まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ザ・ゲーム・オブ・ラヴ (The Game Of Love)」サンタナfeat.ミッシェル・ブランチ(2002)

 おはようございます。

 今日もサンタナ。僕が個人的に大好きな曲「ザ・ゲーム・オブ・ラヴ」を。


Santana - The Game Of Love (Video) ft. Michelle Branch

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Tell me
Just what you want me to be
One kiss
And boom you're the only one for me
So please tell me
Why don't you come around no more?
'Cause right now
I'm crying outside the door of your candy store

It just takes a little bit of this, a little bit of that
It started with a kiss
Now we're up to bat
A little bit of laughs, a little bit of pain
I'm telling you my babe
It's all in the game of

Love is
Whatever you make it to be
Sunshine
Instead of this cold lonely sea
So please baby
Try and use me for what I'm good for
It ain't saying goodbye
It's knocking down the door of your candy store

It just takes a little bit of this, a little bit of that
It started with a kiss
Now we're up to bat
A little bit of laughs, a little bit of pain
I'm telling you baby
It's all in the game of love
It's all in this game of love

You roll me Control me Console me
Please hold me
You guide me Divide me Into me

So please tell me
Why don't you come around no more?
'Cause right now
I'm dying outside the door of your loving store

It just take a little bit of this, a little bit of that
It started with a kiss
Now we're up to bat
A little bit of laughs, a little bit of pain
I'm telling you my babe
It's all in the game of love
All in this game of love
It's all in the game of love
Let's play the game of love

Roll me Control me
Please hold me
I'm out here on my own
On my own

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言って   ただ私に何をしてほしいのか

一度のキスで あなたは一気に私のたった一人の存在になった

だから、どうか教えて

どうしてもう来てくれないの

だって今は、あなたのキャンディ・ストアの前で泣いているのよ

 

こんなことや、あんなことがちょっとあって

一度キスをして いよいよ私たちの番なの

楽しいことが少し、辛いことも少し

あなたに言っているの ベイビー

愛というゲームではすべてあり得ること

 

愛とは

あなたがこの冷たくて孤独な海のかわりに

陽の光に変えてくれるようなもの

だから、どうかベイビー

私はあなたのためになるから、試してほしい

さよならを言うんじゃなくて

あなたのキャンディストアのドアを叩いているの

 

こんなことや、あんなことがちょっとあって

一度キスをして いよいよ私たちの番なの

楽しいことが少し、辛いことも少し

あなたに言っているの ベイビー

愛というゲームではすべてあり得ること

 

あなたは私を動かして、コントロールして、慰める

どうか抱きしめて

あなたは私を導いて、引き裂いて、私を私にしてくれる

だから、どうか教えて

どうしてもう来てくれないの

だって今は、あなたのキャンディ・ストアの前で今にも死にそうなの

 

こんなことや、あんなことがちょっとあって

一度キスをして いよいよ私たちの番なの

楽しいことが少し、辛いことも少し

あなたに言っているの ベイビー

愛というゲームではすべてあり得ること

 

私を動かし コントロールする どうか抱きしめて

私はここで一人きり 一人きりなの           (拙訳)        

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 サンタナはシングル「スムース」とアルバム「スーパー・ナチュラル」が破格の大成功となったあと、新作の制作に入ります、今回も初顔合わせの新しいアーティストとの

コラボレーションを核とするもので、それにふさわしい楽曲をかき集めました。

 

 この曲を書いたのはグレッグ・アレキサンダー。ニュー・ラディカルズ名義でアーティスト活動もしていました。共作はリック・ノウルズ、古くはベリンダ・カーライルの「Heaven Is a Place on Earth」、その後もマドンナ、セリーヌ・ディオン、ジュエル、ラナ・デル・レイなど大物の曲を数々手がけたヒット・ソングライターです。

 グレッグは16歳の時にリックにデモを送ったことがきっかけでアーティストとしてデビューし、彼の最初の2枚のアルバムはリックがプロデュースしています。もともと”師弟関係”でもある、ソングライター・チームなんです。

 

 ちなみに、僕が1990年代以降で最も好きな曲の一つニューラディカルズの「ホワット・ユー・ギヴ」や、最も好きな映画の一つ「はじまりのうた」でアダム・レヴィーンが歌った「ア・ハイヤー・プレイス」もグレッグとリックの共作。

 ”このコンビにハズレなし”と、僕は確信しています。

 

 この「ザ・ゲーム・オブ・ラヴ」のデモはリックのマネージャーのディスクに一年くらい放置され、サンタナが曲を集めていると知ってそのマネージャーは初めて曲を第三者に聴かせたそうです。そして、まったくラテン・テイストじゃなっかたにもかかわらず、サンタナは気に入りレコーディングすることに決めます。

 彼はマイルス・デイヴィスが晩年「ヒューマン・ネイチャー」や「タイム・アフター・タイム」のようなポップソングを取り上げたように、自分もシンプルでポップな曲をやりたかったようです。

 

  実はこの曲は、サンタナの指名でティナ・ターナーのボーカルで録音されています。

(2007年にこのヴァージョンは”the Ultimate Santana collection”に収録されています。


Santana Feat Tina Turner The Game Of Love (Ultimate Santana) (HD)

 しかし、サンタナのレコード会社(アリスタ)の社長、クライヴ・デイヴィスは却下、若いアーティストと共演することを提案します。そして選ばれたのがミッシェル・ブランチだったのです。

 

 さすがにティナ・ターナーの歌いっぷりは見事ですが、ミッシェルとティナでは曲のイメージが全然違いますよね。かつてのスーパースター同士の共演ではなく、前作同様サンタナと若いアーティストの化学反応、という路線を崩さなかったわけです。

 

 また、一番最初のデモはメイシー・グレイが歌っていたと言う話もあります(結局彼女はアルバムの別曲を歌うことになりました)。彼女はティナよりずっと若いですが、ヴォーカルの雰囲気は近いように思います。もっと、この曲には軽快なヴォーカルを求めたのかもしれませんね。

 

 ミッシェル・ブランチは米アリゾナ州出身のシンガー・ソングライター。アマチュア時代はシェリル・クロウ、リサ・ローヴ、ジュエルなどのカバーもやっていたようです。

 両親からも資金の協力を得て自主制作盤を一枚作ったあとメジャーと契約し、2001年デビューシングル「Everywhere」がいきなり全米12位のヒットになります。

 サンタナと組んだ時は、まさにブレイク仕立てのニュー・アーティストでした。


Michelle Branch - Everywhere [Official Music Video]

 この曲は全米5位まであがり、グラミー賞の”最優秀ポップ・コラボレーション賞ヴォーカル”に輝き大成功に終わっています。

 

 しかしのちに、ミッシェルはこれは本当はやりたくなかった仕事だったと2005年にインタビューで語り、それを聞いて憤慨してサンタナはティナのオリジナル・ヴァージョンを2007年のベスト・アルバムに入れたんじゃないか、などとも考えられます。

 カルロス・サンタナは、ミッシェルは素晴らしい仕事をしてくれた、と前置きしながらも、ティナとミッシェルを、それぞれ、WomanとGirlだと言い、僕は最初からこの曲はティナとやると心に決めていた、などと語っています。やっぱ、怒っているのでしょう(苦笑。

 彼女がGirlだったからこそ、この曲に軽快さが加わったように僕は思いますが。

 

 このあと、この曲が収録されたアルバム「シャーマン」から「WHY DON'T YOU & I」という曲が全米8位になるヒットを記録。こちらもラテン色のない曲でした。


Santana - Why Don't You & I (Alt. Version Video) ft. Alex Band

 ラテン色のないポップ・ヒットを出すと低迷してゆくというジンクスが彼にはあるのでしょうか、このあとはシングル・ヒットが出なくなります(アルバムは手堅く売れますが)。

 そういえば、1980年代後半に彼が失速する直前のヒット・シングルもまた、ラテン色の薄い曲だったのです。1982年の「ホールド・オン」。キャッチーでいい曲ですけどね。


Santana - Hold On (Official Video)

 

最後はこの曲の作者グレッグ・アレキサンダーのデモと思われる音源がアップされているので、そちらをどうぞ。


Gregg Alexander - The Game Of Love

 

popups.hatenablog.com

 

グレッグ・アレキサンダーとリック・ノウルズの作った名曲「ホワット・ユー・ギヴ」

(ニュー・ラディカルズ)*記事をアップデートしました。

popups.hatenablog.com

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