まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「オーヴァージョイド(Overjoyed)」スティーヴィー・ワンダー(1986)

 おはようございます。

 今日は、昨日登場したプリンスもやはり影響をうけたというスティーヴィー・ワンダー。日本でも大人気の曲「オーヴァージョイド」です。


Overjoyed

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Over time, I've building my castle of love
Just for two, though you never knew you were my reason
I've gone much too far for you now to say
That I've got to throw my castle away

Over dreams, I have picked out a perfect come true
Though you never knew it was of you I've been dreaming
The sandman has come from too far away
For you to say come back some other day

And though you don't believe that they do
They do come true
For did my dreams
Come true when I looked at you
And maybe too, if you would believe
You too might be
Overjoyed, over loved, over me

Over hearts, I have painfully turned every stone
Just to find, I had found what I've searched to discover
I've come much too far for me now to find
The love that I've sought can never be mine

And though you don't believe that they do
They do come true
For did my dreams
Come true when I looked at you
And maybe too, if you would believe
You too might be
Overjoyed, over loved, over me

And though the odds say improbable
What do they know
For in romance
All true love needs is a chance
And maybe with a chance you will find
You too like I
Overjoyed, over loved, over you, over you

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ゆっくり時間をかけて、僕は愛の城を築いてきた

二人だけのため、君は僕の生きる意味なんだってまったく気づかないけど

僕が時間をかけすぎたせいで 

君はその城を放り捨てなければダメだと言う

 

夢の中から 僕は完璧なものを一つ選んで実現させた

だけど、僕が夢見ていたものが君だってことに少しも気づかない

はるか遠くから眠りの精がきたのに 君は出直してきてというんだ 

 

君は信じちゃいないけど 夢はかなうんだ 

だって君を見つめた時僕の夢はちゃんとかなったから

だからたぶん 君も信じたなら

喜びにあふれ 愛にあふれ 僕をたくさん感じれるさ

 

心について、痛みを感じながらあらゆることを探ってみた

ただ見つけるために 

徹底して探していたものを僕は見つけられたのかどうかを

僕はあまりに入り込んでしまった結果

探していた愛が僕のものにならないことを知ったんだ

 

君は信じちゃいないけど 夢はかなうんだ 

だって君を見つめた時僕の夢はちゃんとかなったから

だからたぶん 君も信じたなら

喜びにあふれ 愛にあふれ 僕をたくさん感じれるさ

 

オッズでは勝ち目はないと言っているけど

やつらは恋愛について何を知っているというのか

真実の愛はみんなチャンスを求めている

そしてたぶん チャンスがあれば君も見つけるだろう

君も僕のように 喜びにあふれ たくさん愛を感じる

君の全部で 君の全部で           (拙訳)

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 この曲は1985年のアルバム「イン・スクエア・サークル」からの3枚目のシングルとして全米最高24位を記録しますが、その後チャートの結果以上の人気を集めていきます。

 このころのスティーヴィーは1984年の「心の愛(I Just Called to Say I Love You)」や、「イン・スクエア・サークル」からの1stシングル「パート・タイム・ラヴァー」など、かなりポップスに寄った大ヒット曲を出していましたが、この「オーヴァージョイド」からは、1970年代の”神々しさ”さえあったスティーヴィーの香りがするように思ったものですが、調べてみるとこの曲は1979年のアルバム『シークレット・ライフ(Journey through the Secret Life of Plants)』用に作られ、録音もされたのですが、最終的にカットされたものだったそうです。

  

 「シークレット・ライフ」1973年に出版された書物「The Secret Life of Plants」を映画化した同名のドキュメンタリーサウンドトラックとして制作されたものでした。内容は「植物」をテーマにした、いわばディスカバリー・チャンネルのようなものですが、途中から植物には人間のような感覚があることを立証しようとする摩訶不思議な実験が出てきたり、今見るとけっこう時代物っぽく思えてしまいます。

 でも、当時の音楽界最高の天才と呼ばれていた彼が、自然をテーマにした作品をつくるということで商業的には失敗したとはいえ、彼の神秘性、ある種スプリチュアルなオーラを強調する効果もあったように思えます。

 

 前にもこのブログでも書きましたが、このサントラは隠れた名曲が多く、まさに彼の才能が”炸裂していた”時期だったと僕は思っていますが、その時期に、この「オーヴァージョイド」も作られて、しかもそれがアウトテイクにされてしまうなんて、僕の想像をもっともっと超えるような次元で彼の創作能力が発揮されていたのかもしれないと考えてしまいます。

 

 さて、この曲のスティーヴィーの楽器のクレジットで、”環境パーカッション”(environmental percussion)なる表記があって、内訳がコオロギや鳥の鳴き声、海、池の小石、石が落ちる音、葉っぱを破く音、とあって、こういうサウンドでリズムを作っていることが、耳をすますと確認できます。

 これは「シークレット・ライフ」の名残なんでしょうね。もちろん、「シークレット・ライフ」の時代よりテクノロジーはずっと進みましたから、もっと凝ったことをスムーズにできるようになったはずですから、そういうことをあらためてトライしたいという彼の意図があったのかもしれません。

 

 ただ、この曲を1970年代半ばから後半くらいのサウンドで、この「オーヴァージョイド」を聴いてみたかったというのも僕の正直な気持ちです。ポップさは少し減り、神々しさが少し増すような気がします、、。

 

 さて、最後は2016年のセリーヌ・ディオンとスティーヴィーのデュエット。ただし、別々に録音されたものを編集したもののようです。


Céline Dion - Overjoyed (Official Audio)

 

 

 「シークレット・ライフ」からのシングル「愛を贈れば」。確かに「オーヴァージョイド」と近い空気感がするような。 

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