まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「想い出のクリスマス (Someday at Christmas)」 スティーヴィー・ワンダー(1967)

 おはようございます。

 今日はスティーヴィー・ワンダーの「想い出のクリスマス」です。

www.youtube.com

Someday at Christmas men won't be boys
Playing with bombs like kids play with toys
One warm December our hearts will see
A world where men are free

Someday at Christmas there'll be no wars
When we have learned what Christmas is for
When we have found what life's really worth
There'll be peace on earth

Someday all our dreams will come to be
Someday in a world where men are free
Maybe not in time for you and me
But someday at Christmastime

Someday at Christmas we'll see a Land
No hungry children, no empty hand
One happy morning people will share
Our world where people care

Someday at Christmas there'll be no tears
All men are equal and no men have fears
One shinning moment one prayer away
From our world today

Someday all our dreams will come to be
Someday in a world where men are free
Maybe not in time for you and me
But someday at Christmastime

Someday at Christmas man will not fail
Hate will be gone love will prevail
Someday a new world that we can start
With hope in every heart

(Someday all our dreams will come to be)
(Someday in a world where men are free)
Maybe not in time for you and me
But someday at Christmastime
Someday at Christmastime

 

Writer/s: Bryan Wells, Ronald Miller

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 " いつかのクリスマス 男たちは

 子供がおもちゃで遊ぶように 

 爆弾を扱うような少年ではなくなっている

    ある暖かな12月の日 僕たちは見るだろう

 男たちが兵役から解放されている世界を

 

 いつかのクリスマス 戦争はもうなくなっている

 クリスマスが何のためにあるのか学んだとき

 生きることの尊さがわかったとき

 地球に平和が訪れるだろう

 

 いつか僕たちの夢はすべてやってくる

 いつか男たちが戦争から解放された世界に

 君や僕が生きている時代ではないかもしれない

 だけど、いつか、クリスマスの頃には

 

 いつかのクリスマス 僕たちが見る国は

 飢えた子供達も 食べ物を持たない手を見ることはない

 ある幸せな朝に 人々は分かち合う

 お互いを思いやる世界を

 

    いつかのクリスマスには 涙も消えて

 あらゆる人間は平等で 畏れをいだく人はいない

 輝きの瞬間が来たら 祈りを捧げよう

 今日、僕たちがいるこの世界から

 

    いつか僕たちの夢はすべてやってくる

 いつか男たちが戦争から解放された世界に

 君や僕が生きている時代ではないかもしれない

 だけど、いつかのクリスマスの頃には

 

 いつかのクリスマスに 人々はしくじりはしない

 憎しみは消え 愛が勝ち残る

 いつかみんな心の希望を抱き 新しい世界を始めるんだ

 

 いつか僕たちの夢はすべてやってくる

 いつか男たちが戦争から解放された世界に

 君や僕が生きている時代ではないかもしれない

 だけど、いつか、クリスマスの頃には 

 いつか、クリスマスの頃には ” (拙訳)

 

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  1970年代に「インナーヴィジョンズ」、「ファースト・フィナーレ」、「キー・オブ・ライフ」といったアルバムで、ポップ・ミュージック史上比肩しうるもののないスケールの、もはや神がかり的と言っていいほどの創作能力を発揮したスティーヴィー・ワンダーですが、1960年代には他の人が書いた曲をメインに歌っていました。

 そして、”他の人が書いた曲”にも素晴らしいものが多いんですよね。

 

 この「想い出のクリスマス」は1966年にシングルとして発売され、翌1967年に同名のアルバムの1曲めに収録されています。

 この曲の歌詞を書いたのがロン・ミラー、作曲したのがブライアン・ウェルズ。二人とも、黒人たちが作り出したレーベルであるモータウンとしては異例の白人のソングライターです。

 

  ロン・ミラーはアメリカ海軍退役後、洗濯機のセールスマンをやりながら夜バーでピアノを弾いていて、それを見たモータウンの社長ベリー・ゴーディに声をかけられたということになっているようですが、実は、モータウンの重役ミッキー・スティーヴンソンが滞在するホテルに彼がピザを配達に来て、ミッキーが音楽業界にいると知り自分の曲を売り込んだ、という説もあります。

 

 ブライアン・ウェルズのプロフィールは不明ですが、スティーヴィーとの仕事以降はCMの音楽をメインに作っていたようで現在はジャズ・ピアニストとして活動しているようです。

 

 さて、ロン・ミラーとブライアン・ウェルズのコンビは、この「想い出のクリスマス」の直前のスティーヴィーのシングルも書いていて、それがヒットしたことで次のシングルも手がけることになったようです。

 

 それが「太陽のあたる場所(A Place in the Sun)」です。日本では浜田省吾が大好きな曲としてファンには知られていて、カバーもされていますし、ツアーのタイトルにもなっています。

 


A Place In The Sun

Like a long lonely stream
I keep running towards a dream
Moving on, moving on
Like a branch on a tree
I keep reaching to be free
Moving on, moving on

'Cause there's a place in the sun
Where there's hope for everyone
Where my poor restless heart's gotta run
There's a place in the sun
And before my life is done
Gotta find me a place in the sun

 

Like an old dusty road
I get weary from the load
Moving on, moving on
Like this tired troubled earth
I've been rolling since my birth
Moving on, moving on

'Cause there's a place in the sun
Where there's hope for everyone
Where my poor restless heart's gotta run
I know there's a place in the sun
And before my life is done
Gotta find me a place in the sun

 

<You know when times are bad
And you're feeling sad
I want you to always remember>

 

Yes, there's a place in the sun
Where there's hope for everyone
Where my poor restless heart's gotta run
I know there's a place in the sun

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”長く孤独な川の流れのように 僕は夢に向かって走る続ける

 もっと前に もっと向こうに

 木の枝のように 僕は自由を求めて手を伸ばしてゆく

 もっと遠く もっと先へ

 

それは太陽のあたる場所があるから

誰にでも希望がある場所

僕の弱く落ち着きのない心を駆り立てるところ

太陽のあたる場所があるんだ

僕の人生が終わる前に 太陽がある場所を見つけよう

 

古くて埃まみれの道のように

僕は背負った重荷で疲れ果てた

でも前へ それでも前へ

疲弊して苦しんでいる地球のように

生まれたその日から 動き続けている

休まずに 止まらずに

 

それは太陽のあたる場所があるから

誰にでも希望があって

僕の弱く落ち着きのない心を駆り立てる場所が

太陽のあたる場所があるんだ

僕の人生が終わる前に 太陽がある場所を見つけよう

 

<つらい時や 寂しい時は いつだって 思い出して欲しい>

 

そう 太陽のあたる場所があるんだ

誰にでも希望があって

僕の弱く落ち着きのない心を駆り立てる場所  ” (拙訳)

 

 

「想い出のクリスマス」と「太陽のあたる場所」には共通するものを強く感じます。

兄弟のような曲だと言っていいのではないでしょうか。

 同じ作詞家と作曲家(プロデューサーも同じです)が同じ時期に作っているというのももちろん、そうなんですが、どちらも”希望”に対して純粋に心を傾けている歌ですね。

 作詞をした、ロン・ミラーがソングライターを始める前に海軍にいたという経験も当然反映されているでしょう。

 

 ”いつかのクリスマス”とは”太陽のあたる場所”のことであり、どちらも”希望”を言い換えているタイトルだと思えるのです。

 

 

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