おはようございます。
今日はトッド・ラングレンの「ハロー・イッツ・ミー」です
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Hello, it's me
I've thought about us for a long, long time
Maybe I think too much, but something's wrong
There's something here that doesn't last too long
Maybe I shouldn't think of you as mine
Seeing you
Or seeing anything as much as I do you
I take for granted that you're always there
I take for granted that you just don't care
Sometimes I can't help seeing all the way through
It's important to me
That you know you are free
'Cause I never want to make you change for me
Think of me
You know that I'd be with you if I could
I'll come around to see you once in a while
Or if I ever need a reason to smile
And spend the night if you think I should
It's important to me (me)
That you know you are free
'Cause I never want to make you change for me
Think of me
You, you know that I'd be with you if I could
I'll come around to see you once in a while
Or if I ever need a reason to smile
And spend the night if you think I should
Think of me, think of me, think of me
Think of me, think of me, think of me、、、
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やあ、僕だよ
長い間ずっと、僕たちのことを考えていたんだ
考えすぎかもしれない、だけど何かがおかしいのさ
そんなに長く続かなそうな気がするんだ
たぶん僕は君を自分のものだと思うべきじゃないんだろうね
君を見ても、それと同じくらい他のものを見ても
君がいつもそこにいることが当たり前に思うんだ
君が気にもかけていないことも当たり前に思うんだ
時々、僕は二人の始まりから終わりまで見てしまうんだ
僕にとって重要なのは
君が自分が自由であることを知ることさ
だって、君には僕のために変わってほしくはないから
僕のことを思って
できることなら僕は君と一緒にいたいってわかるよね
たまには君に会いに来るよ
もしくは、笑顔になる理由が必要なときは
そして、あなたがそうしたほうがいいと思うなら
一緒に夜を過ごすよ
僕にとって重要なのは
君が自分が自由であることを知ることさ
だって、君には僕のために変わってほしくはないから
僕のことを思って
できることなら僕は君と一緒にいたいってわかるよね
たまには君に会いに来るよ
もしくは、笑顔になる理由が必要なときは
そして、あなたがそうしたほうがいいと思うなら
一緒に夜を過ごすよ
僕のことを思って、僕のことを思って、僕のことを思って、、、
(拙訳)
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”Songfacts"というサイトのインタビューで、
”他のアーティストの曲で最も影響を受けたものは何ですか?”というインタビューに対して、トッド・ラングレンはこう答えています。
「一曲?一曲考えるのは難しいけど、絞り込むことはできるだろう。バート・バカラックがプロデュースして全曲を書いたディオンヌ・ワーウィックのアルバムに収録されている曲かもしれない。「Walk On By」とか、あのアルバムにはいい曲がたくさんあったからね。「Don't Make Me Over」とかね。
世の中に素晴らしい曲はたくさんあった、だけど、あのレコードを聴いて、それがどう違うのか、自分が夢中になった音楽のクオリティどのように存在するのか、そしてそれはまた一つの歌であるということに気づくまでは、ソングライターの役割についてあまり考えたことがなかったんだ。そのとき初めて、自分の頭の中でソングライターがやっていることを分解し始めたんだ。あの曲は、私が初めて書いた曲である「Hello It's Me」に多くの影響を与え、その変化がその中で展開されたんだ」
せっかくですので、ディオンヌ・ワーウィックの「Walk On By」と「Don't Make Me Over」を。
ちなみにこの2曲が収録されているアルバムとは、彼女のデビュー作「Presenting Dionne Warwick」なんですが、アメリカ盤は「Don't Make Me Over」は入っていなくてイギリス盤になります。細かい話なんですが、、、。
また、この頃彼はローラ・ニーロの音楽に出会って衝撃を受けたそうです。
「メジャー・セヴンスのコードとか、オーギュメントやサスペンドのヴァリエーションは全部彼女の影響だよ。とくにピアノで曲を書くときは、四音のコードのほうが、ずっと響きがよく聞こえたんだ。でも曲を書いている途中で『ローラ・ニーロみたいにしたい』なんて考えることはない。あの当時の僕はそれよりも、自分らしいサウンドを懸命に探していた」
(「トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代」)
そう言えば、スティーリー・ダンもバカラック=ディオンヌとローラ・ニーロが好きで影響を受けたと語っていて、両者には共通点がありそうですね。
さて、彼は高校卒業して2年目にNAZZ(ナッズ)というグループを結成します。名前はヤードバーズの「The Nazz Are Blue」という曲から取られたそうです。
この「ハロー・イッツ・ミー」は1968年にNazzのデビューシングル「Open My Eyes」のB面としてリリースされましたが、こっちの方が人気になり全米66位まであがっています。
このヴァージョンはトッドではなく、バンドのメインヴォーカリストであるロバート”スチューキー”アントニが歌っています。
バンドは1969年に解散すると、70年にトッドはソロ活動をスタートします。
そしてシングル「We Gotta Get You a Woman」がいきなり全米20位のヒットを記録します。
そして彼は1972年にリリースされた、彼の代表作と言われている二枚組アルバム『サムシング/エニシング?』で「ハロー・イッツ・ミー」をセルフカバーすることにします。
「『あの曲が、別の形で聞こえてきたんだ』とトッド。『もっとアップテンポで、感触も違っていた。それでこの新しいアレンジでやってみる気になったんだよ。生まれてはじめて書いた曲だったから、別にかまわないだろうと思ってね。そうすればハイスクール時代にぼくをふったあのクソ女のことを、完全に忘れられるんじゃないかという気持ちもあったし」
(「トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代」)
キャリアの前半、彼はその曲のスタイルから”男性版キャロル・キング”といった評価をされたようです。それについてこう語っています。
「僕はキャロル・キングのファンだった、だけど、いったい誰が常に他の誰かと比較されたいと思うんだ。長期的には、自分が他の人と比較される対象になることを望んでいるはずさ。だから、その方程式(フォーミュラ)を壊そうと決めたんだ。何をするにしても、ある程度まではその方程式を壊してみようと思って、少なくとも、いろんな聞き方をするように自分自身をオープンにしてみようと思ったんだ。そして、自分が受けた影響のうち、ポップスには簡単にフィットしないものをもっと引き出そうと思ったのさ」
(Redbull music academy)
確かに彼はその後、ポップスの枠に収まらない、実験的な作品に数多くトライしていきましたが、そういう動機があったんですね。
また、2013年に彼はその頃の曲の歌詞についてこのように語っています。
「今の歌詞って、すごく苦悩しているよね。どれもが不安についての歌なんだ。人は本来は惨めなものではないのに、なぜか今の時代は惨めなことを歌にするものが当たり前になっている。まるで、どれだけか悲惨になれるか、(笑)それだけ不幸にトム・ヨークが耐えられるか?みたいにね」
(Redbull music academy)
この傾向は今はもっとエスカレートしているかもしれないですね。
彼の書くポップソングは暗いものでも、決して不安になったり、惨めな気持ちにはならないですね。
最後は僕の好きな「Wailing Wall」を。とても暗くて、とても美しい。