まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「シャウト・トゥ・ザ・トップ(Shout To The Top)」スタイル・カウンシル(1984)

  おはようございます。

 今日はポール・ウェラーのバンド、スタイル・カウンシルの「シャウト・トゥ・ザ・トップ」です。


The Style Council - Shout To The Top

 

”  オレは心が決まらず 困窮もしていた

 そして雨が降ってきたときに ひざまずき祈った

   オレは言った ”ああ天にまします我らが神よ どうぞ私の魂を清めてください

   売りに出されているものどれを見ても 全然心が動かないんです”

 

 オレは家に帰る途中で 頭が半分イカれてた

 どのショー・ウィンドウもオレには同じに見えたんだ

 オレは言った ”この人生を救う啓示を私にください

 というのは、私の毎日のこの時に何も確かなものはないからです”

 

 そうさ、生まれた時と変わらないほど自分が無知だってことが

 わかってくるというのは恐ろしいことだ

 そして頼まれたわけじゃないのに(そのままでいたほうがいいかもしれない)

  毎日欠かさず心に誓っているんだ

 

 背中を叩かれ 人生に失敗し

 どん底に倒れこんで 他に何もないときは

 上に向かって叫ぶしかないんだよ

  さあ叫べ、上に向かって さあ叫べ、上に向かって

  上に向かって叫ぶんだ

 

    そうさ、生まれた時と変わらないほど自分が無知だってことが

 わかってくるっていうのは恐ろしいことだ

 そして頼まれたわけじゃないのに(そのままでいたほうがいいかもしれない)

  毎日欠かさず心に誓っているんだ

 

 上に向かって叫ぶんだ   上に向かって叫ぶんだ ” (拙訳)

 

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I was half in mind I was half in need
And as the rain came down I dropped to my knees and I prayed
I said "oh Heavenly thing please cleanse my soul
I've seen all on offer and I'm not impressed at all"

I was halfway home I was half insane
And every shop window I looked in just looked the same
I said send me a sign to save my life
'Cause at this moment in time there is nothing certain in these day's of mine

We see, it's a frightening thing when it dawns upon you
That I know as much as the day I was born
And though I wasn't asked (I might as well stay)
And promise myself each and every day that is

That when you're knocked on your back an' your life's a flop
And when you're down on the bottom there's nothing else
But to shout to the top shout
Well, we're gonna shout to the top
We're gonna shout to the top
We're gonna shout to the top
Yeah, we're gonna shout to the top

'Cause it's a frightening thing when it dawns upon you
That I know as much as the day I was born
And though I wasn't asked (I might as well stay)
And I promise myself each and every day that

We're gonna shout to the top (shout)
Ooh, we're gonna shout to the top (shout)

So when you're knocked on your back an' your life's a flop
And when you're down on the bottom there's nothing else
But to shout to the top (shout)
Well, we're gonna shout to the top (shout)
We're gonna shout to the top (shout)
We're gonna shout to the top (shout)

And you're knocked on your back an' your life's a flop
And when you're down on the bottom there's nothing else
But to shout to the top (shout)
We're gonna shout to the top (shout)
I'm gonna shout to the top (shout, shout)
We're gonna shout to the top (shout)

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    1980年代のイギリスは、ワム!、カルチャークラブ、ポール・ヤングなどR&B色の強い曲をやる白人アーティストたちが大きな潮流になっていましたが、パンク・ロッカーだったポール・ウェラーまでもが、R&B色の強い洗練された音楽を始めたのはすごく印象的でした。

 しかし、彼はもともとR&Bも愛好していて、彼の最初のバンド”ザ・ジャム”でも、年々そのテイストはどんどん色濃くなっていました。

 

 ただし、ザ・ジャム時代は古いR&Bを3ピース・バンドでソリッドにやっていたわけですが、スタイル・カウンシルでは一気に洗練されたサウンドになったという印象がありました。

 ただし歌詞の世界までおしゃれになったわけではなく、当時”怒れる労働者階級の若者の代弁者”として支持されていた、彼らしいメッセージ・ソングになっています。

 

 ザ・ジャム時代のパンクのイメージに重ねて「SHOUT TO THE TOP」を権力や上流階級に嚙みつけ!みたいに訳したものがネットでは多かったのですが、もちろん、そういう意味はきっとメインにあるでしょうが、内面的なメッセージの方も僕は強く感じました。

 どん底にいるときに無力感にとらわれたままでいるな、顔を上げて自分自身の存在をアピールすることしかできないじゃないか、と。

 

 攻撃的なパンク・サウンドで表現できるものの限界、それに乗せて伝えられるメッセージのトーンが一辺倒になってしまうというフラストレーションをザ・ジャム時代に彼はきっと感じていて、もっと違う次元で社会的なメッセージを伝えられる方法として、黒人音楽の持つ気分を高揚させるサウンドを選んだのじゃないかと僕は思います。

 

 言い換えれば、「SHOUT TO THE TOP」の同じ歌詞をスリーピース・バンドのパンク・サウンドで歌えば”権力や上流階級に嚙みつけ”って100%感じるでしょうし、それがR&Bのフォーマットになると、いくぶん精神的なニュアンスが立ち上がってくる、ということじゃないかと僕は考えます。

 

 さて、この「シャウト・トゥ・ザ・トップ」は彼らのセカンド・アルバム「アワ・フェイヴァリット・ショップ」からのファースト・シングルで全英7位まで上がりました。

 

   僕が注目したいのは、二人の女性バック・シンガー。

一人はDee.C.Lee(ディー・シー・リー)。Wham!のバックで有名になり、スタイルカウンシルでは、メンバー兼ポール・ウェラーの彼女としても知られ、1986年にはソロ・アルバムもリリースしています。

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 もう一人はアリソン・リメリック。1990年にソロ・デビューし、1992年のこのシングルは当時日本のFMでもよく耳にして、僕も個人的に愛聴していました。

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 最後は「アワ・フェイヴァリット・ショップ」から2曲目のシングル「Walls Come Tumbling Down!」を。

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