まいにちポップス

1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、勝手な推理、などで紹介していきます

「恋はごきげん(A Groovy Kind of Love)」ザ・マインドベンダーズ(1965)

 

 おはようございます。

今日はマインドベンダーズの「恋はごきげん」です。


Wayne Fontana and the Mindbenders - A Groovy Kind of Love

 

  ”ブルーになった時は 君を見るだけで

   そんなにブルーじゃなくなるんだ 

      君がそばにいると 鼓動を感じて

   吐息もすぐ近くに聴こえる

   そう思わないかい?ベイビー、僕らはごきげんな恋をしているって

 

   君が望むならいつだって僕をその気にできるんだ

   どんなことだって どんなときだってかまわない

   君にキスをしたら ああ体が震えだして

   動揺を隠せなくなってしまう

   そう思わないかい?ベイビー、僕らはごきげんな恋をしているって

 

   ブルーになった時は 君を見るだけで

   そんなにブルーじゃなくなるんだ

      君の腕の中にいれば 何も気にならなくなるんだ

   この世界が全部粉々になっても 僕は構わない

   そう思わないかい?ベイビー、僕らはごきげんな恋をしているって

 

       僕らはごきげんな恋をしているのさ  ” (拙訳)



  1965年にアメリカ、イギリスの両方で最高2位まであがった大ヒット曲です。
  歌っているマンドベンダーズは、イギリスのバンド。ウェイン・フォンタナというボーカリストを擁し、ウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズとして、ビートルズを筆頭として当時空前の盛り上がりをみせたイギリスのバンド・ブームの中のひとつとして人気を博しました。

 ウェイン・フォンタナが脱退しソロになると、マインドベンダーズも独自に活動を始めました。そして、フォンタナのソロ以上に売れたのがこの「恋はごきげん」でした。

 

 それにしても”マインドベンダー”、心を曲げるもの?ってケッタイなバンド名だなと思ったのですが、催眠術師、幻覚剤、びっくりさせるもの、といった意味があるらしく、1963年公開の同名のスリラー映画「マインドベンダー」からとったそうです。

 

 そしてマインドベンダーズの中心になるのは、のちに10ccを結成するエリック・スチュワートでした。

popups.hatenablog.com

 

 曲を作ったのはキャロル・ベイヤー・セイガー(作詞)とトニ・ワイン(作曲)。

めずらしい女性同士の作家チームなんですね。キャロルはのちにバート・バカラックの奥さんで作詞家という、公私ともにパートナーになる人です。ソロ・アーティストとしてもAORファンから人気の高い作品を作っています。

 

 今回注目したいのはトニ・ワインのほう。16歳の若さでレコード会社の契約作家になり、17歳でレコード・デビューもしています。

   興味深いのは彼女がフィル・スペクター作品(チェックメイツ・リミテッドの「ブラック・パール」、ロネッツの「つめたい恋(You Came, You Saw, You Conquered)」ともに1969年)を書いていること。彼女をフィル・スペクターに紹介したのは、キャロル・キングなどをマネージメントしていたドン・カーシュナーだったそうですから、キャロルやエリー・グリニッチのようなポップスを書ける作家の後釜として見られていたのかもしれませんね。


Black Pearl


The Ronettes - You Came, You Saw, You Conquered (HQ)

  なんか、どんどんマニアックな話になってしまいますが、このトニ・ワイン、フィル・スペクターと仕事をする以前(1966年)に「リバー・ディープ・マウンテン・ハイ」をカバーしてシングルを出していました。アレンジは彼女が所属していたレーベルのオーナーでもあったアーブ・バーンスタインローラ・ニーロの「ウェディング・ベル・ブルース」などが入ったファースト・アルバムのアレンジをやっていた人です。


Toni Wine - River Deep Mountain High

 

 さて話を戻しますがこの「恋はごきげん」ですが、モーツァルトと同年代のイギリスの作曲家ムツィオ・クレメンティの「ソナチネ ト長調 Op.36 No.5」の「ロンド」がモチーフになっています。


Muzio Clementi - Sonatina Op. 36 No.5 - 3. Rondo (Piano Solo)

 

 先日このブログで取り上げた、カーペンターズの「遥かなる影」やフランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」は元々ゆったりしたバラードだったものにリズムをつけてアレンジすることで大ヒットしたわけですが、こちらは逆にテンポをぐっと落としたわけですね。

 

 

 それから、先日エルトンジョンの自伝「ME ELTON JOHN」を読んでいたら、この曲はパティ・ラベルのカバーだと書いてありました。

 あれ?そうだっけ、と思って調べてみると一番最初にレコーディングしたのはアメリカの女性デュオ、ダイアン&アニータでした。ということはこの曲、女性コンビが作り、女性コンビが最初に歌った曲だったわけですね。

 しかしこの音源はフランスでしか発売されなかったそうです。


1st RECORDING OF: Groovy Kind Of Love - Diane & Annita (1965)

  そしてマインドベンダーズ・ヴァージョンは、アメリカの音楽出版社(スクリーン・ジェムス)のロンドン支社の人間が、この歌がエリックのボーカルに合うのじゃないかということで選んだようです。

 

 そして、アメリカではパティ・ラベル&ザ・ブルーベルズがこの曲が最初にリリースされたものになっています。


Patti LaBelle & The Bluebelles - Groovy Kind of Love

 

 そして、僕を含めてマインドベンダーズをリアルタイムで知らなかった人間には、彼のカバーのほうが馴染みがあります。


Phil Collins - A Groovy Kind Of Love (Official Music Video)

 フィル・コリンズ自身が主演した映画「フィル・コリンズ in バスター(Buster)」で使われ、アメリカ、イギリスの両方で1位という大ヒットを記録しました。

 当初彼は映画のあるワンシーンに合うものとしてこの曲のデモを作って監督に聴かせたそうですが、最終的にはメインの曲になったのだそうです。