おはようございます。今日は1982年産R&B特集6日目、ハイ・ファッションの「FEELIN’ LUCKY LATELY」です。
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
Used to be the most unhappy person
I didn't have much confidence
You know it didn't make much sense
Had so many lofty aspirations
But when you have no self esteem
How can you ever fill your dreams
I'm cool now
Got a different state of mind
Believing In myself
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
Used to feel bad luck was my misfortune
'Cause whеn I tried to move ahead
Somebody else's turned instead
When life is hard don't think you'll never make it
You've got to have the stamina
To get the things you're reachin' for
I'm cool now
Got a strong state of mind
Believing In yourself
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
If you want to change your luck around
You should use some common sense
You will overcome those obstacles
If you gain some confidence
To prepare you for that moment
When it will be your turn to shine
Try believing in yourself
You can change your state of mind
I'm cool now
Got a different state of mind
Believing In myself
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
Feelin' lucky lately
Though it's still an uphill climb
Got a feeling that my turn is
Coming around
Feelin' lucky lately
I can feel this is my time
And I think that I can make it
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最近、ラッキーな感じがする
私の番がきたってわかる
きっとうまくいく気がするの
最近、ツイてる気がする
まだ上り坂だけど
予感がするの
もうすぐ私の順番が回ってくるって
自分は一番不幸せな人間だと思ってた
自信なんてほとんどなかったし
たいして意味はなかったのかもね
高すぎる目標を持っていても
自己肯定感がなかったら
どうやって夢を叶えるっていうの?
今の私は大丈夫
心の在り方が変わった
自分自身を信じている
最近、ラッキーな感じがする
私の番がきたってわかる
きっとうまくいく気がするの
最近、ツイてる気がする
まだ上り坂だけど
予感がするの
もうすぐ私の順番が回ってくるって
昔は、運が悪いのは私の宿命だと思ってた
だって私が前に進もうとすると
代わりに誰かの番になってしまうから
でもね、人生がつらいときでも
できない、なんて思わないで
欲しいものを手に入れるには
スタミナを身につけなくっちゃね
今の私は大丈夫
心の中が強くなった
自分を信じながら
最近、ラッキーな感じがする
私の番がきたってわかる
きっとうまくいく気がするの
最近、ツイてる気がする
まだ上り坂だけど
予感がするの
もうすぐ私の順番が回ってくるって
もし自分の運命を変えたいなら
少しは現実的に考えてみて
いくらか自信を持てたなら
そんな障害なんて乗り越えられる
その瞬間のための準備しておくの
あなたが輝く順番が来る時のために
自分自身を信じてみて
心の在り方は変えられる
今の私は大丈夫
心の在り方が変わった
自分自身を信じている
最近、ラッキーな感じがする
私の番がきたってわかる
きっとうまくいく気がするの
最近、ツイてる気がする
まだ上り坂だけど
予感がするの
もうすぐ私の順番が回ってくるって (拙訳)
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当時は爽快なダンスナンバーとして聴いていましたが、歌詞を読んでみると今の時代によく見かける自己啓発的なメッセージと重なる内容でしたね。
さて、1980年代前半のR&Bシーンを振り返るときに、大変異色で興味深いプロフィールのプロデューサーがいます。それがジャック・フレッド・ペトラス(Jacques Fred Petrus)です。彼はイタリアのミュージシャンの楽曲と演奏にニューヨークの黒人シンガーのヴォーカルをのせるという制作スタイルで成功したフランス人なんです。
音楽を作ったり演奏できなかった彼はアレンジャーのマウロ・マラヴァシ(Mauro Malavasi)と組むことで、まだ無名だったルーサー・ヴァンドロスが在籍した”チェンジ(Change)”など、都会的なダンス・ミュージックを数多く生み出しています。
ペトラスはカリブ海に浮かぶフランス領インド諸島グアドループ出身で幼い頃からアメリカのR&Bに夢中でした。15歳で貨物船の機関士として働き始めると、18歳でパリでDJに転身、19歳でイタリアのミラノに移るとディスコ・レコードの輸入販売で成功し、レコード店チェーンを拡大し、その資金で音楽制作に乗り出します。そこで出会ったのが才能のある若きミュージシャン、マウロでした。ペトラスはマウロの音楽学校の学費を出しながら、二人でディスコで成功する、イタリア版ギャンブル&ハフ(フィリー・ソウルの大プロデューサー)になる、という野望を持ってチームを組み、「グッディ・ミュージック・プロダクション(GMP)」という制作会社を立ち上げます。
そこに、ベーシストのダヴィデ・ロマーニ(David Romani)、ギタリストのパオロ・ジャノリオ、キーボード兼サックス奏者のルディ・トレヴィジといった若き才能を加えます。野心がありビジネスに長けた人物が、才能のある作曲家、アレンジャーや、優秀なミュージシャンを集めて大量生産できるシステムを作るというのは、初期のモータウンなどと同じですね。
そしてペトラスはアメリカ市場を狙うため、アメリカのミュージシャン、ソングライター、スタジオにもアプローチしてニューヨークに”リトル・マッチョ”という会社を設立、イタリアとアメリカの二拠点で展開していきます。演奏はイタリアで録音し、ヴォーカルはニューヨークで録る、というスタイルが多かったようです。そして、彼らが手がけたチェンジ、BB&Q.バンドなどのスタジオ・ミュージシャンによるユニットがクラブ・シーンで人気になり、R&Bチャートをにぎわしていくことになります。
チェンジ「A Lover's Holiday」(1980年全米40位 R&B5位)
B.B&Q.バンド「On The Beat」(1981年R&B8位)
その後、ペトラスがディスコの大人気バンド、シック(Chic)をモデルにして作ったのが、アリソン・ウィリアムズ、メリサ・モーガン、エリック・マクリントンの3人からなるこのハイ・ファッションでした。
1982年、アルバム『Feelin' Lucky』でキャピトル・レコードからデビュー。そこからのシングルが「Feeling Lucky Lately」でした。曲はR&Bチャートには入りましたが、1983年にリリースされたセカンド・アルバム『Make Up Your Mind』が全く売れなかっため解散してしまいます。しかし、ウィリアムズとモーガンはその後それぞれがソロ・シンガーとして成功を収めています。
メリサ・モーガンの最大ヒットはプリンスのカバー「Do Me Baby」
『Feelin' Lucky』というアルバムで最も注目すべきは、当時台頭してきた”カシーフ”をいち早くプロデューサーに抜擢し、4曲関わらせているところです。
ジャック・フレッド・ペトラスは、ビジネスにシビアなくせにギャラの支払いもせずに自分に使うという大変評判の悪い人物だったようですが(彼は1987年にトラブルで銃殺されてしまいますが、マフィア絡みじゃないかという説もあるそうです)、音楽家を見つける才能は間違いなかったようです。上記のように、無名時代のルーサー・ヴァンドロス、カシーフ、メリサ・モーガン、アリソン・ウィリアムスの他ジャム&ルイスも早い段階で使っているんですよね。何より彼の片腕だったマウロ・マラヴァシのサウンド・プロダクションやダヴィデ・ロマーニのベース・プレイなどは、本場のR&Bアーティストに引けを取らないクオリティだと思います。
ペトラスはディスコで一攫千金を狙ったわけですが、「ポスト・ディスコ」として成功を収めました。彼が乗り出したタイミングはディスコ・ブームはすでに末期だったのですが、ポスト・ディスコ時代を担うニューヨークのセッション・シンガーやサウンド・プロデューサーがどんどん世に出るタイミングと場所に居合わせた幸運をしっかり掴み、制作に反映させていったことが彼の成功の秘訣だったように思います。時代に合わせて柔軟にアップデートさせる、という。
サウンド面ではディスコの中でも特にリズムが最も尖っていて、その後のシンセ・ファンクとの親和性もあった「シック(Chic)」を指標にしていたので、移行しやすかったというのもあると思います。
当時の日本で、この辺のディスコ以降の新たなR&Bにいち早く反応し、自身の作品に反映させていたのが、角松敏生でした。『After 5 Clash』(1984)や『GOLD DIGGER〜with true love〜』(1985)といったアルバムはそういった観点からも楽しめると思います。
ハイ・ファッションのリリースと同じ1982年にペトラスは、マラヴァシとロマーニを中心とするスタジオ・ミュージシャン・ユニットをリリースしています。セールス的には成功していませんが、彼ららしいサウンドが存分に発揮されていて、角松との親和性も感じます。ユニット名は”ZINC"。「Street Level」という曲を最後にどうぞ。


