まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「キス・ユー・オール・オーバー(Kiss You All Over)」エグザイル(1978)

 おはようございます。

 今日はエグザイルの「キッス・ユー・オール・オーバー」です。

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When I get home, babe
Gonna light your fire
All day I've been thinkin' about you, babe
You're my one desire

Gonna wrap my arms around you
Hold you close to me
Oh, babe I wanna taste your lips
I wanna be your fantasy, yeah

Don't know what I'd do without you, babe
Don't know where I'd be
You're not just another lover
No, you're everything to me

Every time I'm with you, baby
I can't believe it's true
When you're layin' in my arms
And you do the things you do

You can see it in my eyes
I can feel it in your touch
You don't have to say a thing
Just let me show how much

I love you
I need you, yeah

I wanna kiss you all over
And over again
I wanna kiss you all over
Till the night closes in
Till the night closes in

Stay with me, lay with me, holding me, loving me, baby
Here with me, near with me, feeling you close to me, baby

So show me, show me everything you do
Cause baby no one does it quite like you
I love you
I need you, yeah

I wanna kiss you all over
And over again
I wanna kiss you all over
Till the night closes in
Till the night closes in

Till the night closes in
Till the night closes in
Till the night closes in
Till the night closes in
Till the night closes in

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僕が家に帰ったら、ベイブ
君に火をつけてあげるよ
一日中、君のことを考えていたのさ、ベイブ
君は僕のただひとつの欲望

君に僕の腕をまわして
強く抱きしめよう
ああベイブ、君の唇を味わいたいんだ
君のファンタジーになりたいのさ

君なしではどうしたらいいのかわからないよ、ベイブ
私はどこにいたらいいのかも
君はただの恋人じゃなくて
そう、君は僕のすべてなんだ

君と一緒にいるときはいつも、ベイビー
それが本当だなんて信じられないよ
君が僕の腕に横たわっているとき
君のままでいればいいのさ

私の目を見ればわかるよ
君に触れたら感じるよ
何も言わなくていい
どれだけ愛しているかを伝えさせて

君が必要なんだ

君の全部にキスしたい
何度でも
君の全部にキスをしたい
夜が近づくまで
夜が近づくまで

一緒にいて  僕と横になって  抱きしめて  僕を愛して ベイビー
ここにいて、僕のそばにいて、君を近くに感じながら、ベイビー

だから見せてくれ  君のやること全部を
誰にも真似できないことを
愛してるよ
君が必要なんだ

君の全部にキスしたい
何度でも
君の全部にキスしたい
夜が近づくまで
夜が近づくまで。。。

               (拙訳)

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 エグザイルは、1963年にケンタッキー州で結成されたカントリー・バンドです。そんなキャリアの長いカントリー・バンドが、なぜ、まるで1980年代のブラコン(死語ですね、、)みたいな濃厚な歌詞の、少しディスコ調のサウンドの曲を大ヒット(全米4週連続1位)させたのでしょうか?

 

 バンドはもともと"THE EXILES"という名前でした。

メンバーのマーロン・ハーギスはこう語っています。

「オリジナルの名前の"The Exiles"は、63年にキューバ危機があって、人々はキューバ人亡命者(CUBAN EXILES)について話していたからさ」

(Eat Plat Rock    

 

  バンドは最初はカバー・バンドでローカルで人気があったようで、その後もカントリーにこだわらずに活動を続けていましたが、なかなかブレイクするには至らなかったようです。

 そこで、彼らが出会ったのがマイク・チャップマンでした。

 彼はイギリスでスウィートやスージー・クアトロなど大ヒットを連発した売れっ子プロデューサーで、1975年にロサンゼルスに移住していました。

 チャップマンはこう語っています。

「1975年にアメリカに渡ったのには3つの理由があるんだ。1つ目は、イギリスやその他の国で成功したのと同じだけの成功をアメリカで得られなかったことへのフラストレーション。もし、アメリカで成功したかったら、そこに住んで、その一部になる必要があったんだ。2つ目の理由は、ビバリーヒルズである女性と出会い、恋に落ちたんだ。しばらくの間、僕らは結婚していた。3つ目の理由は、ニッキー(チン)とのパートナーシップから逃れるためさ。僕はアーティスティックな意味では全くハッピーじゃなかったので、自分一人になる必要があったんだ」

 

 スウィートやスージー・クアトロなど、一緒に大ヒットをたくさん書いたニッキー・チンは成功とともに生活が乱れてゆき、仕事をやりにくい状況にあったようです。 

 アメリカに移住したものの、チャップマンの仕事はすぐには軌道に乗らなかったようでしたが、あるときデモテープの山の中から彼らのテープを見つけ、気に入ります。

 そして1976年に「Try It On」という曲を書きリリースすると全米97位になりました。

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  1976年というとジョニー・テイラーの「ディスコ・レイディ」が大ヒットしましたが、そういうゆるやかなディスコ・タッチの曲を既に彼らとチャップマンはやっていたんですね。

 そして1978年に、この「キス・ユー・オール・オーバー」が生まれます。

 チャップマンはローリングストーンのインタビューにこう答えています。

「この曲はとても変わった曲で、1978年頃のアメリカの音楽がどんなだったかということをよく表しているんだ。この曲はMOR(Middle Of the Road)ソフトロックで、純粋なディスコではないが少しディスコ風で、アメリカ人が好きな官能的な歌詞を持っているんだ。アメリカ人は歌詞をすごくよく聞く人たちで、すべての言葉に耳を傾けるんだ」

(PRS for Music     28 Sep 2011)

 イギリス人の客観的な視点で、アメリカ人の好みやヒットの傾向を考えて作ったようですね。それにしても、イギリス人からしたらアメリカ人は歌詞をよく聴く、というのは本当でしょうか?

 チャップマン自身がイギリスで歌詞はわりとどうでもいい曲(失礼!)で大ヒット連発してたからそう思っただけじゃないか、なんて思ったりしますが。

 

  ちなみに、彼はヒット曲を書くことについてこのように語っています。

「最高のヒット曲がすぐに作られるとは必ずしも思わない。だけど、最も自発的なアイデアが最大のヒット曲になるということには同意するよ。僕はいつも、頭の中が曲のフックでいっぱいだと感じているんだけど、これまでの最高の曲はとても早くできた。その後、曲を完成させるのにものすごく時間がかかることもある」

(PRS for Music     28 Sep 2011)

 

 それから僕が気になったのは、バンドのボーカリストのジミー・ストックリーです。

この曲の映像を見ると、他のメンバーは実直そうな人ばかりで、ちょっとこの曲調に合わない気もするのですが、ストックリーだけが、佇まいや身振りが、ほのかにグラム・ロック感を出してとても曲とマッチしています(他のメンバーからはちょっと浮いていますが、、)。

 ニック・ギルダーでも、デボラ・ハリーでも、ダグ・ファイガー(ザ・ナック)でも、ちょっと癖の強いボーカリストと、チャップマンの作品は一段と映える、そんな風に僕は思います。

 

 その後、ストックリーが脱退したこともあって1983年からは、カントリー・ミュージックに路線を変えますが、それが功を奏して、1980年代には10曲もの楽曲がカントリーチャート1位を記録しています。

 

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 マイク・チャップマンとニッキー・チンの作品でエグザイルが歌ってヒットしなかったものの中でで、その後カバーヴァージョンが大ヒットしたものがあります。

 それが「ハート・アンド・ソウル」。1983年にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースがカバーし全米8位まで上がり、彼らの大ブレイクのきっかけになりました。

 エグザイルのオリジナルを聴いてみると、ヒューイ・ルイス版のキャッチーなアレンジの原型がすでにあったことがわかります。

 今日はそれを最後に。

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