まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「イッツ・ア・シェイム(It's a Shame)」スピナーズ(1970)

 おはようございます。

 今日もスピナーズ。「イッツ・ア・シェイム」です。

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It's a shame, the way you mess around with your man
It's a shame the way you hurt me
It's a shame, the way you mess around with your man
I'm sitting all alone, by the telephone
Waiting for your call, when you don't call at all

It's a shame (shame) the way you mess around with your man
It's a shame (shame) the way you play with my emotions
It's a shame (shame) the way you mess around with your man
You're like a child at play, on a sunny day
'Cause you play with love, and then you throw it away

Why do you use me, try to confuse me
How can you stand, to be so cruel
Why don't you free me, from this prison
Where I serve my time as your fool

It's a shame (shame) the way you mess around with your man
It's a shame (shame) the way you hurt me
It's a shame (shame) the way you mess around with your man
I try to stay with you, show you love so true
But you won't appreciate, the love we try to make

Oh, it's got to be a shame

Why do you use me, try to confuse me
How can you stand, to be so cruel
Why don't you free me, from this prison
Where I serve my time as your fool

Got to be a shame (shame) the way you mess around with your man
Ohhh, it's a shame (shame) the way you hurt me
It's a shame (shame) the way you mess around with your man
You've got my heart in chains, and I must complain
I just can't be confined, oh, looking back in time
Got to, got to, be a shame

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残念だよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

残念だよ、そんな風に僕を傷つけるなんて

恥ずかしいことだよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

僕は一人ぼっちで 電話のそば

君からの連絡を待っている かけてきやしないのに

 

残念だよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

残念だよ、そんな風に僕の気持ちをもて遊ぶなんて

恥ずかしいことだよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

君はまるで 晴れた日に遊ぶ子供さ

それは君を愛とたわむれたあと、放り投げてしまうからさ


どうして僕を利用するの 混乱させようとするの

どうしたらそんなに残酷にしていられるの

どうして僕をこの牢獄から解放してくれないの

君に夢中になってしまったバカが刑期を務めるこの場所から

残念だよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

残念だよ、そんな風に僕を傷つけるなんて

恥ずかしいことだよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

君と一緒にいようとして この愛が本物だって教えたい

だけど、君はなんとも思っちゃいない、僕たちが育む愛なんて

ああ、それはひどいことなんだよ

どうして僕を利用するの 混乱させようとするの

どうしたらそんなに残酷にしていられるの

どうして僕をこの牢獄から解放してくれないの

君に夢中になってしまったバカが刑期を務めるこの場所から

 

残念だよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

残念だよ、そんな風に僕を傷つけるなんて

恥ずかしいことだよ、君が彼氏といちゃつくその感じ

君は僕の心を縛りつけたから、僕は文句を言わなきゃ

僕を閉じ込めることなんてできない

ああ、今振り返ってみると 恥ずかしいことなんだ   (拙訳)
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 デトロイト出身で地元の人気レーベル”モータウン”に所属しながらうまくいかず、レコード会社を移籍し”フィラデルフィア・ソウル ”の人気者になったスピナーズですが、モータウン時代にまったくヒットがなかったわけではありません。

 彼らのモータウン時代の代表曲が、この「イッツ・ア・シェイム」です(全米14位、全英20位)。

 

 この曲を書いたのは、スティーヴィー・ワンダーとリー・ギャレット、シリータ・ライトの三人。プロデュースはスティーヴィーが担当しています。

 

 実は「イッツ・ア・シェイム」の1週間前にスティーヴィー・ワンダーは自分のシングルをリリースしています。作者は同じくスティーヴィー、リー、シリータ、そこにスティーヴィーの母ルラ・ハーダウェイが加わっています。

 

 その曲は「涙をとどけて(Signed, Sealed, Delivered (I'm Yours))」です。

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 これはスティーヴィー・ワンダーがはじめてセルフ・プロデュースの権利を勝ち取った記念すべき曲なんですね。

 そして「イッツ・ア・シェイム」は彼がはじめて他のアーティストをプロデュースした曲。

 それが並行して行われていたわけです。

 

 また、シリータ・ライトは、モータウンで秘書やデモ・シンガー、バック・コーラスなどをやっていましたが、スティーヴィーと交際し始めたことがきかっけに、曲も一緒に書くようになっていました。二人はこの曲が発売された3ヶ月後に結婚しています。

 

 

    この曲をメインで歌っているのがG.C.キャメロン。彼はオリジナルのメンバーではなく、モータウンがスピナーズにはいろんなタイプの曲が歌えて深みのある声のメインボーカルが必要だということで、1967年に加わったメンバーでした。

 

 G.Cはスティーヴィーと仲良くなったそうです。

「ある晩、二人で出かけた時に、彼は言ったんだ”君のために曲を書いたよ”って。僕がどんな曲かたずねると、彼は自分の家に僕を連れて行って、電子ピアノで演奏したんだ。その曲が”イッツ・ア・シェイム”だったんだ」

「次の日に、スティーヴィーはスタジオに行ってレコーディングした。その3日か4日後に僕はスピナーズの他のメンバーと一緒に歌を録音したんだ」

                (REBEAT)

 

 G.Cはこの曲でメインとファルセットの両方のパートを歌い、まさにいろんなタイプの歌が歌える才能を発揮しています。

 

 しかし、G.Cも他のメンバーも長くヒットが出ずに、モータウンの他のアーティストの付き人や運転手までやっていたそうで、自信喪失になっていたのでしょう、「イッツ・ア・シェイム」の出来には満足しつつも、ヒットするとは思っていなかったそうです。

 

 結局、曲はけっこうヒットしたのにスピナーズは移籍しますが、G.Cのみモータウンに残りました(代わりに自分のいとこをメンバーに推薦しています)。

   彼は当時モータウンの社長のベリー・ゴーディのお姉さんグウェン・ゴーディと恋仲にあり、のちに結婚します(ちなみに、グウェンの最初の旦那さんはスピナーズをモータウンに連れてきたハーヴィ・フークアです)。

 まあ、それがモータウン残留の大きな理由でしょうが、スティーヴィーへの恩義ありましたからなおさらG.Cはモータウンはやめられなかったでしょうね。

 

 G.Cはモータウンでソロアーティストとして活動していき、2000年代にはテンプテーションズのメンバーになったりしています。

 

 そして、この「イッツ・ア・シェイム」は自分の曲だという自負があるのでしょう、ソロのライヴでは必ず歌っているようです。

 

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