まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ステッピン・アウト(Steppin' Out)」ジョー・ジャクソン(1982)

 おはようございます。

 今日はジョー・ジャクソンの「ステッピン・アウト」を。

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Now
The mist across the window hides the lines
But nothing hides the color of the lights that shine
Electricity so fine
Look and dry your eyes

We
So tired of all the darkness in our lives
With no more angry words to say can come alive
Get into a car and drive
To the other side

Me babe, steppin' out
Into the night
Into the light
You babe, steppin' out
Into the night
Into the light

We
Are young but getting old before our time
We'll leave the T.V. and the radio behind
Don't you wonder what we'll find
Steppin' out tonight?


You
Can dress in pink and blue just like a child
And in a yellow taxi turn to me and smile
We'll be there in just a while
If you follow me

Me babe, steppin' out
Into the night
Into the light
You babe, steppin' out
Into the night
Into the light

Me babe, steppin' out
Into the night
Into the light
You babe, steppin' out
Into the night
Into the light
Me babe, steppin' out
Into the night
Into the light

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ウィンドウいっぱいの霧が車線を隠す
だけど、輝くネオンの色は隠せない
電気ってなんて素晴らしいんだ
見てごらん、 目が乾くくらいに

僕たちは
人生の暗闇にもううんざりしている
怒りの言葉はもう言わないで
生き返ることはできる
車に乗りこんで、走らせよう
あっち側の世界へ

僕と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ
君と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ

僕たちは
若いけど、楽しむ前に年をとってしまう
テレビもラジオも放っておいて
何を見つけられるか楽しみじゃない?
外に出かけよう、今夜


君はピンクとブルーの服で着飾ってもいい 子供みたいに
黄色いタクシーの中で  君は振り向いて微笑む
僕たちはもうすぐそこに着くんだ
もし、君が僕についてくるなら

僕と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ
君と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ

僕と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ
君と、ベイブ、外へ踏み出そう
夜の中へ
光の中へ
僕と、ベイブ、出かけよう
夜の中へ
光の中へ

        (拙訳)

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イースト・ヴィレッジに短期間部屋を借りて、ジャズやラテンのクラブに出かけたんだ。そして、最初に作った曲のひとつが『Steppin' Out』だった。僕はニューヨークにインスパイアされたんだ。僕はいろんな種類のキーボードを演奏することを想定していた。それによって、ネオンの眩しさや、クラブからクラブへとタクシーで移動しているような感じを呼び起こしてひとつにまとめたいと思いました。ディスコのビートに合わせたロマンチックなバラードになるはずだった。音楽が完成すると、すぐに歌詞を書いた。喧嘩をして仲直りしたカップルを思い浮かべたんだ。彼らはお互い言い合うんだ「さあ忘れて、この街を楽しもう。夜の街に飛び込むんだ」って」

 (The Wallstreet Journal   June 13  2018)

 

  偏屈な曲者(勝手に決めつけてますが、、)ジョー・ジャクソンでさえ、1980年初頭のニューヨークの夜には、胸踊るような魔法を感じたんですね。

 

 彼は1954年にイギリスのスタフォードシャー州で生まれ、本名はデビッド・イアン・ジャクソンといいました。

 貧しい労働者階級で育った彼は、3歳のときに喘息と診断され、スポーツをすることができなかったため、音楽に興味を持たようです。11歳でバイオリンを習い始め、その後学校でティンパニオーボエを学んだそうです。また、10代前半の頃、両親が中古のピアノを買ってきてくれたのでレッスンを受けるようになり、作曲家になりたいと考えるようになります。ジャズに興味を持った彼は、16歳のときにトリオを組み、パブでピアノを弾ようになりました。

 音楽を学ぶための助成金を得て、ロンドンの王立音楽院に入学しました。そして、ポップスのバンドに参加したときに、テレビの人形劇「ジョー90」のキャラクターに似ているということで、バンドメンバーから「ジョー」と呼ばれるようになったといいます。

 「ジョー90」はこんなキャラクターです。

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 そして、彼のレコードデビューは1976年"Arms&Legs"というバンドのメンバーとしてでした。主要メンバーではありませんでしたが、シングルのB面で彼の作品を聴くことができます。

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 これはもう、完全にスティーリー・ダンですね。当時の彼の嗜好性がわかって興味深いと思います。

 レコードが全く売れなかったこともあって脱退した彼は自身のバンドを結成し、デモテープを販売していましたが、それがA&Mレコードの人間の興味を引き、デビューすることになります。

 1978年。イギリスはパンク、ニューウェイヴの最盛期。彼もそのシーンにしっかりと加わっていました。デビュー・アルバムは「ルック・シャープ」、デビュー曲は「奴に気をつけろ」でした。

 

「奴に気をつけろ(Is She Really Going Out with Him?)」全米21位、全英13位

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 日本に紹介された時は、エルヴィス・コステロ、グラハム・パーカーとともに”怒れる若者”なんて紹介されてきたのをおぼえています。

 また、パンク・ムーヴメントから出てきたイギリスのアーティストでアメリカでも売れた人たちって、コステロやクラッシュ、プリテンダーズとか、この人とか、本来、音楽的な引き出しの多い、音楽的素養がちゃんとある人たちだったんですよね。

 

 その後、彼は「アイム・ザ・マン」「ビート・クレイジー」とアルバムを出しますが、ツアーで体調を崩し実家に戻って療養しているときに、ジャンプ・ブルースやスウィング・ジャズにはまり、それが四枚目のアルバム「Jumpin' Jive」というアルバムにつながります。

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  このあたりで、多くのリスナーも”この人は根がパンクの人じゃなかったんだ”と気づき始め多様に思います。

 そして、その次にリリースされたのがこの「ステッピン・アウト」が収録されたアルバムが「ナイト・アンド・デイ」でした。

 「ナイト・アンド・デイ」は全英3位、全米5位、とかれ最大のヒットとなり、「ステッピン・アウト」も全米、全英共に6位の大ヒットになりました。

 

 その後彼は、ニューヨークに移住し、ジャズ色の強いアルバム「ボディ・アンド・ソウル」をリリースし、その後も毎回音楽性もコンセプトも全く違う作品をリリースし、

”コアなファンしかついていけない”状況になっていきます。

 そして2000年には「ナイト・アンド・デイ II」をリリースしますが、当然、そこにはかつてのきらびやかでロマンティックなニューヨークはありませんでした。

 

 今年に入って、彼が2005年にトッド・ラングレンと一緒にライヴをやった時の音源がリリースされ、その中に「ステッピン・アウト」も入っていて、ピアノのみの弾き語りでした。

 最後は「ナイト・アンド・デイ」からの2番目のヒット「危険な関係( Breaking Us In Two)(全米18位)を

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