おはようございます。今日はイーグルスの「言い出せなくて」を。
Look at us baby, up all night
Tearing our love apart
Aren't we the same two people who live
Through years in the dark?
Every time I try to walk away
Something makes me turn around and stay
And I can't tell you why
When we get crazy
It just ain't to right (try to keep you head little girl)
Girl I get lonely too
You don't have to worry
Just hold on tight (don't get caught in your little world)
Cause I love you
Nothing's wrong as far as I can see
We make it harder than it has to be
And I can't tell you why
No, baby, I can't tell you why
I can't tell you why
Every time I try to walk away
Something makes me turn around and stay
And I can't tell you why
No, no, baby, I can't tell you why
I can't tell you why
I can't tell you why
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よく見るがいい僕たちを
一晩中起きたまま、
二人の愛を引き裂いていたんだ
僕たちはもう
暗闇の日々をくぐり抜けて来た二人とは
同じ人間じゃないのかい
立ち去ろうとするといつも
何かが僕を振り向かせ とどまらせたんだ
それがなぜなのかうまく言えないけど、、
僕らがおかしくなるときは
何かがただ正しくないんだ
(冷静に考えてみようよ)
ガール、僕だって寂しいよ
心配なんてすることはない
(自分の思いこみにとらわれないで)
ただしっかり持ちこたえるんだ
君を愛しているんだから
僕が見る限り 何も間違っちゃいない
僕たちは必要以上に
事をむずかしくしてしまったんだ
どうしてかはうまく言えないけど
ベイビー、どうしてなのかうまく言えないけど
立ち去ろうとするといつも
何かが僕を振り向かせ とどまらせたんだ
それがなぜなのかうまく言えないけど、、
どうしてなのか、うまく言うことができないけど、、
(拙訳)
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アメリカ国内で史上最も売れたアルバムの1位は、イーグルスの「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975」、2位がマイケル・ジャクソンの「スリラー」、3位がイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」ということで、イーグルスがいかにアメリカで人気があるのかよくわかります。
この「言いだせなくて」は「ホテル・カリフォルニア」(1976)の次のアルバム「ロング・ラン」に収録されていた曲です。
「ホテル・カリフォルニア」を最後にベーシストのランディ・マイズナーが脱退し、ツアーから参加したのがティモシー・B・シュミットでした。彼はそれ以前は”ポコ(Poco)”というグループのメンバーでしたが、実は彼が加入する前のベーシストがランディ・マイズナーだったという不思議な因縁があります。
イーグルスはグレン・フライとドン・ヘンリーが、ビートルズでいうレノン&マッカートニーのように曲作りの主体となっていましたが、”クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング”を手本にしたメンバー全員が曲を作れて歌えることを個性にしていましたので、グレンとドン以外の曲もレパートリーになっていました。
新メンバーになったティモシーにも存在感を与えようと二人は考えたようです。
ティモシーはこう語っています。
「イーグルスに加入したばかりのころ、ドンとグレンとぼくは、ぼくがどういう曲でリードを取ればいいのかを話し合っていた。あのふたりは”新顔”のぼくに、少なくとも1曲はリードを取らせるべきだと考えていたんだ。なにかアイディアはないかと訊かれて、ぼくは以前からあたためていた曲ーというかその断片をいくつか聞かせた。<言い出せなくて>もそういう曲のひとつだったけど、それを聞いたふたりが「それだ。それでいこう」となってね。他の作業もあったから、それからの何週間かで、断続的に仕上げていった。実際のはなし、<ロング・ラン>のなかで、最初にリード・ヴォーカルを録り終えたのはこの曲だったと思う。だからこの曲の場合はぼくが最初のアイディアを出し、それをドンとグレンが仕上げたことになるわけだ。」 (「ヨット・ロック」)
ドン:「ティモシーが曲のタイトルといくつかの断片を持って来たんだ。グレンと僕は二人でできる事全部で、ただそれを取り囲むようにしたいと思ったんだ。グレンが素晴らしいカウンター・パート(コーラス)を思いついてくれた、すごくソウル・レコード・タイプのものさ、“Try to keep your head, little girl.”というところ。グレンはあと、すごいギターソロを考えて演奏してくれたよ」
グレン:「ティモシーはバンドに加わり、ドンと僕が考えた本当のチャレンジは彼のためにカントリーじゃない曲を用意する事だった。それで僕らは彼をラ・フォンテーヌ(スタジオ?)に連れていって、3人で作業したよ。僕は言ったんだ”君はスモーキー・ロビンソンみたいに歌えるよね、リッチー・フューレイみたいな、ポコっぽいサウンドの曲じゃなくてね。R&Bソングにしよう。彼は”わかった。喜んでやってみるよ”と言った。ただピアノのところに行ってセッションするだけで、クレイジーな瞬間が起こることがあるんだ。
そこで僕は、バドワイザーを飲んだ勢いで、ピアノのところに行って、えーっと、こんな感じはどうかな?なんて言って。これは、正真正銘僕が最も好きなイーグルスの曲の一つだ。雰囲気があるんだ。“Ooh baby, baby”(スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの曲)の感じのヴォーカルなんだ。だけど、そこにドンと僕が主メロに対して歌うカウンター・パートがあり、控えめで見事なギターのフレーズがある、わたくしめの(笑)。この曲はまた僕たちのライヴで、観客たちが大好きな歌でもあるんだ。バラードだから、そんな大きな音を出さないから観客が聞こえるんだ。ティモシーが歌い始めると、何千もの人たちが歌うんだ “Look at us, baby…”って」 (THE UNCOOL)
ここで、ポイントとなるのは、カントリー・ロック・グループ”ポコ”にいたティモシーにR&Bっぽい曲をやらせようとしたことでしょう。
モータウンの本拠地デトロイト出身でR&Bが染み込んでいるグレンはモータウンのスモーキー・ロビンソンをイメージしたんですね。
(ドン・ヘンリーは”ストレートなアル・グリーン”と評したようですが)
ティモシー本人はこう言っています。
「たとえ僕がもともとフォーク・ミュージックやサーフ・ミュージックを演奏してきたとしても、ラジオでモータウンやスタックスも同じように聴いていたんだ。そういった音楽は僕と共鳴しあっていた。彼らが選んでくれて、そして僕が歌おうとしている曲が、カントリー調ではなく、別の方向性の曲だったことがとても嬉しかったんだ。R&Bの方向に行けたのは本当に嬉しかったし、実際ワクワクしたよ」 (BEST CLASSIC BAND)
1970年代のアメリカ西海岸のロックはフォーク・ロックやカントリー・ロックが主流だったのが、いわゆるAORサウンドへと移行してゆくわけです。
そこで大きな役割を果たしたのがR&Bなんですね。
そして、イーグルスのグレン・フライ、昨日このブログに登場したドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルド、TOTOのデヴィッド・ペイチなど、スーパー・グループのメイン・ソングライターたちがR&Bの熱心なファンだったという影響は少なくなかったと僕は考えています。
この曲がR&Bソングであることを証明するようなハワード・ヒューイット1990年のカバー。
Howard Hewett - I Can't Tell You Why
これも素晴らしい、女性3人組”ブラウンストーン”の1995年のカバー。
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