたというものは少なくはありません。ただ、皆それまでに曲作りで苦しんだ経験を経ています。そういう”マジック”が生まれるタイミングというのはアーティスト自身にもわからないものなのでしょう。

 

 それから、こんなエピソードがあります。

 トッドがこの曲が収録されているアルバム「Something/Anything? 」をニューヨークのレコード・プラントで制作しているときに、隣のスタジオではエリック・カルメン率いるラズベリーズがファースト・アルバムをレコーディングしていました。

 あるとき、エリックたちが「I Saw The Light」と「I Can Remenber」という曲のミックスをしているときに、トッドがスタジオにやってきて聴いたあとに黙ってスタジオに戻っていったのだそうです。

 そして、トッドのファンだったエリックが後日「Something/Anything? 」を買って聴いてみると、同じタイトルの「I Saw The Light」という曲で始まっていて、すごい偶然だなあと思ったそうです。ただ、歌詞はちょっと似てるかな(君の瞳を見た時に気づいたよ、光を見たんだ、という歌詞です)、とは思ったそうですが。

 

 しかし、次の曲「It Wouldn't Have Made Any Difference」の冒頭が”Do You Remenber~"で始まったのを聴いて、自分たちの「I Can Remenber」が"I Can Remenber〜”で始まっていることから、これはトッドがわざとやっているな、とエリックは気づいたといいます。

 それで、今度はエリックが「Something/Anything? 」の中で彼が一番好きだったという「Couldn't Just Tell You」という曲のイントロのギターのフレーズを応用して「I Wanna Be With You」という曲を作り、次のシングルにしたそうです。

 

 トッドの真意はわかりませんが、興味深いエピソードです。

 ちなみにラズベリーズの「I Saw The Light」はこんな曲です。


I Saw The Light

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