まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「コール・ミー(Call Me)」クリス・モンテス(1965)

 おはようございます。

 今日もトニー・ハッチの作品。クリス・モンテスの「コール・ミー」です。


Call Me

 

    " もし君が悲しくて寂しいとき

    僕が貢献できることがある

    君だけを愛しているこの僕に伝えるんだ

    僕はすごくあたたかく、やさしくなれるよ

 

  電話してよ 怖がらないで 電話していいんだよ

  たとえ遅い時間でも ただ電話してくれればいいんだよ

  言ってくれれば 僕は君のそばに行くよ

 

  君が友達に見捨てられたように思えたとき

  君のことを考えている人間がいるんだよ

     僕は絶対君を傷つけたりしない

        それは君のことを愛しているからかもしれない

 

  電話してよ 怖がらないで 電話していいんだよ

  たとえ遅い時間でも ただ電話してくれればいいんだよ

  言ってくれれば 僕は君のそばに行くよ

 

  僕のことを忘れないで だって君がそうさせてくれるなら

  いつでも君のそばにいるんだから

  僕を信じなくちゃ そうでなきゃいけない

  僕にできることはたくさんあるんだから

 

  電話してくれたら すぐ君のところに行くよ

  君と僕は一緒にいるべきなんだ

  君に捧げたかったこの愛を受け止めてほしい

  永遠に君のそばにいるよ          ”  (拙訳)

 

  この曲はもともと、トニー・ハッチがアメリカのジャズ/ポピュラー・シンガー、キーリー・スミスがロンドン録音する際に依頼され書いたもので録音もされたのですが、

結局アルバムには収録されませんでした。

 しかし、その時のデモ音源がアップされています。


Call Me (Demo Version)

 残念に思ったトニーは、ペトゥラ・クラークに頼んでこの曲をレコーディングし、アルバムに収録してもらいました。


Call me Petula Clark

 

  そして、この曲をカバーしてヒットさせたのがクリス・モンテスです。

 彼はカリフォルニア州ホーソンでヒスパニック文化の中で育ち、最大のアイドルは「ラバンバ」で有名なリッチー・バレンスだったそうです。ロックンロール・スターを夢見て活動を始めた彼は、1962年に「レッツ・ダンス」という曲をヒットさせます(全米4位)。


Let's Dance

 1963年に彼がトミー・ロウとイギリスのリバプールがライヴをやった時のオープニングアクトビートルズだったそうです。

   しかし、その後は一気に下降線、翌1963年と64年はシングルはたくさん出しますがチャートにすら入らない状況でした。

 そんな中で彼は、ハーブ・アルパート率いるA&Mレコーズと契約します。

 クリスのセッションを見たハーブは、彼にソフト・バラード路線への転向を提案します。クリスの音楽の趣味からすると、かなりコンサヴァティヴな音楽でしたが、彼はその提案に乗ってみることにしました。

 

 そして、その新路線の最初のシングルに選ばれたのが、この「コール・ミー」でした(全米22位)。アレンジは、ハーブ・アルパート。手拍子でリズムにアクセントをつけるサウンドがトレードマークになったのか、その後の彼の曲にも多く聴くことができます。

 「コール・ミー」の次のシングルで、彼のA&M時代の最大のヒットになった「The More I See You」(全米16位)もそうです。


The More I See You

 ロックンローラー時代よりもハイトーンで歌うようになったので、当初は女性が歌っていると思った人も多かったそうです。

 その後は、また彼のキャリアは下降線をたどっていってしまうのですが、ヒットしなかったA&M最後のアルバムから、日本だけ大ヒット曲が生まれます。

 それが「愛の聖書(Nothing To Hide)」です。


愛の聖書Nothing To Hide/クリス・モンテスChris Montez

 作詞作曲はクリス本人、こんな見事にベタな曲を書けるんですね。この曲に目をつけて日本だけでシングルにした担当者の手腕も見事です。

 ちなみに、この曲をベースにして作られたと言われているのがこれです。


辺見マリ 経験

 「コール・ミー」のあとに「愛の聖書」を聴くと、かなりベタな”歌謡曲”に聴こえますが、「経験」を聴いてからまた「愛の聖書」を聴くと、おしゃれなポップスに聴こえてきますから不思議なものです、、、。

 

モア・アイ・シ-・ユ-~コ-ル・ミ-

モア・アイ・シ-・ユ-~コ-ル・ミ-

 

 

愛の聖書

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