まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ホールディング・バック・イヤーズ(Holding Back the Years)」シンプリー・レッド(1985)

 おはようございます。

 今日はシンプリー・レッド「ホールディング・バック・イヤーズ(Holding Back the Years)」です。

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Holding back the years
Thinking of the fear I've had so long
When somebody hears
Listen to the fear that's gone


Strangled by the wishes of pater
Hoping for the arms of mater
Get to me the sooner or later


Holding back the years
Chance for me to escape from all I've known
Holding back the tears
'Cause nothing here has grown


I've wasted all my tears
Wasted all those years
And nothing had the chance to be good
Nothing ever could yeah,


I'll keep holding on
I'll keep holding on
I'll keep holding on
I'll keep holding on
So tight

 

Well, I've wasted all my tears
Wasted all of those years
And nothing had the chance to be good
'Cause nothing ever could, oh, yeah

 

I'll keep holding on
I'll keep holding on
I'll keep holding on
I'll keep holding on
Holding, holding, holding



I say ooh yeah
That's all I have today
It's all I have to say

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胸に秘めたあの年月
長い間抱いてきた恐怖を思いながら
誰か聞いてくれるなら
消えていった恐怖に耳を傾けて


父の願いに絞めつけられ
母の腕に抱かれたいと望み
それはいずれ僕を苦しめる


胸に秘めたあの年月
僕の知る全てから逃げ出す機会
涙をこらえている
ここでは何も育たないから


虚しく涙流してきた
今までの年月を無駄にして
何も良くなるチャンスはなかった
何もできなかった


僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
強く

 

虚しく涙流してきた
今までの年月を無駄にして
何も良くなるチャンスはなかった
何もできなかった

 


僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
僕は持ちこたえ続ける
がんばって、がんばって、、


今日言えるのはこれだけ
それが僕が言えること全部だ

 

                   (拙訳)

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   シンプリー・レッド1984年、イギリス・マンチェスター生まれのシンガーのミック ・ハックネルを中心に、ベーシストのトニー・バウワーズ、ドラマーのクリス・ジョイス、ブラス、バックボーカルのティム・ケレット、ギターのデヴィッド・フライマン(すぐに、シルヴァン・リチャードソンの交替)、キーボードのフリッツ・マッキンタイアによって結成されました。

 

 ”レッド”はミック・ハックネルが赤毛であったことと、彼が愛するマンチェスターユナイテッドのホームシャツの色だったことからきているようです。

 

 ハックネルは1970年代後半にロンドンで爆発した”パンク・シーン”に影響され、フランティック・エレヴェイターズ (The Frantic Elevators) という名のパンクバンドを結成し、7年の間活動し、地元のレーベルから数枚のレコードを出しましたが、1984年に解散しています。

 

 実は、フランティック・エレヴェイターズの最後のシングルだったのが「ホールディング・バック・イヤーズ」だったのです。

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 パンク・ムーヴメントが下火になるにつれ、R&Bやソウル・ミュージックに向かっていったアーティトは少なくなく、その象徴的な存在がジャムのポール・ウェラーですが、最初からR&B色の強い楽曲で世に出たミック・ハックネルも実は同じような道を辿っていたんですね。

 

 作者のミック・ハックネルはこう語っています。

「この曲は1978年、僕が10代の頃に書きました。アート・スクールで、先生が言ったんだ"最高の絵画は、その作品に没頭して意識の流れで描き始めたときに生まれる "と。僕は美術ではなく、音楽をやりたかったので、そのやり方で歌詞を書き始めたんだ。最初に書いた曲は「Ice Cream and Wafers」という曲。その次が「ホールディング・バック・イヤーズ」だった。

 書き終えるまで、何についての曲なのかわからなかった。この曲は、家を出て自分の足跡を残さなければならない、だけど外の世界は恐ろしい、そいう瞬間について歌っているんだ。だから、何年も耐えているんだ。

 "Strangled by the wishes of pater "という歌詞は、父が私に向かって叫んでいるものだ。「いつになったらまともな仕事をするんだ?立つ鳥あとを濁さず、だぞ!」" Hoping for the arms of mater "は "pater "と韻を踏んでいる、でも僕は母親というものがどんな存ものなのか知らないんだ。母は僕が3歳の時に出て行ってしまい、父は再婚しなかったから」

 (The Gurdian   27 Nov 2018)

 

 親子間の深い問題を扱った歌詞ですが、彼は最初からそういうテーマで書こうとしたのではなく、歌詞に没頭していくうちに浮かび上がってきたものだったんですね。だからこそ、彼の意識の一番深く大切な場所にあるものに触れることができたのかもしれません。

 

 この曲はシンプリー・レッドの三枚目のシングルとして1985年にリリースされましたが全英51位とふるいませんでした。

 しかし1986年に再発すると、全英2位、全米ではNO.1を獲得する大ヒットになっています。

 その後、彼らは大ヒットを数多くリリースしイギリスを代表するバンドとなりますが2010年に解散します。しかし、2015年に再結成し現在に至っています。

 また、かつてはドラマーの屋敷豪太、現在はギタリストの鈴木賢司という日本人がメンバーなっていたことも興味深いところです。

 

 また彼らは”ブルー・アイド・ソウル”、白人ながらR&Bフィーリングの強い音楽をやるアーティストの代表格として知られていますが、特にこの「ホールディング・バック・イヤーズ」が優れたR&Bであることを証明するようなカバーを2曲、これを最後に。

 

アンジー・ストーン、2000年の映画「Love & Basketball 」のサントラに収録されていました。

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アイズレー・ブラザーズ、1996年リリースのアルバム「Mission To Please」に収録されていたカバーです

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