まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ゲット・ラッキー(Get Lucky)」ダフト・パンクfeat.ファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャース(2013)

   おはようございます。

 今日はダフト・パンクファレル・ウィリアムスとネイル・ロジャースをフィーチャーした「ゲット・ラッキー」です。


www.youtube.com

Like the legend of the phoenix
All ends with beginnings
What keeps the planet spinning
The force from the beginning


We've come too far
To give up who we are
So let's raise the bar
And our cups to the stars


She's up all night to the sun, I'm up all night to get some
She's up all night for good fun, I'm up all night to get lucky
We're up all night to the sun, we're up all night to get some
We're up all night for good fun, we're up all night to get lucky
We're up all night to get lucky, we're up all night to get lucky
We're up all night to get lucky, we're up all night to get lucky


The present has no ribbon
Your gift keeps on giving
What is this I'm feeling?
If you want to leave, I'm with it


We've come too far
To give up who we are
So let's raise the bar
And our cups to the stars


She's up all night to the sun, I'm up all night to get some
She's up all night for good fun, I'm up all night to get lucky
We're up all night to the sun, we're up all night to get some
We're up all night for good fun, we're up all night to get lucky
We're up all night to get lucky, we're up all night to get lucky
We're up all night to get lucky, we're up all night to get lucky


We're up all night to get、、、
We're up all night to get lucky、、、


We've come too far
To give up who we are
So let's raise the bar
And our cups to the stars


She's up all night to the sun, I'm up all night to get some
She's up all night for good fun, I'm up all night to get lucky
We're up all night to the sun, we're up all night to get some
We're up all night for good fun, we're up all night to get lucky、、、

 

****************************************************************

不死鳥の伝説のように
すべての終わりには始まりがある
この惑星を回転させるもの
それは始まりからあるフォース(力)


自分らしさをあきらめてしまうには

僕たちは遠くまで来てしまった
だからもっとハードルを上げて
カップを掲げ、星たちに乾杯しよう


彼女は日の出まで起きている 僕は何かをつかむために起きている
彼女は楽しむために一晩中起きている、僕は幸運をつかむために一晩中起きている
僕たちはお日様が登るまで起きている 僕たちは何かをつかむために起きている
僕たちは楽しむために一晩中起きている、
僕たちは幸運をつかむために一晩中起きている
僕たちは幸運をつかむために一晩中起きている

 

プレゼントにはリボンがない
君のギフトは 与え続ける
僕が今感じているのは何?
君が立ち去りたいのなら、僕も付き合うよ

 

僕たちはここまでやってきたんだから
自分であることをあきらめたりしない
だからバーを上げよう
カップは星へ


彼女は日の出まで起きている 僕は何かをつかむために起きている
彼女は楽しむために一晩中起きている、僕は幸運をつかむために一晩中起きている
僕たちはお日様が登るまで起きている 僕たちは何かをつかむために起きている
僕たちは楽しむために一晩中起きている、
僕たちは幸運をつかむために一晩中起きている
僕たちは幸運をつかむために一晩中起きている、、、   (拙訳)

****************************************************************

 

 ダフト・パンクはエレクトリック・ミュージック・シーンを代表するフランスのデュオで、彼らもナイル・ロジャースがいた名ディスコ・グループ”シック”の影響を受けたと公言しています。

 

 ディスコの語源になっている”ディスコティーク”はフランス語で”レコード置き場”という意味らしく、第二次大戦中にナイトクラブでバンドの生演奏ができないかわりにレコードをかけるようになったことが発祥で、ラ・ディスコティークという店もパリにあったようです。

 

 1970 年代にはエレクトリック・ディスコのパイオニアのひとりである”セローン”というプロデューサーが現れたり、あの「Y.M.C.A」のヴィレッジ・ピープルのプロデューサー、ジャック・モラリとアンリ・ベロロもフランス人だったりと、実はフランスはディスコと大変縁が深い国でもあります。

 

 ちなみに、ロッド・スチュワートのディスコ曲「アイム・セクシー」も本国イギリスよりフランスのほうが売れたそうです。

 

 さて、ディスコ・ブームが始まった1970年代半ばに生まれたダフト・パンクの二人はまず、スリーピースのパンク・バンドを組んだようです。パンクなのにバンド名は「ダーリン」。ビーチボーイズの曲で山下達郎もカバーしている「ダーリン」からとったそうで、カバー(?。ただコードをかき鳴らしているだけですが、、)も録音しています。

 


Darlin' - Darlin

 音楽ライターから「Daft Punky Thrash」(Thrashはスラッシュ・メタルのスラッシュですから、間抜けでパンクなかき鳴らし、とでも言いますか、、)と酷評されたのをかえって面白がって、そこから「Daft Punk」という名前を思いつき、ハウスミュージックに転身したようです。

 彼らがナイル・ロジャースと知り合うきかっけは、1997年のデビューアルバム「ホームワーク」のNYでのリスニング・パーティで、そこに彼も招かれていたそうです。

 彼らの曲「Around The World」はシックの影響があると言われていますし、ナイル・ロジャースもシックに近い音楽性を感じたと語っています。


DAFT PUNK – AROUND THE WORLD (Official Music Video)

 

 さて、この「ゲット・ラッキー」は最初ダフト・パンクの二人がベーシックなデモを作っていて、ベースのネイザン・イースト、ドラムスのオマー・ハキムというスーパー・ミュージシャンのプレイをすでに録音していました。それをナイルに聴かせて、彼の要望ででドラム以外は全てミュートさせて、そこにギターをダビングしたようです。そして、そのギターに合うようにネイザンにベースを弾き直してもらったそうです。

 そして、そこに、ファレル・ウィリアムスが登場します。自身のユニット”ネプチューンズ”でダフト・パンクのリミックスをやったこともあり旧知の仲でしたが、マドンナのパーティーで会った時に彼らがアルバムを作っていると聞いて、ファレルはぜひ協力したいと申し出ました。

 そして、パリで3人で打ち合わせしながら、ファレルがナイル・ロジャースにインスパイアされて作っている曲の一部を聴かせたそうで、ダフト・パンクが実は今ナイルと曲を作っているという話をすると、彼は”大西洋を挟んで同時に同じことをやっていた”とすごく驚いたそうです。

 

 ”幸運をゲットするために僕らは朝まで起きている”というリピートされる歌詞は

夜が終わってほしくない、音楽がリピートするように、素晴らしいひと時がずっと続い欲しいという願望を意味しているそうです。

 まさに、クラブ・ミュージックのアンセムにぴったりの歌詞です。

 

 「ゲット・ラッキー」はディスコですが、70年代のディスコ曲とは大きく違います。

これは僕の主観ですが、70年代ディスコに大事なのは”ムード”でした。それは、ボーカルとストリングスで甘くきらびやかに演出されたものです。音楽に”ドラマ”があったわけです。そのディスコからそういった虚飾をとりはらって、"ビート"の気持ち良さに特化していったのが、今のダンス・ミュージックです。

   ムード”から”ビート”へ。

   同じ四つ打ちのビートを刻みながらも、最初はバンドの後ろで全体を支えていたドラムスが、打ち込みになり前面に出てきて主役の座についた、そんなイメージです。

 

 そして70年代後半に、きらびやかな演出は多少残しながらも、ダンス・ミュージックとしての「骨格」を浮き彫りにし、再構築したのがシックでした。

 ディスコの「飾り」ではなく「骨格」を極めた人だからこそ、ナイル・ロジャースは、その後の世代のダンス・ミュージックのクリエイターにリスペクトされているのだと思います。

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com