まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ラズベリー・ベレー(Raspberry Beret)」プリンス・アンド・ザ・レボリューション(1985)

 おはようございます。

 今日はプリンス・アンド・ザ・レボリューションの「ラズベリー・ベレー」です。


Prince & The Revolution - Raspberry Beret (Official Music Video)

********************************************************************************

I was working part time in a five-and-dime
My boss was Mr. McGee
He told me several times that he didn't like my kind
'Cause I was a bit too leisurely

Seems that I was busy doing something close to nothing
But different than the day before
That's when I saw her, ooh, I saw her
She walked in through the out door, out door

She wore a
Raspberry beret
The kind you find in a second hand store
Raspberry beret
And if it was warm she wouldn't wear much more
Raspberry beret
I think I love her

Built like she was
She had the nerve to ask me
If I planned to do her any harm
So, look here
I put her on the back of my bike
And we went riding
Down by old man Johnson's farm

I said now, overcast days never turned me on
But something about the clouds and her mixed
She wasn't to bright
But I could tell when she kissed me
She knew how to get her kicks

She wore a
Raspberry beret
The kind you find in a second hand store
Raspberry beret
And if it was warm she wouldn't wear much more
Raspberry beret
I think I love her

The rain sounds so cool when it hits the barn roof
And the horses wonder who you are
Thunder drowns out what the lightning sees
You feel like a movie star

Listen
They say the first time ain't the greatest
But I tell ya
If I had the chance to do it all again
I wouldn't change a stroke
'Cause baby I'm the most
With a girl as fine as she was then

(Raspberry beret)
The kind you find (The kind you find)
The kind you find (In a second hand store)
(Raspberry beret)
(And if it was warm)
Where have all the raspberry women gone?
Yeah (Raspberry beret)

I think I, I think I, I think I love her


********************************************************************************

僕は安物雑貨店でバイトしていたんだ

僕のボスはミスター・マッギー

彼は僕に何度か言った 

オマエみたいなのは好きじゃないって

それは、僕がちょっとうすのろだからなんだ

 

僕はどうでもいいことにテンパってたんだろう

だけど、その日から変わったんだ

それは彼女を見たときさ

彼女はドアの外から入ってきたんだ、ドアの外から

 

彼女がかぶっていたのは ラズベリー・ベレー

セコ・ハン・ショップで見かけるような

ラズベリー・ベレー あたたかい日なら、かぶってないだろうな

ラズベリー・ベレー どうやら彼女に恋したみたいだ

 

生まれつきみたいに 彼女は僕にズケズケと言うんだ

何かよくないことをしようとしてるでしょ?

だから、見てごらん

彼女を後ろに乗せて バイクを走らせるのさ

ジョンソン爺さんの農場ぞいを

 

言っておくけどさ、曇りの日は気合が入ったためしはないんだ

だけど、雲の何かが彼女とミックスして

彼女は明るくなりそうもなかった

だけど、彼女がキスしてくれた時わかったんだ

彼女は自分なりの楽しみ方を知っているって

 

彼女がかぶっていたのは ラズベリー・ベレー

セコ・ハン・ショップで見かけるような

ラズベリー・ベレー あたたかい日なら、かぶってないだろうな

ラズベリー・ベレー どうやら彼女に恋したみたいさ

 

雨が納屋の屋根をたたく音がすごくイカしてる

馬たちはオマエは誰だって驚いてるし

稲妻が照らし出したものを雷が消し去って

君は映画スターみたいな気分さ

 

聞いてくれ

最初の経験は最高のものにはならないと言うけど

言わせてほしい

もし全部やり直すことができたとしても

何一つ変えないよ

だってベイビー、僕は最高だからさ

いつだって変わらずに 素敵な女の子と一緒だから

ラズベリー・ベレー

キミたちが見かけるようなやつさ セコハン・ショップで

 

ラズベリー・ベレー

もし暖かい日には ラズベリー色の女の人たちはどこに行ったの?

ラズベリー・ベレー

どうやら、どうやら、キミを愛してるみたいだ   (拙訳)


********************************************************************************

 昨日、一昨日とこのブログに登場したサンタナから十代の頃に影響を受けたと語っているのがプリンスです。

 

 彼の生まれ故郷ミネアポリスは黒人の割合が低く、ブラック・ミュージック専門のラジオ局はひとつだけで、普段生活して耳にするのはほとんどが白人の音楽という土地でした。

 そこで彼はサンタナボズ・スキャッグスのようなギターを弾きたいと思うようになり、他にジョニ・ミッチェルからも影響を受けたといいます。

 プリンスと同じミネアポリスで生まれ育ち活動を共にしたジャム&ルイスのジミー・ジャムは若い頃好きだったバンドとしてシールズ&クロフツアメリカ、シカゴなどをあげていますし、やはり好きだったアメリカの「ヴェンチュラ・ハイウェイ」をジャネット・ジャクソンの曲でサンプリングしたりしています。

 

 黒人でいながら”普通に”白人の音楽を聴いていたという環境から育まれた感性が、彼らをR&Bの枠を超え、”ポップ”のエリアで大活躍させたことに繋がっているようにも僕には思えます。

 

 R&Bとロックの垣根をぶち破るほどの破壊力のある”オリジナリティ”を全開にして、世界中を夢中にさせた「パープル・レイン」。そのリリースからわずか9ヶ月ほどで発表されたアルバム「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」からの最初のシングルであるこの「ラズベリー・ベレー」は見事に”ポップ”でした。

 

  この曲は1982年、アルバム「1999」の頃に一度録音されたものだったようです。

 1999のツアーでリハーサル音源がアップされていました。


Prince - "Raspberry Beret" (late 82, early 83 version)

 確かに「1999」に入っていても良さそうな雰囲気のサウンドです。

 

 1984年に「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」を録音するにあたって、プリンスはこの曲に全く違ったアレンジを施すことにしたわけですね。

 ベーシックはほとんどライヴ・レコーディングに近い形だったといいますが、リズム・パターンを変えたこと、そして、そこにサウンドの主役のようなストリングスを加えたことが大きいように思います。

 

 ストリングスのアレンジをしたのは、この時期のプリンスのメンバーとして重要な役割を果たしていた”ウェンディ&リサ”のリサ・コールマン(キーボード)でした。

   そして、プリンスの自宅スタジオに弦楽器奏者を呼んでレコーディングしたそうですが、そのスタジオは一度にたくさんの演奏者を入れるスペースがなかったので、ダビングを繰り返したそうです。

 

 僕が思うに、広いスタジオでオーケストラを入れていっぺんに録っていたらゴージャスになりすぎて、この曲にはそぐわなかっただろうな、と思います。本当に豪華なストリングスが必要なら、大きなスタジオを使うお金はプリンスはいくらでもあったはずですから、最初からオーヴァー・ダビングしたストリングスのほうがいいと彼は判断していたのでしょう。

 ライヴ・リハーサルの音源と、実際リリースされた音源を聴き比べてみると、

”やっぱりポップスの命運は、アレンジ、サウンドにかかってる”

 とつくづく僕は思うわけです。

 

 最後はこの曲のカバーを。ジャクソン・ブラウンとも深い交流のあったアメリカ西海岸の反骨のロッカー、ウォーレン・ジヴォンの人気TVショーでのライヴ動画です。全然ポップじゃなくなっていますが、これはこれでカッコいいですね。


Warren Zevon, Raspberry Beret, David Letterman Show, 1990 HD

 

 

アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ

アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ

  • アーティスト:プリンス
  • ダブリューイーエー・ジャパン
Amazon

 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

 

プリンス作の大ヒット曲

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

 

 

f:id:KatsumiHori:20210307135654j:plain