まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「帰ってほしいの(I Want You Back)」ジャクソン5(1970)

 おはようございます。

  今日は、まだ11歳だったマイケル・ジャクソンが鮮烈なデビューを飾った、ジャクソン5の「帰ってほしいの」です。


I Want You Back - The Jackson 5

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When I had you to myself, I didn't want you around
Those pretty faces always made you stand out in a crowd
But someone picked you from the bunch, one glance was all it took
Now it's much too late for me to take a second look


Oh, baby, give me one more chance (To show you that I love you)
Won't you please let me (Back in your heart)
Oh, darlin', I was blind to let you go (Let you go, baby)
But now since I see you in his arms (I want you back)


Yes, I do now (I want you back)
Ooh, ooh, baby (I want you back)
Yeah, yeah, yeah, yeah (I want you back)
Na, na, na, na


Tryin' to live without your love is one long sleepless night
Let me show you, girl, that I know wrong from right
Every street you walk on I leave tear stains on the ground
Following the girl I didn't even want around
Let me tell you now

 

Oh, baby, all I need is one more chance (To show you that I love you)
Won't you please let me (Back in your heart)
Oh, darlin', I was blind to let you go (Let you go, baby)
But now since I see you in his arms, uh-huh

 

Oh, just one more chance
To show you that I love you
Baby! Baby!
Baby! Baby!
Baby! Baby!
I want you back


Forget what happened then
I want you back


Let me live again

 

Oh baby, I was blind to let you go
But now since I see you in his arms
I want you back


Spare me of this 'cause


Gimme back what I lost


Oh baby I need one more chance ha
I tell ya that I love you
(Baby!) Oh! (Baby!) Oh! (Baby!) Oh!
I want you back!


Forget what happened then


I want you back!


And let me live again


Oh, I want you back! 

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君が僕のものだった時は、そばにいて欲しくなかった
そのかわいい顔はいつだってたくさんの人の中で目立っていた
だけど、誰かがその中から君を選んだ、瞬きしてる間に
君の姿を探しても、もう遅すぎるのさ


おおベイビー、 もう一度チャンスをくれないか(どれだけ愛しているかを教えたい)
どうかお願いさ、僕を(君の心に戻してくれないか)?
おおダーリン 僕は何も見えてなかったのさ (君を手放すなんて).
だけど、今彼の腕の中にいる君を見ていると、(君に帰ってきてほしいんだ)。


そうなんだ (戻ってきて).
ああ、ベイビー (帰ってきて)
そう、そう、そう(戻ってきて)

 

あなたの愛なしで生きようとすれば、長くて眠れない夜になる
君に伝えさせてほしい、ガール、正しいことから間違いを知ったことを
君が歩く道すべてに僕の涙の跡があるんだ
そばにいてほしいとさえ思わなかった女の子を追いかけているんだ
今すぐ教えてあげよう

 

おおベイビー、 もう一度チャンスをくれないか(どれだけ愛しているかを教えたい)
どうかお願いさ、僕を(君の心に戻してくれないか)?
おおダーリン 僕は何も見えてなかったのさ (君を手放すなんて).
だけど、今彼の腕の中にいる君を見ていると、

 

ああ、たった一度でも
愛していることを君に伝えるチャンスが欲しい
ベイビー!ベイビー!
ベイビー!ベイビー!
ベイビー!ベイビー!
君に戻ってきてほしい


あの頃のことは忘れて
戻ってきてほしい

もう一度、生き返らせて

 

ああ、ベイビー、君を手放すなんてバカだった
だけど、今、彼の腕の中にいる君を見ていると
戻ってきてほしいのさ


許してほしい

僕が失くしたものを返して


おおベイビー、もう一度チャンスが欲しいのさ
愛しているって伝えたい
(ベイビー!)おお!(ベイビー!)ああ!
帰ってきて
戻ってきてほしい


あのときのことは忘れて


戻ってきてほしい!


そして、もう一度生きかえらせて


帰ってきてほしい!

             (拙訳)

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 ジャクソン5は9人兄弟姉妹がいるうちの長男、次男、三男、四男、そして五男のマイケルの5人で構成されたグループです。

 音楽で儲けるという野望を果たせなかった父親に夢を託された兄弟は、幼い頃からレッスンを始め、マイケルは5歳くらいから人前でパフォーマンスしていたそうです。

 そして彼らはモータウン・レーベルのオーディションに合格してチャンスをつかんだわけですが、デビューするまで1年待たされたそうです。

 

 モータウンミシガン州デトロイトのローカル・レーベルでいながら、スティービー・ワンダースプリームスマーヴィン・ゲイなどたくさんのスターを生み出していたのですが、当時モータウンのヒット曲の多くを手がけていた作家チーム(ホランド-ドジャー-ホランド)が金銭のトラブルで辞めたりと、内紛があったのです。

   そういったこともあって、モータウンのオーナー、ベリー・ゴーディデトロイトからLAに拠点を移す決断をします。

 1960年代のポップス・ヒットの多くが作られたLAは音楽ビジネスの中心地になっていたのです。

 ジャクソン5のデビューはちょうどその移行期にあたり、この「帰ってほしいの」はLA録音、B面の「Who's Loving You」はデトロイト録音になっています。

 

 LA録音のポップス・ヒットを数多く演奏した”レッキング・クルー”の一人であるギタリスト、ドン・ピークはモータウンがLAに来て声をかけられた最初の録音が「帰ってほしいの」だったと言っています。イントロ出だしのギターはドンで、途中加わってくるギターはデヴィッド・T・ウォーカーだったそうです。

 

 モータウンサウンドというと、デトロイトの地元ミュージシャン・チーム”ファンク・ブラザース”が演奏していたことは知られていますが、ジャクソン5から”レッキング・クルー”が参加し始めたということは、意外に重要なことじゃなかったでしょうか。

 「帰ってほしいの」がデトロイト録音だったら、少なくともあのイントロは生まれてなかったのは間違いないわけですし。

 

 この曲を書いたのは、”ザ・コーポレーション”と名乗る覆面チーム。実はモータウンの社長ゴーディにディーク・リチャーズ、フォンス・マイゼル(ミゼル)、フレディ・ペインの4人だったそうです。

 ディークはスプリームスの「ラヴ・チャイルド」を書いた実績がある人ですが、フレディとフォンスは若手有望株という感じだったでしょうか。この後にフレディはグロリア・ゲイナー「恋のサバイバル」を、フォンスは弟のラリーとともに、スカイ・ハイ・プロダクション名義でテイスト・オブ・ハニーの「今夜はブギ・ウギ・ウギ」を手がけて、ディスコ・ブーム時に大ブレイクする人ですので、ゴーディは才能を見抜く力もあったのでしょう。


 "Songfacts"というサイトではこの曲についてこんな記述がありました。

 

「『帰ってほしいの』はフレディ・ペレン、フォンセ・マイゼル、ディーク・リチャーズがグラディス・ナイト&ザ・ピップスのために書いた "I Want To Be Free "という曲から始まった。ペレンとミゼルはニュージャージー出身の幼なじみで、ロサンゼルスに移り住み、モータウンのプロデューサーであるディーク・リチャーズとチームを組んだ。この曲を聴いたベリー・ゴーディーは、書き直せばジャクソン5に合うと判断した」

 もともとグラディス・ナイト&ザ・ピップスに書いた曲を、ジャクソン5向けに書き直したものだったんですね。

 

 

  この「帰ってほしいの」は全米1位の大ヒットになり、続くシングル「ABC」「小さな経験(The Love You Save)」「アイル・ビー・ゼア(I'll Be There)」とデビューから4作連続全米1位という記録を彼らは打ち立てます。

 

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 たくさんカバーがありますが、日本と韓国のものを計3つピックアップしました。

 まずは、ノーナ・リーヴス以前このブログに登場した「透明ガール」のカップリングにジャクソン5メドレーが入っています。


ジャクソン・ファイヴ・メドレー(帰ってほしいの/ABC/小さな経験)LIVE

 

 そして、日本のマイケル・ジャクソン(?)三浦大知が在籍したFolderのヴァージョン。


Folder-I WANT YOU BACK

 そして最近ではこれが有名ですね。TWICEのカバー。

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