まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングを、エピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などを交えて紹介しています。親しみやすいポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”な存在になってしまったのかもしれませんが、このブログがみなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。追加情報や曲にまつわる思い出などありましたらどんどんコメントしてください!text by 堀克巳(VOZ Record

「ニューヨークの想い(New York State of Mind)」ビリー・ジョエル(Billy Joel)(1976)

 おはようございます。今日はビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い(New York State of Mind)」です。

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Some folks like to get away
Take a holiday from the neighborhood
Hop a flight to Miami Beach or to Hollywood
But I'm taking a Greyhound
On the Hudson River line
I'm in a New York state of mind

I've seen all the movie stars
In their fancy cars and their limousines
Been high in the Rockies
Under the evergreens
I know what I'm needing
And I don't want to waste more time
I'm in a New York state of mind

It was so easy living day by day
Out of touch with the rhythm and blues
But now I need a little give and take
The New York Times, the Daily News

It comes down to reality
And it's fine with me 'cause I've let it slide
I don't care if it's Chinatown or on Riverside
I don't have any reasons, I left them all behind
I'm in a New York state of mind

It was so easy living day by day
Out of touch with the rhythm and blues
But now I need a little give and take
The New York Times, the Daily News

It comes down to reality
And it's fine with me 'cause I've let it slide
I don't care if it's Chinatown or on Riverside
I don't have any reasons I left them all behind
I'm in a New York state of mind

I'm just taking a Greyhound
On the Hudson River line
'Cause I'm in a, I'm in a New York
State of mind

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ここから出て行きたがるヤツらもいる 
休暇をとって  近所から
マイアミ・ビーチやハリウッド行きの飛行機に飛び乗る
でも、僕はグレイハウンドに乗るよ 
ハドソン川沿いのルートを走るバスに
僕の心はニューヨークにあるんだ

映画スターならいくらでも見てきた 
みな高級車やリムジンに乗っていた
ロッキー山脈や常緑樹の木陰でも過ごした
自分に今何が必要か分かっているんだ 
もうこれ以上時間を無駄にしたくない 
僕の心はニューヨークにあるんだ

気ままに毎日を過ごすことはすごく簡単だった
リズム・アンド・ブルースとは離れたままで
でも今の僕にはちょっとしたやりとりが必要なんだ 
ニューヨーク・タイムズ」でも「デイリー・ニュース」でも

結局最後は現実にたどり着く 
それでいいのさ、受け流してやってこれたから
チャイナタウンだろうがリバーサイドだろうが構わない 
理由なんてない、そんなものは全部置いてきた 
僕の心はニューヨークにあるんだ

気ままに毎日を過ごすことはすごく簡単だった
リズム・アンド・ブルースとは離れたままで
でも今の僕にはちょっとしたやりとりが必要なんだ 
ニューヨーク・タイムズ」でも「デイリー・ニュース」でも

結局最後は現実にたどり着く 
それでいいのさ、受け流してやってこれたから
チャイナタウンだろうがリバーサイドだろうが構わない 
理由なんてないさ、そんなものは全部置いてきた 
僕の心はニューヨークにあるんだ

ただグレイハウンドに揺られて 
ハドソン川沿いを下っていく 
だって僕の、僕の心はニューヨークにあるんだ  (拙訳)

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 前回このブログでご紹介した「スリープ・フォー・デイズ」という曲で、僕の今年のイチオシのシンガー・ソングライター、ジャッキー・エヴァンスはニューヨークから郊外の実家に帰るとホッして何日も寝てしまう、と歌っていましたが、そういえば、彼女がリスペクトするビリー・ジョエルにはニューヨークこそが故郷なんだという心境を歌った有名な曲がありました。それが「ニューヨークの想い(New York State of Mind)」です。

 「心の状態」State of Mindと「ニューヨーク州」State of New York、New York State をうまく組み合わせたタイトルになっていますね。

 生粋のニューヨーカーであるビリー・ジョエルはデビュー作「コールド・スプリング・ハーバー」(1971)でマネージメントやレーベルとのトラブルがあったため、ロサンゼルスに移住、音楽活動をリセットし「ピアノマン」(1973)、「ストリート・ライフ・セレナーデ」(1974)の2枚のアルバムを制作します。しかし、故郷を懐かしく思う気持ちが募りニューヨークに戻ることにします。

”当時のニューヨークでは多くの悪いことが起きていた。犯罪が多発し、薬物は制御不能。街の見た目も最悪で、本当に汚かった。財政的にも破綻寸前だったんだ」と、彼は2015年のニュースデイ紙の取材で語っています。「街には活気が必要だった。だから僕は、この街のためのアンセム(賛歌)を書きたかったんだ”(American songwriter)

 ビリーがこの曲の最初の骨子を書き始めたのは、この曲の歌詞にも出てくるグレイハウンド(長距離バス)の中で、ニューヨークの北約90分ほどの場所にあるハイランド・フォールズの自宅へ帰る途中だったそうです。

”「15分くらいで書いた曲だよ」と、彼は2010年のハワード・スターンのインタビューで明かしています。「カリフォルニアからニューヨークへ引っ越したその日のことだ。バスに座って……ノートに走り書きを始めた。妻が待つ家に帰り着くとこう言ったんだ。『今すぐこの曲を書かなきゃならないんだ』」”(American Songwriter)

 この曲の歌詞で、映画スターはいくらでも見てきた、というのは彼がハリウッドにいた時期のことを指しています。そのあとロッキー山脈のくだりになり、”華やかさ”も”自然の豊かさ”も知っているけど、自分には”ニューヨークの喧騒”が必要なんだ、と歌っています。

 ニューヨークなら、チャイナタウン(活気はあるが治安も悪いエリア)、リバーサイド(富裕層が住む静かなエリア)でも構わない、新聞も格式高い「ニューヨーク・タイムス」も庶民的なゴシップが載ってる「デイリー・ニュース」もどっちもいい、とニューヨークを丸ごと恋しく思っているわけです。ロサンゼルスにいたときに彼の心情そのものなのかもしれません。

 とは言いつつも、本人はいざロサンゼルスからニューヨークに実際に戻る時には、騒がしい都会は嫌だということで、郊外のハイランドフォールズに住んだらしいですけど、、、。

 

 さて、この曲は1975年に発売されたアルバム「ニューヨーク物語(TURNSTILES)」に収録されたのですが、実は現在に至るまでシングルにはなっていないんですよね。1977年にバーブラ・ストライサンドがカバーしたことで広く知られるようになりました。

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 そして、ジョニー・マティス、メル・トゥーメ、カーメン・マクレー、シャーリー・バッシー、ダイアン・シュアーなどの大物シンガーが次々と取り上げていき、あるサイトによれば170以上ものカバーのあるスタンダード曲になっていったんです。

 ビリー本人も自身のレーパートリーの中で好きな曲に挙げていて、コンサートでも頻繁に歌い続けています。1993年頃僕はニューヨークのマディソンスクエア・ガーデンで彼のライヴを見たのですが、この「ニューヨークの想い」ではやはり特別な盛り上がりがありました。熱狂的というのとはちょっと違うんですけど、お客さんが自分たちの歌が始まったという気持ちが一体化した連帯感がどんどん渦になっていくような感じでした。そこで、僕は自分はよそ者なんだなあ、とちょっと寂しく感じたものです。

 この曲の”ニューヨーク讃歌”としての意味合いが最も象徴的に発揮されたのが、2001年9月11日の同時多発テロ事件の時でした。事件の10日後の9月21日(金)の夜、多くのアーティストやスターが集まり、テロの犠牲者を追悼し寄付を募るTV番組アメリカ:トリビュート・トゥ・ヒーローズ」で彼はこの曲を披露したのです。

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 最後は、ちょっとマニアックになりますがお許しを。ビリーがこの曲を発表してバーブラ・ストライサンドがカバーするまでの間に、実は3人のアーティストがこの曲をいち早く取り上げています。それが、どれも渋くていんですよね。それをぜひお聴きいただければと思います。

 まずは、日本にもファンが多い、知的な洒落者、ベン・シドラン。アルバム「FREE IN AMERICA」に収録。

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 こちら、ハーブ・アルパートのヒットで知られる「蜜の味(Taste of Honey)」の作者ボビー・スコット。この曲の入ったアルバム「フロム・エデン・トゥ・カナン」は小西康陽さんの監修でCD化されたことも。

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  こちらもいいです。イギリスのジャズ・ロック・バンド(ユニット?)、マーク=アーモンド。アルバム「TO THE HEART」のオープニングにメドレーで演奏していました。

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