まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「追憶の甘い日々(REMINISCING)」リトル・リヴァー・バンド(1978)

 おはようございます。

 今日はジョン・レノンも気に入っていたという曲、リトル・リヴァー・バンドの「追憶の甘い日々」です。

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Friday night, it was late
I was walking you home
We got down to the gate
And I was dreaming of the night
Would it turn out right?

How to tell you, girl
I want to build my world around you
Tell you that it's true
I want to make you understand
I'm talking about a lifetime plan

That's the way it began
We were hand-in-hand
Glenn Miller's band
Was better than before
We yelled and screamed for more

And the Porter tune (night and day)
Made us dance across the room
It ended all too soon
On the way back home
I promised you'd never be alone

 

Hurry, don't be late
I can hardly wait
I said to myself when we're old
We'll go dancing in the dark
Walking through the park
And reminiscing

Friday night, it was late
I was walking you home
We got down to the gate
And I was dreaming of the night
Would it turn out right?

Now as the years roll on
Each time we hear our favourite song
The memories come along
Older times we're missing
Spending the hours reminiscing

Hurry, don't be late
I can hardly wait
I said to myself when we're old
We'll go dancing in the dark
Walking through the park
And reminiscing

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金曜日の夜、遅く
歩いて君を家まで送っていた
二人は門の前に着いた
僕はその夜のことを夢見ていた
その夢が正しかったことがわかるのかな?

 

どんな風に君に伝えればいいんだろう、ガール
君のまわりに僕の世界を作りたい
それが本当なんだと伝えたいんだ
君にわかってほしい
生涯のプランについて話しているんだ

 

そんな風に始まったんだ
僕たちは手をつないでいた
グレン・ミラーのバンドが
前より素敵に聴こえる
僕たちは、もっとと声を上げ叫んだ

 

そしてポーターの曲(ナイト&デイ)で
僕たちはフロアの端から端まで踊ったんだ
それは、あっという間に終わってしまった
帰り道、僕は君を決してひとりにしないと約束した

 

急いで、遅れないで
とても待ちきれないよ
自分に言ったんだ、僕たちが年をとったときには
踊りに行こう 暗がりの中で
公園を歩こう
そして、思い出を語ろう

 

金曜日の夜、遅く
歩いて君を家まで送っていた
二人は門の前に着いた
僕はその夜のことを夢見ていた
その夢が正しかったことがわかるのかな?

 

いま、月日が流れてゆく中で
二人のお気に入りの曲を聴くたびに
思い出も一緒にやってくるんだ
恋しく思う懐かしい時代
思い出話をしながら過ごそう

 

急いで、遅れないで
とても待ちきれないよ
自分に言ったんだ、僕たちが年をとったときには
踊りに行こう 暗がりの中で
公園を歩こう
そして、思い出を語ろう

            (拙訳)

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  リトル・リヴァー・バンドはオーストラリアのメルボルンで1975年に結成されました。地元の著名バンドのメンバーが集まった”スーパー・グループ”でメンバーの4人が曲を書くことができました。

 バンド名はリード・ヴォーカルのグレン・シャロックがライヴのため他のメンバーと車で移動中に見つけた”リトル・リヴァー”という標識から考えたそうです。

 

  デビュー曲は「Curiosity (Killed the Cat)」

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 1977年に「Help is On Its Way」がオーストラリアで1位(全米14位)のヒットになります。

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 そして、翌1978年にリリースされ、バンド最大のヒットになったのがこの「追憶の甘い日々」(全米3位)でした。

 

 バンド・メンバーで、この曲の作者であり、見事なハーモニー・パートを考えたというグレアム・ゴーブルはこう語っています。

 

「僕は古い白黒映画を見るのが好きだったんだ。それと、グレン・ミラーコール・ポーターの音楽や、その時代の作品が大好きだった。それは、そのロマンティックな時代を描写して曲にしようとしたんだ。この曲はとても早くできた、30分ほどで書けたんだ。多くの人が複雑な曲に聴こえると考えているけど、ギターで弾くとすごくシンプルなんだ。この曲は、もう少しでレコーディングされないところだったんだよ。レコーディングのときに、僕が使いたかったキーボード奏者のピーター・ジョーンズが街を離れていたので、別のキーボード奏者でバンドの演奏を録音した。でも、うまくいかなかったんだ。その数日後、別のキーボード奏者でもう一度試してみたが、やっぱり、うまくいかなくて、バンドはこの曲への興味を失くし始めていたよ。アルバムが完成する直前に、ピーター・ジョーンズが戻ってきて、バンド・メンバーと私は議論をしたんだ、僕は『追憶の甘い日々』に3回目のチャンスをあげたかったからね。ピーターが演奏し、僕たちが録音して完成させ、アルバムをキャピトルに送った。キャピトルは、このアルバムからはシングル曲がないので、何をリリースしていいかわからないと言ってきた。5週間後、キャピトルのニューヨーク・オフィスの誰かが、「君たちはみんなおかしいよ、『追憶の甘い日々』は大ヒットする」と言った。キャピトルが発売したところ、すぐに火がつき、私たちのチャートの最高位のヒットになった。続いて、私たちの最大の売り上げを記録したシングル『Lady』が発売された。その2曲はキャピトルがほとんどシングルにしようとなかったものなんだ」

  (Goldmine issue 640)

 これもまた、あっという間に書けてしまったヒット曲だったようです。そして、バンド・メンバーとしてキーボーディストがいなかったために、レコーディングに苦労して、お蔵入りの可能性もさえあったわけです。

 

 ちなみに、こちらが次のシングルの「Lady」です。

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  この後、バンドは快進撃を続け、本国オーストラリアよりも、むしろアメリカで売れるバンドになっていきます。

 その最盛期に作られた、この「追憶の甘い日々」が収録された「夢追人(Sleeper Catcher)と、次のアルバム「栄光のロングラン(First Under the Wire)」が彼らの最も充実した作品だと僕は思います。

 

「栄光のロングラン」からのファーストシングル「ロンサム・ルーザー」(全米6位)

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 最後は同じオーストラリア出身の クラヴ・ミュージック・ユニット”マディソン・アヴェニュー”のカヴァー・ヴァージョンを。

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