まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛を感じて (Can You Feel the Love Tonight)」 エルトン・ジョン(1994)

 おはようございます。

 今日はエルトン・ジョンの「愛を感じて」です。

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There's a calm surrender to the rush of day
When the heat of a rolling wind can be turned away
An enchanted moment, and it sees me through
It's enough for this restless warrior just to be with you


And can you feel the love tonight?
It is where we are
It's enough for this wide-eyed wanderer
That we got this far
And can you feel the love tonight?
How it's laid to rest
It's enough to make kings and vagabonds
Believe the very best


There's a time for everyone if they only learn
That the twistin' kaleidoscope moves us all in turn
There's a rhyme and reason to the wild outdoors
When the heart of this star-crossed voyager beats in time with yours


And can you feel the love tonight?
It is where we are
It's enough for this wide-eyed wanderer
That we got this far
And can you feel the love tonight?
How it's laid to rest
It's enough to make kings and vagabonds
Believe the very best


It's enough to make kings and vagabonds
Believe the very best

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慌ただしい日に静かに身を委ねることがある
吹き荒れる熱風が向きを変えるかもしれない時は
魔法にかけられた瞬間、それは僕の心を見通す
戦い続ける戦士にとっては あなたと一緒にいるだけで十分さ


あなたは今夜愛を感じますか?
それは僕たちがいるところ
この世間知らずの放浪者には十分なことさ
ここまで来られたのだから
あなたは今夜愛を感じますか?
どのように終わらせるのか
王や放浪者たちに最高のものを信じさせるには
それで十分さ


誰にでも学ぶ時が来る
ねじれた万華鏡が僕たちを順番に動かしていくことを
大自然には摂理がある
星回りの悪い航海者の心があなたの鼓動と同期する時


あなたは今夜愛を感じますか?
それは僕たちがいるところ
この世間知らずの放浪者には十分なことさ
ここまで来られたのだから
あなたは今夜愛を感じますか?
どのように終わらせるのか
王や放浪者たちに最高のものを信じさせるには
それで十分さ


王や放浪者たちに最高のものを信じさせるには
それで十分さ

 

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 映画「アラジン」の楽曲の作詞で大成功をおさめたティム・ライスに、ディズニーから次回作「ライオン・キング」のオファーが来ました。

 しかし、作曲家のアラン・メンケンが都合が悪かったっため、ティムは自分が作曲家を決めていいなら、という条件を出したそうです。

 最初は一緒にミュージカルをやったことのある、アバのベニーを誘いますが彼が別のミュージカルに取り掛かっていたため、代わりにエルトン・ジョンに白羽の矢を立てます。

 

「10年前に1曲共作したティム・ライスが突然電話をかけてきて、また一緒に仕事をする気はないかと聞かれた。ディズニーが初めて既存の作品に基づかないオリジナル・ストーリーのアニメーション映画を製作中だという。それに参加してほしいと言われ、興味をそそられた」

(「ME ELTON JOHN エルトン・ジョン自伝」)

 

  エルトンがティム・ライスと一緒に書いた曲はこれです。

「Legal Boys」。1982年のアルバム「Jump Up」に収録されていました。

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  作業はティム・ライスの歌詞先行で曲作りは進められ、バーニー・トーピンの歌詞先行でいつも曲を書いていた、歌詞によってメロディのインスピレーションが湧くタイプのエルトンにとっては、やりやすいものだったようです。

 

 しかし、数々の名曲を生み出してきた彼にとっては、映画のキャラクターや物語に合わせた曲を作ることに戸惑いもあったようです。

 

「そして今、おならばかりしているイボイノシシの曲を書いているという事実からは逃げようがなかった」

 

 ボブ・ディランザ・バンドから賛辞を送られたことのあるこの自分が、、と思ったそうです。

 「でも、このあきれるほどバカバカしい状況にも何か心惹かれる点はあると気を取り直し、仕事を続けた」

(「ME ELTON JOHN エルトン・ジョン自伝」)

 

 そのイボイノシシの曲はこれです。「Hakuna Matata(ハクナ・マタタ)」。アカデミー歌曲賞にもノミネートされました。

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  「愛を感じて」はエルトンとティムが最初に書いた曲でした。

 ティムはこう語っています。

 

「依頼内容はラブソングを書くことだった、たぶんデュエットの、まっすぐなラブソングを、それを僕は書いた。そしてエルトンは美しいメロディをつけてくれた。”素晴らしい、いいスタートが切れた”と思った。だけど、映画のスタッフはこの曲を本編でうまく使える方法を見つけられなかったんだ」

 (Los Angels Times  JUNE 12, 1994 )

 また、エルトンのデモはピアノの弾き語りだったことで、ディズニー関係者は”エルトンの歌”として聴いて、映画で使うものとしてイメージできなかったようです。

 

 前作「アラジン」を担当したアラン・メンケンとハワード・アシュマンは、ミュージカル出身者なので人脈を使って、アレンジも十分にして、曲を使う場面をすぐにイメージできるデモを作っていたのです。それで、ティムは「アラジン」のキャストに頼んで歌ってもらい、アレンジも施して本編をイメージしやすいデモを新たに作ったそうです。

 

 ちなみに、今の日本の音楽界でも、作曲家が歌手に曲を提供する時には、弾き語りじゃなく、缶製品がイメージしやすい、きちんとアレンジされたものを提出する必要があることがほとんどになっています。

 

 

 さて、映画「ライオン・キング」の出来上がりは素晴らしく、いたく気に入ったエルトンはプライベートな上映会を2回も開いて友人たちに見てもらったそうです。

 「愛を感じて」は全米最高4位、アカデミー賞最優秀歌曲賞も受賞しました。

サントラの売り上げは1500万枚以上で、アニメ史上最高、エルトンのアルバムとしても「グレイテスト・ヒッツ」に次ぐものなんだそうです。

 

「愛を感じて」は当時のエルトンのプロデューサーのクリス・トーマスがプロデュースしていますが、クレジットを見てニヤっとしてしまうのは、バックコーラスのメンバーです。全米NO.1の大ヒット曲「恋のデュエット」をエルトンとデュエットしていたキキ・ディ、それにテイク・ザットのゲイリー・バーロウにリック・アストリーなんてメンツが揃っていたんですね。

 

 最後はブライアン・ウィルソンのカバーを。2011年のアルバム「IN THE KEY OF DISNEY」に収録されていました。

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