まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ゲット・ラッキー(Get Lucky)」ダフト・パンクfeat.ファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャース(2013)

   おはようございます。

 今日はダフト・パンク。エレクトリック・ミュージックを代表するフランスのデュオで、彼らもまたシックの影響を受けたと公言しています。

 

 ディスコの語源になっている”ディスコティーク”はフランス語で”レコード置き場”という意味らしく、第二次大戦中にナイトクラブでバンドの生演奏ができないかわりにレコードをかけるようになったことが発祥で、ラ・ディスコティークという店もパリにあったようです。

 1970 年代にはエレクトリック・ディスコのパイオニアのひとりである”セローン”というプロデューサーが現れたり、あの「Y.M.C.A」のヴィレッジ・ピープルのプロデューサー、ジャック・モラリとアンリ・ベロロもフランス人だったりと、実はフランスはディスコと縁が深い国でもあります。

 ちなみに、ロッド・スチュワートのディスコ曲「アイム・セクシー」も本国イギリスよりフランスのほうが売れたそうです。

 

 さて、ディスコ・ブームが始まった1970年代半ばに生まれたダフト・パンクの二人はまず、スリーピースのパンク・バンドを組んだようです。パンクなのにバンド名は「ダーリン」。ビーチボーイズの曲で山下達郎もカバーしている「ダーリン」からとったそうで、カバー(?。ただコードをかき鳴らしているだけですが、、)も録音しています。

 


Darlin' - Darlin

 音楽ライターから「Daft Punky Thrash」(Thrashはスラッシュ・メタルのスラッシュですから、間抜けでパンクなかき鳴らし、とでも言いますか、、)と酷評されたのをかえって面白がって、そこから「Daft Punk」という名前を思いつき、ハウスミュージックに転身したようです。

 彼らがナイル・ロジャースと知り合うきかっけは、1997年のデビューアルバム「ホームワーク」のNYでのリスニング・パーティで、そこに彼も招かれていたそうです。

 彼らの曲「Around The World」はシックの影響があると言われていますし、ナイル・ロジャースもシックに近い音楽性を感じたと語っています。


DAFT PUNK – AROUND THE WORLD (Official Music Video)

 

 さて、この「ゲット・ラッキー」は最初ダフト・パンクの二人がベーシックなデモを作っていて、ベースのネイザン・イースト、ドラムスのオマー・ハキムというスーパー・ミュージシャンのプレイをすでに録音していました。それをナイルに聴かせて、彼の要望ででドラム以外は全てミュートさせて、そこにギターをダビングしたようです。そして、そのギターに合うようにネイザンにベースを弾き直してもらったそうです。

 そして、そこに、ファレル・ウィリアムスが登場します。自身のユニット”ネプチューンズ”でダフト・パンクのリミックスをやったこともあり旧知の仲でしたが、マドンナのパーティーで会った時に彼らがアルバムを作っていると聞いて、ファレルはぜひ協力したいと申し出ました。

 そして、パリで3人で打ち合わせしながら、ファレルがナイル・ロジャースにインスパイアされて作っている曲の一部を聴かせたそうで、ダフト・パンクが実は今ナイルと曲を作っているという話をすると、彼は”大西洋を挟んで同時に同じことをやっていた”とすごく驚いたそうです。

 

 ”幸運をゲットするために僕らは朝まで起きている”というリピートされる歌詞は

夜が終わってほしくない、音楽がリピートするように、素晴らしいひと時がずっと続い欲しいという願望を意味しているそうです。

 まさに、クラブ・ミュージックのアンセムにぴったりの歌詞です。

 

 「ゲット・ラッキー」はディスコですが、70年代のディスコ曲とは大きく違います。

これは僕の主観ですが、70年代ディスコに大事なのは”ムード”でした。それは、ボーカルとストリングスで甘くきらびやかに演出されたものです。音楽に”ドラマ”があったわけです。そのディスコからそういった虚飾をとりはらって、"ビート"の気持ち良さに特化していったのが、今のダンス・ミュージックです。

   ムード”から”ビート”へ。

   同じ四つ打ちのビートを刻みながらも、最初はバンドの後ろで全体を支えていたドラムスが、打ち込みになり前面に出てきて主役の座についた、そんなイメージです。

 

 そして70年代後半に、きらびやかな演出は多少残しながらも、ダンス・ミュージックとしての「骨格」を浮き彫りにし、再構築したのがシックでした。

 ディスコの「飾り」ではなく「骨格」を極めた人だからこそ、ナイル・ロジャースは、その後の世代のダンス・ミュージックのクリエイターにリスペクトされているのだと思います。

 

 

 

 

 


Daft Punk - Get Lucky (Full Video)

 

Get Lucky

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