まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「帰ってほしいの(I Want You Back)」ジャクソン5(1970)

 おはようございます。

  今日は、まだ11歳だったマイケル・ジャクソンが鮮烈なデビューを飾った曲。今の若い人たちはTWICEの曲だと思っているかもしれませんが、歌う人を問わない猛烈な魅力を持ったポップ・チューンだということなのでしょう。


I Want You Back - The Jackson 5

 ジャクソン5は9人兄弟姉妹がいるうちの長男、次男、三男、四男、そして五男のマイケルの5人で構成されたグループです。

 音楽で儲けるという野望を果たせなかった父親に夢を託された兄弟は幼い頃からレッスンを始め、マイケルは5歳くらいから人前でパフォーマンスしていたそうです。

 そして彼らはモータウン・レーベルのオーディションに合格してチャンスをつかんだのですが、デビューするまで1年待たされたそうです。

 モータウンミシガン州デトロイトのローカル・レーベルでいながら、スティービー・ワンダーマーヴィン・ゲイなどたくさんのスターを生み出していたのですが、ヒット曲の多くを手がけていた作家チーム(ホランド-ドジャー-ホランド)が金銭のトラブルで辞めたりと、内紛があったのです。

   そこで、モータウンのオーナー、ベリー・ゴーディデトロイトからLAに拠点を移す決断をします。

 1960年代のポップス・ヒットの多くが作られたLAは音楽ビジネスの中心地になっていたのです。

 ジャクソン5のデビューはちょうどその移行期にあたり、この「帰ってほしいの」はLA録音、B面の「Who's Loving You」はデトロイト録音になっています。

 

 LA録音のポップス・ヒットを数多く演奏した”レッキング・クルー”の一人であるギタリスト、ドン・ピークはモータウンがLAに来て声をかけられた最初の録音が「帰ってほしいの」だったと言っています。イントロ出だしのギターはドンで、途中加わってくるギターはデヴィッドTウォーカーなのだそうです。

 

 モータウンサウンドというと、デトロイトの地元ミュージシャン・チーム”ファンク・ブラザース”が演奏していたことは知られていますが、ジャクソン5から”レッキング・クルー”が参加し始めたということは、意外に重要なことじゃなかったでしょうか。

 「帰ってほしいの」がデトロイト録音だったら、少なくともあのイントロは生まれてなかったのは間違いないわけですし。

 

 この曲を書いたのは、”ザ・コーポレーション”と名乗る覆面チーム。実はモータウンの社長ゴーディにディーク・リチャーズ、フォンス・マイゼル(ミゼル)、フレディ・ペインの4人だったそうです。

 ディークはスプリームスの「ラヴ・チャイルド」を書いた実績がある人ですが、フレディとフォンスは若手有望株という感じだったでしょうか。のちにフレディはグロリア・ゲイナー「恋のサバイバル」を、フォンスは弟のラリーとともに、スカイ・ハイ・プロダクション名義でテイスト・オブ・ハニーの「今夜はブギ・ウギ・ウギ」を手がけて、ディスコ・ブーム時に大ブレイクする人ですので、ゴーディは才能を見抜く力があったのでしょう。

popups.hatenablog.com

 かつてのモータウンを知る作家一人に、有能な若手2人、そしてまとめ役として自分が入る、という陣容もよく考えられています。

 今までの要素を残しながら、新しいテイストを取り入れ、かつ”ヒットの勘”を持つ自分が着地点を見つける。

 主力作家に辞められた後ですから、社長のゴーディも相当な本気モードだったということでしょう。絶対に売らなければならない、という執念があったのです。

 

 こういう軽快で楽しい曲ほど、実は気楽に簡単に作っていない、といういい見本でもあるんでしょうね。

 

 たくさんカバーがありますが、日本のものを2つピックアップしました。

 まずは、ノーナ・リーヴス以前このブログに登場した「透明ガール」のカップリングにジャクソン5メドレーが入っています。

popups.hatenablog.com


ジャクソン・ファイヴ・メドレー(帰ってほしいの/ABC/小さな経験)LIVE

 

 そして、日本のマイケル・ジャクソン(?)三浦大知が在籍したFolderのヴァージョン。


Folder-I WANT YOU BACK

 

帰ってほしいの

帰ってほしいの

 

 

I WANT YOU BACK

I WANT YOU BACK

  • アーティスト:Folder
  • 発売日: 1999/08/25
  • メディア: CD