まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」フィル・コリンズ(1982)

 おはようございます。

 今日はフィル・コリンズの「恋はあせらず」。モータウン・レコードの代表的なヒット。オリジナルはスプリームスです。


Phil Collins - You Can`t Hurry Love [HIGH QUALITY] VideoClip

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I need love, love to ease my mind
I need to find, find someone to call mine
But mama said

You can't hurry love
No you just have to wait
She said love don't come easy
It's a game of give and take
You can't hurry love
No, you just have to wait
Just trust in a good time
No matter how long it takes


But how many heartaches must I stand
Before I find a love to let me live again
Right now the only thing that keeps me hanging on
When I feel my strength,  it's almost gone
I remember mama said

You can't hurry love
No you just have to wait
She said love don't come easy
It's a game of give and take


How long must I wait how much more can I take
Before loneliness will 'cause my heart, heart to break?


No, I can't bear to live my life alone
I grow impatient for a love to call my own
But when I feel that I, I can't go on
These precious words keeps me hanging on
I remember mama said

Can't hurry love
No you just have to wait
She said love don't come easy
It's a game of give and take

You can't hurry love
No you just have to wait
Just trust in good time
No matter how long it takes

No love, love don't come easy
But I keep on waiting, anticipating for that
Soft voice to talk to me at night
For some tender arms to hold me tight
I keep waiting till that day
But it ain't easy, you knowit ain't easy

when mama said

You can't hurry love
No, you just have to wait
She said love don't come easy
It's a game of give and take

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 愛が、愛が必要なんだ 心を落ち着かせるために

 僕のことを呼んでくれる誰かを見つけなくっちゃ

 だけどママがいうんだ

 

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 彼女が言うには 愛は簡単にはやってこない

 ギヴ・アンド・テイクのゲームなの

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 いい時が来るって信じて

 いくら長くかかっても


 だけど、どれだけの心の痛みに耐えなきゃいけないんだ
 僕を生き返らせてくれる愛を見つけるまで

 今は僕をしがみつかせてくれるたったひとつのこと
 やる気を感じると、ああ、それは消えてしまいそうになる

 ママが言ったこと思い出すんだ

 

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 彼女が言うには 愛は簡単にはやってこない

 ギヴ・アンド・テイクのゲームなの

 いつまで待ったらいい あとどれくらいかかる
 孤独が僕のハートをこわしてしまう前に

 人生を一人っきりで生きるなんて耐えられない

 僕のことを呼んでくれる恋人をもう待ちきれなくなっている
 だけど、行っちゃダメだって感じるとき

 あの大切な言葉が 僕に我慢させるの

 ママが言ったことを思い出すんだ

 

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 彼女が言うには 愛は簡単にはやってこない

 ギヴ・アンド・テイクのゲームなの

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 いい時が来るって信じて

 いくら長くかかっても


 ああ愛は簡単にはやってこない

 だけどそれを待ち続けて、楽しみにし続ける
 夜に話しかけてくる柔らかな声を

 僕を抱きしめてくれる優しい腕を

 待ち続けて その日まで

 だけどそれは簡単じゃない

 わかるよね簡単じゃないって

 ママはこう言うけど

 愛を急かしちゃダメ ただ待つのよ

 彼女が言うには 愛は簡単にはやってこない

 ギヴ・アンド・テイクのゲームなの、、  (拙訳)

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 あくまでも個人的な感想ではありますが、50年近くポピュラー・ミュージックを聴いてきて、ヒット曲のポップさ、キャッチーさという点では1980年代前半がダントツだったんじゃないかと思います。

 80年代前半の洋楽のポップさを形成した大きな要因のひとつは、ポップスの全盛期である1960年代のキャッチーなヒットソングを見直し、新たなサウンドで蘇らせたということが大きいように思います。その1960年代のポップスの中でも、アメリカのデトロイトにあったモータウン・レコードが生み出したサウンドのリメイクというのが顕著だったと記憶しています。多くのアーティストがモータウンのカバーやモータウンサウンドを意識的に取り入れたオリジナルを作っていました。

 そして、特に盛んに流用されたのが、この「恋はあせらず」のパターンでした。

 こちらがオリジナルのダイアナ・ロスシュープリームス。1966年に全米1位になっています。


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 この曲を作ったのはモータウーンの最大のヒット作家チーム”ホランド=ドジャー=ホランド”。彼らの最初のインスピレーションになったのはゴスペルの「You Can't Hurry God」という曲だったといいます。

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 フィル・コリンズは十代の頃、ロンドンのクラブでザ・フーなどがモータウンのカバーをやっているのを聴いて影響を受けたようです。モータウンは常に自分のインスピレーションだったとも語っています。

 この曲については、ドラマーだった彼は60年代のモータウン独特のラフで迫力のあるドラム・サウンドを再現してみたいという思いが最初にあったようです。そして、それが明確にわかる曲がこの「恋はあせらず」だったのかもしれません。

 

  この曲が発売されたばかりのビルボード誌のレヴューで”exceptional instrumental backing”(並外れたバッキングの演奏)と書かれていたので、やはりそのサウンド

インパクトがあったのでしょう。

 

 「ドラマーのベニー・ベンジャミンやベーシストのジェームス・ジェマーソンのようなモータウンのアーティストは、僕のビッグ・アイドルだったんだ。「恋はあせらず」を作ろうと思ったのは、ヒュー・パジャムジェネシスやポリスのプロデューサー)と僕が60年代のサウンドを再現できるかどうかを確かめるためだった。それは、今日では非常に難しいことで、それはほとんどの録音機材が当時と比べてとても高性能になっているから。それで、オリジナルのようにドラムの音を荒々しくするのは難しいんだ。僕たちが目指したのは、解釈ではなく、リメイクなんだ。ドラムの音を再現させるために、あの曲を延々と聴いていた。タンバリンのエコーは、この曲を何度も聴いて参考にした。スネアの音は、最終的にはスネアがドラムヘッドにかろうじてのっかているくらいまでゆるめた。オリジナルのドラムのフィルやハーモニーのパートは、可能な限り再現に近づけることができたと思えるまでずっと聴き続けたよ」

          (HITMAN 1986)

 

 1960年代のモータウンサウンドフィル・スペクターサウンドなどは、スタジオや機材がまだまだ発展途上であったがために、かえって音が混ざったり、独特の反響が生まれたりすることで、再現不可能な”マジック”が作られていたんですね。

 逆にクリアでバランスが取れた方向に進化してしまったテクノロジーで、それを再現するのはかなり大変だったらしく、結局、成功はしなかった、と後に彼は語っていたようです。

 

 しかし、彼のカバーは全米10位、全英1位と大ヒットになりました。そして、この曲はプログレ・ロック・バンド”ジェネシス”のメンバーであり、バンドをキャッチーな方向に導いたとはいえ、アーティスティックなイメージであった彼を、一躍”ポップ・スター”への道に誘うことになります。

 

 そして人気者になった彼は、役者として映画の主役まで演じるまでになります。

それが、1988年の映画「バスター」です。そして映画の音楽も手がけた彼は、その中で

再びモータウンサウンドを披露しています。今度はオリジナルで。しかも共作の相手は”ホランド=ドジャー=ホランド”のラモン・ドジャーでした。

 

「TWO HEARTS」(全米1位、全英6位)

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