おはようございます。今日はエルトン・ジョンの「アイム・スティル・スタンディング(I’m Still Standing)」です。
You could never know what it's like
Your blood, like winter, freezes just like ice
And there's a cold, lonely light that shines from you
You'll wind up like the wreck you hide behind that mask you use
And did you think this fool could never win?
Well, look at me, I'm a-comin' back again
I got a taste of love in a simple way
And if you need to know while I'm still standin'
You just fade away
Don't you know I'm still standin' better than I ever did?
Lookin' like a true survivor, feelin' like a little kid
And I'm still standin' after all this time
Pickin' up the pieces of my life without you on my mind
I'm still standin' (Yeah, yeah, yeah)
I'm still standin' (Yeah, yeah, yeah)
Once, I never coulda hoped to win
You're startin' down the road, leavin' me again
The threats you made were meant to cut me down
And if our love was just a circus, you'd be a clown by now
You know I'm still standin' better than I ever did
Lookin' like a true survivor, feelin' like a little kid
And I'm still standin' after all this time
Pickin' up the pieces of my life without you on my mind
I'm still standin' (Yeah, yeah, yeah)
I'm still standin' (Yeah, yeah, yeah)
Don't you know that I'm still standin' better than I ever did?
Lookin' like a true survivor, feelin' like a little kid
And I'm still standin' after all this time
Pickin' up the pieces of my life without you on my mind
I'm still standin' (Yeah, yeah, yeah)、、、
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君には決してどんなものかわからないだろう
君の血は、冬みたいに、氷のように凍っている
君からは冷たく寂しい光が輝いている
君自身もその仮面の奥に隠している
残骸のようになってしまうのさ
この愚か者が勝つことはないと思っていたのかい?
でも見てみろよ、俺はまた戻ってきた
シンプルなやり方で愛の味を知ったんだ
俺がなぜまだ立ち続けているか知りたいなら
君はただ消えていけばいい
わからないのか?俺は前よりずっとうまく立っているんだ
本物の生存者みたいだし、子供みたいな気分さ
今もずっと俺は立ち続けている
心に君がいなくても、人生のかけらを拾い集めながら
俺はまだ立っている(Yeah, yeah, yeah)
俺はまだ立っている(Yeah, yeah, yeah)
かつては、勝ちたいなんて望みもしなかった
君はまた俺を取り残して道を進み始めた
君の脅しは俺を傷つけるためのに言ったものだった
もし俺たちの愛がサーカスだったなら、今頃君はピエロになっていたさ
わかるだろ、俺は前よりずっとうまく立っているんだ
本物の生存者みたいだし、子供みたいな気分さ
今もずっと俺は立ち続けている
心に君がいなくても、人生のかけらを拾い集めながら
俺はまだ立っている(Yeah, yeah, yeah)
俺はまだ立っている(Yeah, yeah, yeah)
わからないのか?俺は前よりずっとうまく立っているんだ
本物の生存者みたいだし、子供みたいな気分さ
今もずっと俺は立ち続けている
心に君がいなくても、人生のかけらを拾い集めながら
俺はまだ立っている(Yeah, yeah, yeah) (拙訳)
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エルトン・ジョンは素晴らしい名曲をいくつも生み出してきましたが、今現在SpotifyやApple Musicなどのサブスクで人気の高い楽曲の一つがこの「アイム・スティル・スタンディング(I’m Still Standing)」です。
リアルタイムで彼の音楽を聴いていた人にとっては、決して彼の全盛期の曲ではなく、歌詞の内容も含めて、”スランプ期”を抜けることができた曲という印象もあったかと思います。
1970年代半ばの彼はまさに”無双状態”、出す曲、出すアルバムが、ことごとくNO.1という時代の寵児だったわけですが、その反動か最後に全米1位になった「恋のデュエット(Don't Go Breaking My Heart)」(1976)を最後に、1977年以降はライヴ活動を停止し、曲作りのパートナー(作詞家)のバーニー・トーピンとのコンビも一時的に解消してしまいます。そして、それ以降、彼は派手なヒットを出せなくなるんですね(それでも「リトル・ジニー」とか優れた曲はありましたが)
しかし、1983年のアルバム「Too Low for Zero」で状況は好転し始めました。このアルバムは約7年ぶりにバーニー・トーピンが全曲作詞を手掛けているんです。やっぱりこれが大きかったんでしょうね。
僕が、エルトン・ジョンというアーティストの最も特異な点だと思っているのは、彼が「詞先」の作曲家だということです。これは本当にレアなんです。バート・バカラックをはじめとして素晴らしいメロディを生み出す作曲家はほぼほぼ「曲先」です。レパートリーの中で数曲「詞先」がある程度です(僕もさまざまなヒット曲を書いた日本の作曲家の方たちと仕事をさせてもらっていますが、例外なく「曲先」でした)。
バーニー・トーピンの歌詞を読むとエルトンはメロディがどんどん湧き上がってくるそうでしたから、彼との決別はエルトンの作曲能力にも大きな影響があったはずです。
バーニー以外の作詞家と組んだ時期は、曲単体で良いものはありましたが、アルバム全体としてはどれも物足りない印象が当時の僕にはありました。
でも、「Too Low for Zero」はアルバム全体として充実していて、エルトン・ジョン”ついに復活”という印象がありました。
さて、世間からもエルトン・ジョン復活のアンセムととらえられていた「アイム・スティル・スタンディング」ですが、歌詞を書いたバーニーはそういう意図は全くなかったと言います。
「たぶんこれは元のアイデアがみなさんによって全く違う意味に解釈されたもう一つの例だと思います。人々は、逆境に立ち向かうエルトンの強い生存本能を基にしたアンセムだと見ているようですが、それはそれで僕は全く構いません。むしろ、おそらく元々書かれた内容よりも、そう解釈された方がはるかに面白いかもしれません。僕の記憶が正しければ、この曲は昔の恋人へのある種の決別のようなものだったんです。つまり、『僕のことは心配しなくていいよ、全然平気だから』といった感じです」
(SMOOTHRADIO.COM 25 June 2023)
昔の恋人への決別の歌だったんですね。『僕のことは心配しなくていいよ、全然平気だから』という気持ちの割には、歌詞はちょっと辛辣ですが(笑。ひょっとしたら、バーニーが歌詞を書いた時にはここまでノリのいい曲になるとは思わなかったかもしれないですね。ただ、エルトンの方は、オレはまだ終わっちゃいないっていう当時の自分を重ねたからこういう曲調になったんじゃないかと。もちろん、これは僕の推測ですが、、、。
さて、この曲、リアルタイムでは全米12位、全英4位と、当時の彼にしたら上々の結果でしたが、全盛期に比べれば”中ヒット”くらいでした。
しかし、時が経つにつれてじわじわと人気を高めて行ったわけですが、決定的だったのは彼の自伝映画「ロケット・マン」(2019年)だったのではないでしょうか。
実はこれには”前哨戦”があって、主演のタロン・エガートンは2016年の映画「Sing」でゴリラの役で出演して、この曲を歌っていたんですね。
アイム・スティル・スタンディングのリバイバルの動きはまさに”ロケット”式に進んでいったようです。
個人的にはエルトンの中で特に好きな曲だったわけじゃないですが(笑、久しぶりに耳にして、自分を励ます歌に聞こえたんですよね。いつの間にかかなり年とってきましたし、体力や気力は落ちてゆくのに反して世の中はどんどん生きづらくなってきて、毎日”へこたれながら”過ごしているわけです。そんな中、一歩でも足を前に踏みだせればいいんでしょうけど、そうじゃなくても、ただこうして突っ立っていられるだけでも十分大したもんじゃないか、って。
この曲が人気なのも、そんなふうに自分のこととして聴いている人もいくらかはいるような気がしますが、どうでしょう?