まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「美女と野獣(Beauty and the Beast)」セリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソン(1992)

 おはようございます。

 今日はセリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソンの「美女と野獣」を。

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Tale as old as time
True as it can be
Barely even friends
Then somebody bends
Unexpectedly


Just a little change
Small, to say the least
Both a little scared
Neither one prepared
Beauty and the Beast


Ever just the same
Ever a surprise
Ever as before
Ever just as sure
As the sun will rise


Ever just the same
Ever a surprise
Ever as before
Ever just as sure
As the sun will rise


Tale as old as time
Tune as old as song
Bittersweet and strange
Finding you can change
Learning you were wrong


Certain as the sun (Certain as the sun)
Rising in the east (Tale as old as time)
Song as old as rhyme
Beauty and the beast
(Tale as old as time)
Song as old as rhyme
Beauty and the beast

Beauty and the beast

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とても古くからある物語
まぎれもない真実
友達さえいなかった
そして、誰かがそれを変えた
思いがけないほうへ


ほんのささやかな変化
小さなこと、控えめに言ったとしても
二人ともちょっと怖くて
心の準備もできていなかった
美女と野獣


いつも変わらずに
いつも突然に
いつも同じように
いつも間違いなく
太陽が昇るように


いつも変わらずに
いつも突然に
いつも同じように
いつも間違いなく
太陽が昇るように

とても古くからある物語
昔から歌われる旋律
ほろ苦くて不思議
自分が変われることを知る
自分が間違っていたことを知る


太陽が東から昇るように確かに
(とても古くからある物語)
昔から韻を踏んで歌われた歌
美女と野獣
(とても古くからある物語)
昔から韻を踏んで歌われた歌
美女と野獣

美女と野獣

         (拙訳)

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 昨日このブログに登場した「サムホエア・アウト・ゼア」を主題歌にしたアニメ映画「アメリカ物語」が大ヒットした1980年中頃は、いわばアニメ氷河期、ディズニーも低迷していました。

 ターゲットを子供に限定したアニメーションを手堅く作っていました。

 そして、ディズニーが久しぶりに息を吹き返す大きなきっかけになったのが、1989年の「リトル・マーメイド」でした。

 当時のディズニー映画の最高責任者ジェフリー・カッツェンバーグは、この映画が女の子向けのため、それほど大ヒットしないだろうと考えていたと言われています。

 

 しかし予想を超え大ヒットした「リトル・マーメイド」には”プリンセスものの復権”と”音楽とのコラボ”という、その後のディズニー映画の大躍進を支える”柱”が備わっていました。

 

 「リトル・マーメイド」の音楽を手がけたのはアラン・メンケン。ニューヨークで生まれ育った彼は、父親が歯科医でピアノ奏者だったため、音楽家を志しながらも医師になる勉強もしていたようです。最終的に、作曲家にフォーカスし、大学卒業後、作曲のワークショップに参加するなどして学び続けたそうです。

 その後、ブロードウェイでミュージカルの音楽を手がけていて、劇作家で作詞家のハワード・アシュマンと組むことで成功し始めます。二人が手がけた「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」が話題を呼び、それにディズニーが注目したことで「リトルマーメイド」の楽曲制作の依頼がきました。

  ディスニーはハワード・アシュマンにオファーし、アシュマンが曲作りのパートナーとしてメンケンを指名したようです。

 

    この映画のためにメンケンが書いた曲では「Under The Sea」がアカデミー賞歌曲賞に輝いています。

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 そして、次のディズニー映画にも彼に声がかかり、「リトル・マーメイド」を遥かに凌ぐ大ヒットになります。

 それが「美女と野獣」(1991)でした。

   彼らが作った音楽の評価は非常に高く、アカデミー賞の歌曲賞で「美女と野獣」「Belle」「Be My Guest」の3曲がノミネートされました。

 

 映画ではポット夫人を演じた、ブロードウェイのベテラン女優、アンジェラ・ランズベリーが歌っていました。この曲はもともと、アップテンポを得意とする彼女のためにロック・スタイルで書かれていたそうで、バラードになったため彼女は自信がなかったそうですが、最終的にとてもいい雰囲気で歌い上げています

 

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 そこでディスニーは票が割れるのを防ぐためにも、1曲に集約して映画の宣伝をすることに決めます。

 そして、「アメリカ物語」の「サムホエア・アウト・ゼア」の成功を手本にして、ポップ・シンガーに歌わせてヒットを狙おうということになりました。

 

 そこで抜擢されたのがセリーヌ・ディオン。彼女はフランス系カナダ人で80年代からカナダで活動をしていましたが、1990年にデヴィッド・フォスターのプロデュースで英語によるアルバムをリリースしたばかりでした。

 彼女が選ばれた理由の一つが、まだアメリカ進出したばかりで、ギャラが安かったからだとも言われています。この当時のディスニーは潤沢には資金がなかったのでしょうかね、、。

 

 彼女には大きなチャンスでしたが、躊躇してしまう理由がありました。それは、当時のディスニーのライバルである、アニメ映画『アメリカ物語2/ファイベル西へ行く』の主題歌「Dreams To Dream」を歌うことになっていて、デモも録音していたのです。

 しかし、「Dreams To Dream」は前作「アメリカ物語」の主題歌を歌っていたリンダ・ロンシュタットが歌うことになり、セリーヌはショックを受けたようですが、結果「美女と野獣」を無事歌うことができ、より大きな成功をおさめることができたわけです。

 

 リンダ・ロンシュタットの「Dreams To Dream」

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 そして「Dreams To Dream」を作曲したジェームズ・ホナーは、この曲のデモを歌ったセリーヌの印象が強く残っていて、映画「タイタニック」の「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を書いた時に、セリーヌに歌わせたいと思ったと言われています。

 

 それから、セリーヌとピーボのデュエットをプロデュースしたのがウォルター・アファナシエフ。1980年代にナラダ・マイケル・ウォルデンの片腕として評価を上げて行き、マライア・キャリーの大ブレイクの貢献者(「ヒーロー」「恋人たちのクリスマス」などの作曲、プロデュース)として、この当時超売れっ子になりました。

 ちなみに、ウォルターは「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」でプロデューサーの一人としてジェームズ・ホナーと一緒に仕事をしています。

 

  さて、この「美女と野獣」はビルボード・チャートで9位のヒットになり、アカデミー賞最優秀歌曲賞も受賞しましたが、作詞家のハワード・アシュマンはHIV/AIDSに感染していて、音楽制作の途中から容体が悪くなっていったそうです。そして、アカデミー賞を獲得したことを知ることのないまま、1991年3月に亡くなってしまいます。「美女と野獣」のエンド・クレジットには彼に捧げたメッセージが掲載されています。

 

 最後は、2017年の実写版「アラジン」のアリアナ・グランデとジョン・レジェントのヴァージョンを。プロデュースはデヴィッド・フォスターです。

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