まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「輝く太陽(Happier Than The Morning Sun)」ニック・デカロ(1974)

 あけましておめでとうございます。

 今日はニック・デカロの「輝く太陽」です。

 新年1曲めですから、Happyな曲がいいなと思っていろいろ考えたのですが、あまりテンションが高いものより、リラックスしてさりげない感じがいいなと思って選びました。それに、”幸せ”と”朝日”という、元旦らしいワードが両方入ってますし。 

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I'm happier than the morning sun
And that's the way you said that I would be
If I should ever bring you inside my life
I'm happier than the morning sun
And that's the way you said that I would be
If I should ever bring you inside my life


All my life I was alone
Didn't think I'd find my part
But now I see there's joy in your eyes
Every night I searched for the star
That never was in the sky
And now I see this star  in your eyes


And I'm happier than the morning sun
And that's the way you said that I would be
If I should ever bring you inside my life
I'm happier than the morning sun
And that's the way it will always be
I'm so glad you came inside my life

 

And I'm happier than the morning sun
And that's the way you said that I could be
If I should ever bring you inside my life
I'm happier than the morning sun
And that's the way it will always be
I'm so glad you came inside my life

 

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僕は朝日よりも幸せさ
そうなるって、そんな風に君が言ったんだ
もし君を僕の人生に迎え入れたならね
朝日よりも幸せさ
そうなるって、そんな風に君が言ったんだ
もし君を僕の人生に迎え入れたならね


僕はずっと一人だった
自分の役割なんて見つからないと思っていた
でも今は、君の瞳に喜びが見える
毎晩、星を探した
空には見つからなかった
今、僕は君の瞳にこの星を見ている


僕は朝日よりも幸せさ
そうなるって、そんな風に君が言ったんだ
もし君を僕の人生に迎え入れたならね
僕は朝日よりも幸せさ
これからもずっとそうなるさ
君が僕の人生に現れて本当に嬉しいんだ


僕は朝日よりも幸せさ
そうなるって、そんな風に君が言ったんだ
もし君を僕の人生に迎え入れたならね
僕は朝日よりも幸せさ
これからもずっとそうなるさ
君が僕の人生に現れて本当に嬉しいんだ

                          (拙訳)

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  この曲のオリジナルはスティーヴィー・ワンダー。1972年発売のアルバム「心の詩(MUSIC OF MY MIND)」に収録されていました。

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 そして、このカバーを歌っているニック・デカロは1960年代から70年代にかけて、主にアレンジャーとして活躍した人です。特にストリングスのアレンジには定評があります。とても洗練されていながら、ヒューマンな温かみもあるのが彼の魅力です。

 

  1960年代にはかつて同じグループで演奏していたトミー・リピューマのプロデュース作品を中心に、クリス・モンテス、クロディーヌ・ロンジェ、サンドパイパーズ、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズといった"A&Mポップス”のアレンジャーとして活躍しました。

 

 そして、盟友トミー・リピューマが<Blue Thumb>というレーベルをスタートさせると、そこでもアレンジャーとしてベン・シドランなどを手がけた後、自身もシンガーとしてアルバムを制作、それがこの曲が収められている「イタリアン・グラフィティ」でした。このアルバムはいわゆるAORの先駆けとなった作品として、今では定番になっています。

 このアルバムの魅力は、都会的な洗練されたサウンドももちろんそうですが、選曲の素晴らしさというのも大きいです。この曲以外にも、スティーヴィーのシングルのB面曲だった「アンジー・ガール」、トッド・ラングレンの「ウェイリング・ウォール」、ランディ・ニューマンの「町はねむっているのに」、ジョニ・ミッチェルの「オール・アイ・ウォント」など。デカロ本人の選曲が中心のようですが、かつてクロディーヌ・ロンジェとの仕事で素晴らしい”選曲眼”を発揮したトミー・リピューマのセンスが現れた曲もあって、当時全く実績のなかったスティーヴン・ビショップの「ジャマイカの月の下で」はリピューマが持ってきたものだったようです。

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    スティーヴィーのオリジナルではクラビネットと思われるパートを、ニック・デ・カロのヴァージョンではフルートにしていて、そこがよりこの曲を心地よいものにしています。吹いているのはジャズ・プレイヤーのバド・シャンクです。

  デカロはライナーノーツで、ちょっとドリス・デイみたいに聴こえるようにしてみた、と語っています。

 

 ちなみに、この曲をシングルで発売した人がいます。「雨にぬれても」のB.J.トーマスです。このヴァージョンのイントロはアコギで、これもいい感じです。

  1972年ですからスティーヴィーのリリースと同時期ですね。彼の代表作と言われるアルバム「Billy Joe Thomas」(「ロックンロール・ララバイ」が収録されています)からシングルカットされています。


B.J. Thomas - Happier Than the Morning Sun (featuring Stevie Wonder)

 ちなみに、このヴァージョンは全米チャート最高100位ギリギリだったそうです。

 日本ではアン・サリーがカバーしているようですが、もっともっとカバーされていいように思います。でも、ニックとB.Jのカバーが素晴らしいので、まあいいか、とも思えてしまいますが、、。

 

 最後にこの曲のカバーをもうひとつ。キャプテン&テニール、1977年のアルバム「Come In The Rain」に入っていたものを。

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