まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Show You The Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)」サンダーキャット(2017)

 おはようございます。

 今日はサンダーキャット。凄腕ベーシストにして、かつてのジャズ、フュージョンのテイストを活かしながら、今の時代にフィットした斬新な楽曲を生み出しているアーティストです。


Thundercat - 'Show You The Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)' (Official Video)

Let me show you, show you the way
On the edge of dark there's the brightest light
A burning light on the edge of dark
Where no one can tell they’re worlds apart
We'll live with dark, just take the ride

”It's your boy Thundercat”

Heavy-hearted, but my burden's light
I just wanna live, and learn how to fly
When it's all over, breathe into the light
Sink or swim, I'm not scared to die

 

”Tell 'em how you feel, Kenny
Kenny Loggins”

 

Your heart is struggling, baby
Trying to believe
That there might be something you just couldn't see
But what if I told you, babe
It’s all so easy?

 

Let me show you, show you the way
On the edge of dark there's the brightest light
A burning light, on the edge of dark
Where no one can tell they're worlds apart
We'll live with dark, just take the ride

 

”Ladies and gentlemen; Michael McDonald”

Wake up and dream, tear down the wall
Of all you believe that might not be true
Long as love lies waiting there
Just hold your face into the light
Though right now you might not know why
Long as love lies waiting
They ain’t know our way, baby

 

Let me show you, show you the way
On the edge of dark there's the brightest light
A burning light, on the edge of dark
Where no one can tell they're worlds apart
We'll live with dark, just take the ride

 

Hey, how's it going? This is your boy Thundercat
If you're gonna fill your water bottle with vodka
Always make sure you have a friend with a bottle that actually has water in it

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君に見せてあげよう 導いてあげるよ
暗闇の先に、いちばん明るい光がある
暗闇の端にある燃える光
自分たちが全然違うってことが誰もわからない場所で
暗闇と共に生きよう、ただ乗りこなすんだ

 

「僕は、あなたの、サンダーキャットです」

 

重い気持ち、でも僕の重荷は軽い
僕はただ生きたい、飛び方を学びたいんだ
すべてが終わったら、光の中で呼吸しよう
沈もうが泳ごうが、死ぬのは怖くない

 

「気持ちを伝えるんだ、ケニー、
ケニー・ロギンスです」

 

君の心はもがいているね、ベイビー
見えない何かがあるかもしれないと信じようとして
でも、もし僕が君に言ったらどうする?
全部とても簡単なことなんだって

 

君に見せてあげよう 導いてあげるよ
暗闇の先に、いちばん明るい光がある
暗闇の端にある燃える光
自分たちが全然違うってことが誰もわからない場所で
暗闇と共に生きよう、ただ乗りこなすんだ

 

「皆さん、マイケル・マクドナルドです」

 

目を覚まして夢を見よう、壁を壊すんだ
真実ではないかもしれないと君が思っているすべてのものを
愛がそこで待っている限り
君の顔を光に向ければいい
今はなぜだかわからないかもしれないけれど
愛が待っていてくれる限り
ヤツらは僕らのゆく道を知らないさ

 

君に見せてあげよう 導いてあげるよ
暗闇の先に、いちばん明るい光がある
暗闇の端にある燃える光
自分たちが全然違うってことが誰もわからない場所で
暗闇と共に生きよう、ただ乗りこなすんだ

 

やあ、調子はどうだい?僕は、あなたのサンダーキャットさ
水筒にウォッカを入れるなら
いつだって水の入ったボトルを持った友人がいることを確かめるんだ

                      (拙訳)

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 サンダーキャットの本名はステファン・リー・ブルーナーといいます。

 LA出身で音楽家一家に育ったため幼い頃からベースを弾き始め、弟でドラマーのロナルドと一緒に、LAのスラッシュ/ハードコア・バンド、スイサイダル・テンデンシーズのメンバーとして活動を始めます(2002年から2011年まで)。

 

↓彼はこの曲のベースラインを懸命に練習したそうです。ライヴで間違うとビールを投げつけられたそうですから必死だったんでしょうね。


Suicidal Tendencies - Possessed To Skate (2010)

 

 昨日このブログに登場したオーレ・ブールードもそうでしたが、ジャズやファンク、フュージョンに影響されたアーティストがけっこう長い期間、過激なロックバンドでもプレイしていたというのは興味深いことですよね。

 

 彼はバンドと並行しながら、スタジオミュージシャンとしても活動し、エリカ・バドゥのアルバム、そしてケンドリック・ラマーの「To Pimp a Butterfly」に参加し一躍脚光を浴びます。


These Walls ft. Anna Wise, Bilal, Thundercat - Kendrick Lamar (To Pimp a Butterfly)

 

  2011年からはソロ活動をスタートさせ、2017年のアルバム「DRUNK」は世界的に高い評価を得ました。

 今日ピックアップしたのはその「DRUNK」に収録されていた曲で、アメリカ西海岸を代表する、そしてAORを代表するアーティスト、ケニー・ロギンスマイケル・マクドナルドとの共演が話題を呼びました。

 

 この二人の共作といえばやはり「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」ですね。

www.youtube.com

 彼はラジオ番組のインタビューで”どこかの島に取り残されるとしたら誰とがいいか?”という質問されたときに、この二人の名前を瞬時にあげたほど、超リスペクトしているのだそうです。

  曲作りでも、歌い方でも大きな影響を受けているとも彼は語っています。

 

 そして、自分のバンドのピアニストを介してケニーとやりとりするようになり、次にケニーがマイケルを連れてくるという展開になりました。(マイケルのインタビューによると、ケニーの息子がサンダーキャットの大ファンで彼がインタビューでケニーとマイケルのファンだと語っているのを知って、父親に共演するよう勧めたようです)

 ケニーとマイケルも相当長い間共作はしていなかったので、大変貴重なセッションになりました。

 彼が好きなケニーの曲の一つが「Heart To Heart」。これも、ケニーとマイケルの共作(デヴィッド・フォスターも)です。


Kenny Loggins - Heart To Heart (Official Music Video)

 

 当時、こういうソフトな音楽は、尖ったハードな音楽を好む人からは完全に拒絶されていましたよね。最先端のセンスを持ったアーティストが、ケニー・ロギンスマイケル・マクドナルドがいいなんて発言することは昔だったら決してありませんでした。かえって、商売に魂を売った音楽、みたいな偏見までもたれて(こういう音楽が好きだった僕はちょっと肩身が狭かったです。。。)。

 

 でも、今の時代の”オタク”たちは、そんなかつての”狭量な偏見の壁”には一瞥もせずにやすやすと飛び越えて自由なセンスで音楽を作っています。そして、そういった偏見なしに過去の音楽を再検証してくれる若い世代の動きは僕にはとても心強く思えたりします。

 

 彼はかつてインタビューで、今後の自分の方向性についてこう語っています。

 

”レガシーな音楽と新しい音楽を上手く一緒にすることなのかな”

 

 そしてこうも言っています。

 

”音楽って深いところまで旅することができるんだぜ”

                 (the fashion post interview)

 

 サブスクで容易くアクセスできるレガシー(音楽遺産)で、いかに深い旅を楽しめるか、そこから自分なりの作品を作れるか

 それがこれからの時代の音楽クリエイター、音楽リスナーに課せられたテーマなのかもしれないなあ、と思います。 

 

 

 

Show You The Way

 

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