おはようございます。
今日は10CCの「アイム・ノット・イン・ラヴ」です。
I'm not in love
So don't forget it
It's just a silly phase I'm going through
And just because
I call you up
Don't get me wrong, don't think you've got it made
I'm not in love, no no, it's because..
I like to see you
But then again
That doesn't mean you mean that much to me
So if I call you
Don't make a fuss
Don't tell your friends about the two of us
I'm not in love, no no, it's because..
(Be quiet Big boys don't cry
Big boys don't cry、、、)
I keep your picture
Upon the wall
It hides a nasty stain that's lying there
So don't you ask me
To give it back
I know you know it doesn't mean that much to me
I'm not in love, no no, it's because..
Ooh you'll wait a long time for me
Ooh you'll wait a long time
Ooh you'll wait a long time for me
Ooh you'll wait a long time
I'm not in love
So don't forget it
It's just a silly phase I'm going through
And just because I call you up
Don't get me wrong, don't think you've got it made
I'm not in love
I'm not in love
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” 愛してなんかいない それを忘れないで
僕が生きてゆく中の ただの愚かな一面なんだ
だから君に電話したからって 勘違いしないで
こっちのものなんて思わないで
愛してなんかいないんだ
いや、いや、それはただ、、
君に会いたいよ とはいっても
それが僕にとって重大なことだって意味じゃないよ
だから、僕が電話したからって 大騒ぎしないで
友達に二人のことを話したりしないで
愛してなんかいないんだ
いや、いや、それはただ、、
<静かにして 男の子は泣かないものよ、、>
君の写真を壁に飾っているのは
そこにある汚いシミを隠すためさ
だから写真を返してなんて言わないで
それが大したことじゃないって君もわかってるよね
愛してなんかいないんだ
いや、いや、それはただ、、
ああ、君は僕をずっと待ってくれるのだろう、、
愛してなんかいない それを忘れないで
僕が生きてゆく中の ただの愚かな一面なんだ
だから君に電話したからって 勘違いしないで
こっちのものなんて思わないで
愛してなんかいないんだ
愛してなんかいないんだ、、、” (拙訳)
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10ccはグレアム・グールドマン、エリック・スチュワート、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレームの4人組のイギリスのバンドです。
そして、この曲を思いついたのはエリック・スチュワート。以前にこのブログで取り上げた「恋はごきげん(A Groovy Kind of Love)」のマインドベンダーズのボーカル/ギタリストだった人です。
曲を書くきっかけはエリックの奥さんの言葉だったといいます。
「市役所でグロリアというゴージャスな女の子と出会った。僕は18歳で彼女は16歳 。3年後に結婚して数年たったころ、グロリアに言われたんだ”あなたは前みたいに愛してると言わなくなった ”って。
僕はいつも言ってるとうわべだけに聞こえるじゃないかって言ったんだけど、どうしたら実際にその言葉を使わずに伝えられるんだろうと思いはじめたんだ。それで”I'm not in Love"は自分自身とのレトリックな会話になっていって、最終的に曲になったんだ」
「曲をバンドに持って行った時、彼らは言ったよ。"I'm not in love'? 何じゃそれは? そんなのダメだよ!" って。だけど、ベース奏者でコードに詳しいグラハム・グールドマンが一緒に作ることに同意してくれたんだ。二人とも「イパネマの娘」が好きだったので、ボサノバに似たスタイルにしたんだ。そしたら、ドラマーのケヴィン・ゴドリーが”くそだ!”と言ったよ」
「僕たちは曲をスクラップにしてテープを消そうとしていたんだけど、スタジオのまわりを歩いていると、秘書がそれを口ずさんていて、窓拭きの人が口笛でそれを吹いているのが聞こえてきたんだ。僕たちには曲があったのに、それを適切にとらえていなかったんだね。ケヴィンはそれを、ボーカルを重ねる方法でもう一度やろうと提案してくれた。それにはコーラス隊を雇う必要があると思ったけど、キーボード奏者のロル・クレームがテープ・ループを使えばできると言ってくれた」
ロル・クレームはこのように語っています。
「全体のプロセスは1週間ほどかかった。それは信じられないほど退屈な作業だったよ。3人か4人で全ての音を14回ほど歌って、それにエコーをかけたことで、豪華でビロードのようなハーモニーのサウンドを作ることができた。それは美しいもにになったけど、本当にこの曲を作っていたのはエリックのヴォーカルなんだ。
あのリード・ヴォーカルは実はガイド・ヴォーカルで、いろんなことテストするために最初に録ったものだったんだ。エリックはもっと良いテイクを作ろうとしたんだけど、最初のテイクが魔法を持っているということで全員が一致した。彼は心から歌っていたんだ」
(The Guardian 2018年2月)
ボーカルを重ねるアイディアを出したケヴィン・ゴドレイはこう言っています。
「アレンジをどうしたらいいのかわからなくて自暴自棄になっていたからこそ、弱々しい声を全部出してみようと思ったのかもしれない。楽器を忘れて、ギターを忘れて、ドラムを忘れて、声だけでいこうと。天国の聖歌隊のような、声の津波のような、声だけで」
(Songfacts)
10CCはポップでメロディアスな曲を書ける”ライヴ志向の強い”グレアムとエリックのコンビと、凝ったサウンドを追求する”スタジオ志向の強い”ゴドレイとクレームのコンビという二派に別れていました。
その志向性の違いの折り合いをつけられなくなったため、この曲の翌年にゴドレイとクレームは脱退してしまいます。
そういう意味では、この「アイム・ノット・イン・ラヴ」は4人のアイディアと個性が結びついた最後の”結晶”だったのかもしれません。
一度は”捨てられる”はずだった曲を、全員の力を結集させて最高傑作に変えたということは彼らにとって忘れられないことだったはずです。
このブログで僕が力説していることのひとつ、『ポップスの命運は”アレンジ”が握っている』をまさに証明しているかのようなエピソードだと思えます。
ゴドレイはこう言っています。
「それはアクシデントと幸運な考えと、これなら上手くいくかもしれないというプロセスに自分たちを適応させようとする意欲が混じりあったものだった。そして作業を進めれば進めるほど、上手くいくんじゃないかと気がついていった。そして僕たちは、論理的な、時には非論理的な結論にただ耳を傾けていって、そこにたどりついたんだ。それは単に僕たちにとって今まで”最高の”ものというだけではなく、僕たちがやれることの縮図でもあったんだ」
(Songfacts)
ゴドレイ&クレーム脱退後の傑作
10CCに加入する前にエリック・スチュワートが放ったビッグ・ヒット