おはようございます。
今日はジェネシスの「誤解」です。
Genesis - Misunderstanding (Official Music Video)
There must be some misunderstanding
There must be some kind of mistake
I was waiting in the rain for hours
You were late
Now it's not like me to say the right thing
But you could've called to let me know
I checked your number twice, don't understand it
So I went home
Well, I'd been waiting for this weekend
I thought that maybe we could see a show
Never dreamed I'd have this feeling
But seeing you is believing
That's why I don't know why
You didn't show up that night
There must be some misunderstanding
There must be some kind of mistake
I was waiting in the rain for hours
You were late
Since then, I've been running around trying to find you
I went to the places that you always go
I rang your house but got no answer
Jumped in my car, I went round there
I still don't believe it
He was just leaving
There must be some misunderstanding
There must be some kind of mistake
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”何かの誤解に違いないよ ちょっと間違いがあるのさ
雨の中で何時間も待ったのに 君は遅い
正しいことを言うのなんて僕らしくないけど
君は僕に伝えるために電話できなかった
君の電話番号を2回チェックしたけど、わからなかったから
家に帰ったんだ
この週末を待ちわびていたんだよ
二人でショーを見に行くのもいいかなって考えてた
こんな気持ちになるなんて思いもしなかった
だけど百聞は一見にしかず
なんであの晩君が現れなかったのか
僕は理解できないんだ
何か誤解があったに違いないよ 何か間違いがあるのさ
雨の中で何時間も待ったのに 君は遅い
それから私は走り回ってあなたを探した
二人がいつも行く場所にも行った
家に電話しても誰も出ない
車に飛び乗って その辺りを探しもした
今も信じられない 彼が去ってしまったなんて
何かの誤解があったに違いないわ
なにか間違いがあったのよ"(拙訳)
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男女のすれ違いを歌った歌ですが、後半部最後に”He was Leavin'”と言うのが出てきて、一番は男性目線、二番は女性の方の目線で書いていたのだとはじめて気づきました。待ち合わせ時間をお互い間違えただけなんでしょうか?
さて、この曲を作り、歌っているのはフィル・コリンズです。
80年代の洋楽に親しんだ人にはお馴染みのアーティストで、80’sポップスを象徴する一人だと言っても間違いないでしょう。
70年代に彼はジェネシスのオーディションを受けてドラマーとして加入しています。
彼によってジェネシスがポップなバンドになったというのが定説で、僕もそれは事実だと思いますが、彼によって突然バンドが激変したわけじゃなく、変化は少しずつ現れていきました。
当初、彼はあくまでも腕の良いドラマーとしてバンドに貢献していて、その後必要に迫られてじわじわと中心人物になり、才能を開花させていったのです。
曲も他のメンバーとの共作でほんの少し書いていたくらいです。
最大の契機は、バンドの顔であったピーター・ガブリエルの脱退でした。
後任のボーカルを探しましたが適切な人物がいなかったようで、結局フィルがつとめることになりました。
まず最初に彼はボーカリストとして覚醒していきます。
最初のきっかけとなったのはこの曲じゃないかと思います。「A Trick of the Tail 」。1976年の作品です。
Genesis - a trick of the tail.
いかにもUKポップスらしいひねった展開の、隠れた佳曲だと僕は思うのですが、イギリスでもアメリカでもまったくチャートインせず、なぜかイタリアで18位になっています。曲を書いたのはキーボーディストのトニー・バンクス。
フィルはまず、ボーカルとしてジェネシスの”ポップ化”を牽引していったのです。
そして、ソングライターとして彼が覚醒し始めたのが、3年後にリリースされたシングル「誤解」でした。これはフィルが初めて単独で書いたもので、イギリスでは42位と振るわなかったのですが、アメリカでは14位とヒットしたのです。
僕はリアルタイムで聴いたのですが、当時はスーパートランプやスティックスなど”プログレ”系のバンドがポップになっていった時期で、僕はそう言う流れとしてこの曲を受け止めたのを覚えています。
この曲がアメリカで売れたことにより、完全にフィルがバンドの主導権を握り、ソロ・アーティストとしてやっていく自信につながったのじゃないでしょうか。
この曲は”はざま”に入ってしまって、あまり取り沙汰されることはないのですが、その後のフィル・コリンズの大ブレイクに繋がる、大変な重要曲だと僕は捉えています。
男女のすれ違いの歌が初めての自作のヒット曲になったフィル・コリンズですが、1975年から1980年の間になんと3度も離婚していたようです。3度目の離婚の時は奥さんに浮気されたのが原因だったそうで、その経験を歌にしたことでソロ・アーティストとして成功したというようなことを「ロック・レジェンド」というTV番組で向こうの音楽メディアの人間が語っていて、フィルさんもそんなこと言われたくないだろうなあ、と同情しながら僕は見ていました。