まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「キープ・オン・ラヴィング・ユー(Keep On Loving You)」REOスピードワゴン(1980)

 おはようございます。

 今日はREOスピードワゴンの「キープ・オン・ラヴィング・ユー」です。

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You should've seen by the look in my eyes, baby
There was something missing
You should've known by the tone of my voice, maybe
But you didn't listen
You played dead
But you never bled
Instead you lay still in the grass
All coiled up and hissing


And though I know all about those men
Still I don't remember
'Cause it was us, baby, way before them
And we're still together


And I meant, every word I said
When I said that I love you
I meant that I love you forever


And I'm gonna keep on loving you
'Cause it's the only thing I wanna do
I don't wanna sleep
I just wanna keep on loving you


And I meant, every word I said
When I said that I love you
I meant that I love you forever


And I'm gonna keep on loving you
'Cause it's the only thing I wanna do
I don't wanna sleep
I just wanna keep on loving you
And I'm gonna keep on loving you
'Cause it's the only thing I wanna do
I don't wanna sleep
I just wanna keep on loving you

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僕の目を見ればわかったはずさ、ベイビー
何かが失われていたんだ
僕の声のトーンで気づくべきだったのさ、たぶん
でも君は耳を貸さなかった
君は死んだふりをしていた
だけど血を流しちゃいなかった
かわりに、草むらでじっと横たわって
蛇のようにとぐろを巻いて威嚇していたんだ


そいつらののことは知っているけど
もう思い出せないのさ
だって僕ら二人だったから、ヤツらが現れるずっと前から
そして今も一緒にいるんだ


君を愛していると言ったときに
僕が言った言葉の一つ一つが
永遠に愛しているという意味なんだよ


君をずっと愛し続けるよ
だって、それだけが僕が望むこと
眠りたくなんかない
ただ君を愛し続けたい

君を愛していると言ったときに
僕が言った言葉の一つ一つが
永遠に愛しているという意味なんだよ


君をずっと愛し続けるよ
だって、それだけが僕が望むこと
眠りたくなんかない
ただ君を愛し続けたい

君をずっと愛し続けるよ
だって、それだけが僕が望むこと
眠りたくなんかない
ただ君を愛し続けたい

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  1970年代のロックの流れの大きな傾向の一つとして、下積みが長く、ライブではすごく人気のあるバンドが、ポップな方向に走ったことで大ブレイクする、というのがありました。

 最近このブログでピックアップしたスティックス、カンサスもそうですし、彼らがカテゴライズされるアリーナ・ロック(日本では産業ロックなどと呼ばれました)がその象徴的なジャンルですた。そして、そういう傾向を最もよく表していたのが、このREOスピードワゴンだったと思います。

 

 REOスピードワゴンは、1967年にイリノイ大学の学生であるキーボーディストのニール・ドーティとドラマーのアラン・グラッツァーによって結成されました。

  バンド名は、ランサム・イーライ・オルズ(Ransom Eli Olds)が設計した1915年製のトラック「REOスピード・ワゴン」からきていて、これは、ドーティがうけていた「交通史」の授業のときに黒板に書かれていたものだったそうです。

 

REO SPPED WAGON

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 彼らのマネージャーになったのが、同じイリノイ出身のアーヴィン・エイゾフ。のちに彼はイーグルス、ジャーニー、スティーリー・ダンなど抱える、音楽業界の超大物になるわけですが、彼が最初に契約したアーティストが彼らだったのです(2番目がダン・フォーゲルバーグ)。

 

 そして、彼らは1971年にメジャー・デビューを果たします。

 ”157 Riverside Avenue”

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   「キープ・オン・ラヴィング・ユー」とは、全く別のバンドに思えますよね、、。

  そして、1972年発売の2作目ではリード・ヴォーカリストが交代し、のちに「キープ・オン・ラヴィング・ユー」を書くケヴィン・クローニンが入ります。しかし、バンドはハードでブルージーなロックンロール・スタイルでした。

 シングルは、チャック・ベリーのカバー”Littele Queenie"

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 しかし、ケヴィンは他のメンバーとの音楽性の違いなどが原因でクビになってしまいます。彼の代わりにマイク・マーフィーというヴォーカリストを入れて3枚アルバムを作りますが成功することはできませんでした。

   1976年にケヴィンが再びバンドに戻り、1978年にリリースしたアルバム「ツナ・フィッシュ(You Can Tune a Piano, but You Can't Tuna Fish)」から「ロール・ウィズ・ザ・チェンジズ」(全米58位)と「出発の時(Time for Me to Fly)」(全米56位)という、彼らにとって初めての全米TOP100ヒットが生まれました。

 

 「出発の時(Time for Me to Fly)」。Netflixの人気ドラマ「オザークへようこそ(Ozark)」で使われリバイバル・ヒットし、2020年にビルボードのデジタル・シングル・チャートで34位になっています。

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 「ロール・ウィズ・ザ・チェンジズ」も「出発の時(Time for Me to Fly)」も書いたのはケヴィン。彼にバンドの主導権が移ったのがこのタイミングでした。

  そしてライヴ盤を挟んで、1980年にリリースされたアルバム「禁じられた夜(Hi Infidelity)」からのファーストシングルで全米1位になったのがこの「キープ・オン・ラヴィング・ユー」でした。

 

「『キープ・オン・ラヴィング・ユー』は、真夜中に思いついたんだ。シンプルなピアノのイントロと一緒に目が覚めると、小さな自宅スタジオにかけこんで、僕の古い赤のウーリッツァーのエレクトリック・ピアノの前に座ったんだ。Aメロは20分ほどでほぼ完成したよ。

 次の日の午後、僕はREOのリハーサルのときにピアノを独占したんだ。『禁じられた夜』に収録する曲を作っていたんだ。僕は座ったまま、そのAメロを何度も何度も弾いたんだ、サビが現れることを願いながら。そして、I-IV-Vというシンプルなコードパターンをやってみたとき、まるで魔法のようにメロディーと歌詞が現れたんだよ」

 

「それまで、バンド・メンバーは僕が弾いている曲に、全然興味を示さなかったんだけど、サビを聴いたゲイリー・リクラスは、ヴィンテージのレスポールをマーシャルのダブルスタック(註:ギター・アンプ)に接続して、ボリュームを上げたんだ。僕の演奏をかき消そうとしたのかもしれないけど、僕はピアノの椅子から飛び上がったよ。そのパワフルなロックの激しさは、その曲のメッセージを十分に表現するためにまさに必要なものだったんだ」

      (American Songwriter)

 また、Wikipediaによると別のインタビューでケヴィンはその時のことをこう語っています。

「僕は”この曲は僕にとってとても意味のあるものなんだよ”と言ったんだ。すると彼らは、”これはREOスピードワゴンの曲じゃないよ”と言った。だから僕はこう言ったよ”僕はREOスピードワゴンのメイン・ソングライターだから、僕が曲を作ればそれはREOスピードワゴンの曲になる。それをREOスピードワゴンの曲にするのがバンドの仕事だ"って。僕はこの曲にとても情熱を持っていた」

 

 おととい、このブログに登場したスティックスの「ベイブ」も、昨日登場したカンサスの「すべては風の中に」も、そしてこの「キープ・オン・ラヴィング・ユー」も”そのバンドらしくない曲”でした。

 

 しかし、スティックスもカンサスも作った人間がためらったものをバンド・メンバーが理解してくれたわけですが、REOの場合は作った人間が他のメンバーを押し切った、というのが違いです。

 

 ちなみに、「ベイブ」も「すべては風の中に」は”奥さんがらみ”の曲でしたが、この「キープ・オン・ラヴィング・ユー」も”奥さんがらみ”なのですが、こちらはハッピーなものじゃなく、結婚前に奥さんに浮気されたことが歌詞のテーマになっているようです、、。

 

 最後は彼らのもうひとつの全米NO.1ヒット「涙のフィーリング(Can't Fight This Feeling)」を。「キープ・オン・ラヴィング・ユー」の続編のような曲を求められてケヴィンが書き始めて途中で挫折し、エリック・カルメンの助けを得ようとしたところ、ケヴィンがインフルエンザになって共作できなくなり、ケヴィンがなんとか自力で書き上げた、なんてエピソードがあるそうです。

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