まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ザ・ウォーク(The Walk)」メイヤー・ホーソン(2011)


 おはようございます。

 今日はメイヤー・ホーソンの「ザ・ウォーク」です。

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(So long, you did me wrong)

(So long, you did me wrong)

 

Baby, what you doing now? You're pissin' me off

But your hair is so luxurious and your lips are so soft

Any way you slice it You're doin' me wrong

But I love the way you walk now

And your legs are so long

 

Well, your looks had me putty in your hand now

But I've took just as much as I can stand now

And you can walk your long legs, baby right out of my life

(So long, you did me wrong)

Yeah you can walk your long legs, baby, right out of my life

(So long, you did me wrong)

 

From the moment that I met you I thought you were fine, so fine

But your shitty, fucking attitude

Has got me changing my mind

Yeah, everybody tells me I need to let go, I know

But your cocoa butter skin now

Has got me begging for more

 

Well your heels keep runnin' through my head now

Tried to deal, but I'm comin' to the edge now

And you can walk those high heels, baby, right out of my life

(So long, you did me wrong)

yeah Yeah, you can walk those high heels, baby, right out of my life

(So long, you did me wrong)

 

Tell me why

Why'd you turn my blue skies cloudy grey

You know I I can't let you keep treating me this way

 

Oh, you've been jerkin' me around, but I've kept my eyes shut, yeah

'Cause you're shaped like an hourglass

But I think your time's up

(Kept my eyes shut, now your time's up)

 

Well your heart's like a blackened piece of coal now

And I doubt that you ever had a soul now

And you can walk your cold heart, baby, right out of my life

 

(So long, you did me wrong)

Yeah, you can walk your cold heart, baby, right out of my life

(So long, you did me wrong)

Just walk it out

(so long, you did me wrong)

Keep on walkin' now

(so long, you did me wrong)

Leave me alone

(so long, you did me wrong)

I'm better off on my own

(so long, you did me wrong)

 

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(さよなら、君は僕にひどいことをした)

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

ベイビー、何してるの?君は僕を怒らせてるんだ

だけど、君の髪にはうっとりしちゃうし、唇はとても柔らかい

どう考えても、君は僕にひどいことをしたんだけど

だけど、君のその歩き方が大好きなんだ

君の脚はとても長いね

 

君のルックスが僕を君のいいなりにさせてしまう

だけど、僕は我慢できるだけ頑張ってきたよ

君はその長い脚で歩いて出ていけるんだ、すぐに僕の人生から

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

君はその長い脚で歩いて出ていけるんだ、すぐに僕の人生から
(さよなら、君は僕にひどいことをした)

君に会った瞬間から、思えば君は素晴らしかった、とてもね
だけど、下品でひどい態度が僕の気持ちを変えたんだ

みんな僕の言うのさ、関わらないほうがいいって

だけど君のココアバター色の肌が僕を誘惑するんだ

君のヒールが僕の頭の中を駆け回っている
なんとかしようとしたけど、もう限界なんだ
君はそのハイヒールで歩いて出ていけるんだ、すぐに僕の人生から

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

君はそのハイヒールで歩いて出ていけるんだ、すぐに僕の人生から

(さよなら、君は僕にひどいことをした)


教えてよ どうして君は僕の青空を曇りに変えるんだい?

わかってるだろ、僕は君にこんな風なあつかいをさせるわけにはいかないんだ

君は僕にひどいことをしてきても、僕はずっと目を瞑ってきたんだ

だって君は砂時計みたいなスタイルしてるから

だけどもう時間切れさ(目を瞑ってきたけど 時間切れ)

 

君のハートは石炭の黒ずんだかけらみたいさ

君に魂があるかどうかもあやしい

君は冷たい心で歩いて出ていけるんだ、ベイビー、すぐに僕の人生から

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

君は冷たい心で歩いて出ていけるんだ、ベイビー、すぐに僕の人生から

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

ただ歩き去ればいい

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

歩き続けるんだ

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

放っておいてくれ

(さよなら、君は僕にひどいことをした)

一人の方がせいせいするよ

(さよなら、君は僕にひどいことをした)
                      (拙訳)

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 メイヤー・ホーソンアメリカ、ミシガン州アナーバー(Ann Arbor)で生まれ育ちました。アナーバーから東に約64kmくらい行くと、モータウンを産んだデトロイトがあり、彼はモータウンの音楽に強く影響を受けました。

 本名はアンドリュー・メイヤー・コーエンといい、芸名のホーソンは、彼が育った場所に近い”ホーソン・ロード( Hawthorne Road)からとったそうです。

 

 音楽一家に生まれ、幼い頃から音楽に夢中だった彼は、両親の協力もあってレコード・コレクションを揃えることが一番の楽しみでした。

(彼は今も、自分のレコード・コレクションの写真を財布に入れて持ち歩いているそうです)

 そして、彼の音楽のキャリアのスタートは地元アナーバーで、”Athletic Mic League ”というHIPHOPグループにトラックメイカー、DJとした参加したことからで、彼は”DJ HAIRCUT”と名乗っていたようです。

 DJは彼の豊富な音楽の知識をもっとも有効に使える手段だったのでしょう。

 

   そして彼は2008年に音楽の世界で成功できるか確かめるために、友人二人とLAに移住します。

 その当時、彼は他のアーティストの作品をサンプリングするとお金がかかってしまうので、自力でモータウン・スタイルのトラックを作り始め、彼は楽器を全て自分で演奏し、それに自身のボーカルも加えたそうです。

 

 そして、そのトラックに興味を持ったのがピーナッツ・バター・ウルフというDJで、

彼は”Stones Throw Records"というレーベルを主宰していて、メイヤーは契約すること

になります。

 ”Stones Throw Records”はHIP HOPを中心に様々な個性的なアーティストを扱ってい

て、ちなみに昨日このブログに登場したベニー・シングスアメリカではこのレーベル

からリリースしています。

 

   彼はもともとシンガーじゃなく、HIPHOPのトラックメイカーで、ソウル・クラシック風なトラックが認められ、そのトラックに合わせて自らが歌うようになった、という実にユニークな経緯を持つ、しかしとても今の時代らしいプロフィールの持ち主なんですね。

 

 彼のデビューは2009年。最初のシングルは「Just Ain't Gonna Work Out」でした。

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 またこの曲の入った彼のファースト・アルバム「A Strange Arrangement」には

まさにモータウン、「恋はあせらず」(スプリームス)調の曲も入っています。

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 そして、この「ザ・ウォーク」は2011年にリリースされた彼のセカンド・アルバム「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ」からのファースト・シングルでした。

 

 この当時のインタビューでこのアルバムについて

「このアルバムで僕は自分自身のユニークなサウンドを見つけて、そのことにエキサイトしているんだ」

 と語っています。そして、こういうことも語っています。

 

 「”古き良き時代に戻ろう”って人が言うのは、僕は大嫌いなんだ。だって僕は、新しき良き時代を作りたいから。僕は自分の世代のために音楽を作っている新しいアーティストなんだ」

 「ソウル・クラシックのヒーロー達から学んだものを、僕が一緒に聞いて愛しながら

 

育ってきた音楽でアップデートするんだ、たとえばパブリック・エネミー、ホアン・ア

トキンスやサイボトロンとか」

          (EXCLAIM  Oct 24, 2011)

 

 パブリック・エナミーHIPHOPホアン・アトキンスはテクノ、サイボトロンはアト

キンスが所属していたグループです。アトキンスはデトロイト・テクノ創始者と呼ば

れていますから、デトロイトで育ったメイヤーはHIPHOP同様、テクノも普通に聴いて

きたわけですね。

 

  ベニー・シングスもメイヤー・ホーソンHIPHOPトラックから入っているわけで、

今の時代のポップス・アーティストではもはや珍しいことではないのかもしれませんね。

 

 最後は2012年に発売された、HIPHOPデュオ”リズルキックス”を新たにフィーチャーした「ザ・ウォーク」のニュー・ヴァージョンを。

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