まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「シェイプ・オブ・ユー(Shape of You)」エド・シーラン(2017)

 おはようございます。

 今日はエド・シーランの代表曲であり、2017年の世界最大のヒットとなった「シェイプ・オブ・ユー」です。


Ed Sheeran - Shape of You [Official Video]

A club isn't the best place to find a lover
So the bar is where I go (Mm)
Me and my friends at the table doin' shots
Drinkin' fast and then we talk slow (Mm)
And you come over and start up a conversation with just me
And trust me, I'll give it a chance now (Mm)
Take my hand, stop, put Van the Man on the jukebox
And then we start to dance and now I'm singin' like


Girl, you know I want your love
Your love was handmade for somebody like me
Well, come on now, follow my lead
I may be crazy, don't mind me
Say, "Boy, let's not talk too much"
Grab on my waist and put that body on me
Well, come on now, follow my lead
Come, come on now, follow my lead, mm

 

I'm in love with the shape of you
We push and pull like a magnet do
Although my heart is fallin' too
I'm in love with your body
And last night, you were in my room
And now my bed sheets smell like you
Every day, discoverin' somethin' brand new
Well, I'm in love with your body


Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Every day, discoverin' somethin' brand new
I'm in love with the shape of you


One week in, we let the story begin
We're goin' out on our first date 
You and me are thrifty, so go all-you-can-eat
Fill up your bag and I fill up a plate 
We talk for hours and hours about the sweet and the sour
And how your family is doin' okay 
And leave and get in a taxi, and kiss in the backseat
Tell the driver make the radio play and I'm singin' like


Girl, you know I want your love
Your love was handmade for somebody like me
Well, come on now, follow my lead
I may be crazy, don't mind me
Say, "Boy, let's not talk too much"
Grab on my waist and put that body on me
Well, come on now, follow my lead
Come, come on now, follow my lead


I'm in love with the shape of you
We push and pull like a magnet do
Although my heart is fallin' too
I'm in love with your body
And last night, you were in my room
And now my bed sheets smell like you
Every day, discoverin' somethin' brand new
Well, I'm in love with your body


Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Oh, I, oh, I, oh, I, oh, I
Well, I'm in love with your body
Every day, discoverin' somethin' brand new
I'm in love with the shape of you

 

Come on, be my baby, come on、、、、


I'm in love with the shape of you
We push and pull like a magnet do
Although my heart is fallin' too
I'm in love with your body
And last night, you were in my room
And now my bed sheets smell like you
Every day, discoverin' somethin' brand new
 I'm in love with your body


Come on, be my baby, come on
Come on, be my baby, come on
I'm in love with your body、、、

Every day, discoverin' somethin' brand new

I'm in love with the shape of you

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クラブは恋人を探すのに最適な場所じゃない
だから、僕はバーに行くんだ
テーブルで僕と仲間たちはショットで飲む
素早く飲んで、だらだらしゃべる 
そして、君が来て、僕だけと会話を始める
そして、間違いない、その気になってきた 
僕の手をとって, 立ち止まり, ジューク・ボックスで「Van the Man」をかける
そして、僕たちは踊り始め、今、僕はこんな風に歌っている

 

ガール、わかるよね、僕は君の愛が欲しいんだ
君の愛は、僕みたいな人間のために作られたものさ
さあ、さあ、僕のリードについてきて
僕は狂っているかもしれない、気にしないでください。
"坊や、あまりしゃべらないようにしようね "と言ってみる
僕の腰を掴んで、その体を僕の上に乗せて
さあ、僕のリードについてきて
さあ、僕にまかせて

 

君の姿かたちに恋している
僕たちは押したり引いたり、磁石みたい
僕の心も恋しているけど
君の体に恋しているんだ
そして昨夜、君は僕の部屋にいた
そして今、僕のベッドシーツはあなたの匂いがする
毎日、何か新しい発見がある。
ああ、僕は君の体に恋しているんだ

 

ああ、僕は君の体に恋してる
ああ、僕は君の体に恋しています
ああ、僕は君の体に恋しています
毎日、何か新しい発見がある
君の姿かたちに恋しているんだ

 

1週間のうちに僕らは物語を始めた
僕たちは初めてのデートに出かける
君も僕も倹約家、だから食べ放題に行こう
k君はバッグをいっぱいにして、僕は皿を大盛りにする
甘酸っぱいものについて、何時間でも語り合う
そして、あなたの家族は大丈夫ですか?
そして帰り、タクシーに乗り、バックシートでキスする
ドライバーにラジオをつけさせると、僕はこう歌う

 

ガール、わかるよね、僕は君の愛が欲しいんだ
君の愛は、僕みたいな人間のために作られたものさ
さあ、さあ、僕のリードについてきて
僕は狂っているかもしれない、気にしないでください。
"坊や、あまりしゃべらないようにしようね "と言ってみる
僕の腰を掴んで、その体を僕の上に乗せて
さあ、僕のリードについてきて
さあ、僕にまかせて

 

君の姿かたちに恋している
僕たちは押したり引いたり、磁石みたい
僕の心も恋しているけど
君の体に恋しているんだ
そして昨夜、君は僕の部屋にいた
そして今、僕のベッドシーツはあなたの匂いがする
毎日、何か新しい発見がある。
ああ、僕は君の体に恋しているんだ

 

ああ、僕は君の体に恋してる
ああ、僕は君の体に恋しています
ああ、僕は君の体に恋しています
毎日、何か新しい発見がある
君の姿かたちに恋しているんだ

 

さあ、僕のものになって、さあ、、、

 

君の姿かたちに恋している
僕たちは押したり引いたり、磁石みたい
僕の心も恋しているけど
君の体に恋しているんだ
そして昨夜、君は僕の部屋にいた
そして今、僕のベッドシーツはあなたの匂いがする
毎日、何か新しい発見がある。
ああ、僕は君の体に恋しているんだ

 

毎日、何か新しい発見がある。
ああ、僕は君の姿かたちに恋しているんだ

                        (拙訳)

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 エド・シーランは、クラブ・ミュージックやHIPHOPのクリエイターと積極的にコラボしていますが、彼自身はギター弾き語りのオーソドックスなスタイルのシンガー・ソングライターです。自分でも”アコースティックな”人間だと自己評価しています。

  実はポール・サイモンにも繋がるような、センスと叙情性を併せ持つ才能なんじゃないかと僕は思っています。

 そんな彼が、これほど大きくブレイクしたのは、自分の世界の中に閉じこもって完結せず、オープンな姿勢で創作し続けているということも、大きな要因じゃないでしょうか。

 

 この「Shape of You」が収録された「➗(DIVIDE)」というアルバムの制作時の彼を追った「ソングライター」という映画があって、なかなか興味深い内容でした。

 

 彼は自分が得意ではないトラック・メイキングをするクリエイターだけじゃなく、自分と同じようにギターを弾きながら曲を作る他のソングライターたちとも積極的に共作しているのです。

 曲作りのウェイトは圧倒的に彼が大きいと思うのですが、曲を少しでも良くするようなアイディアや何らかの化学反応を求めるのと同時に、常に客観的な視点を彼は取り入れようとしているのだと僕は感じました。

 

 それから、この映画の中で、彼は自分の母校に行って生徒たちに”ソングライティング”について語る場面があって、とても面白いものでした。

 彼はこんなことを語っていました。

 

「古い家の水道の蛇口をひねると、汚水が出てくる。泥や粘土やらいろんなものが混じって、それが10分くらい続く。でもそれもだんだん減ってきて、最後はきれいになる。

 僕が初めの頃に書いていた歌も、蛇口から出てくる汚水のようにひどいものだった。それでも、毎日2〜3曲作り続けてゆくと、良い曲が出てくるようになる。

 もしひどい曲だと思っても最後まで書き上げて、悪いものを出し切ったほうがいい。そうしないと次に書く作品に悪い影響が出てしまう。

 君たちは水の流れのようなものだ。

 たとえひどい曲でも書き続けて汚れを出し切ったほうがいい。そうすれば5年後にはそれまでで最高の曲ができるはずだ」

 

 書き続けることで”上手になる”というのはわかりますが、”汚れを出し切る”という視点には少し驚きますが、深くうなずけるものがあります。

 若い人が曲をはじめて書き始めるとき、たいていは自分の”不平不満”や”自己満足”を吐き出すことで終始してしまいます。しかし、ひたすら作る続けることで、そういう”汚れ”はやがて薄らぎ、淘汰されて、本当に自分にとって切実なものだけが残り、それは同時に他の人たちと深層で共鳴できるものであり、すなわちそれは曲にするに値すべきものだ、ということなんじゃないかと僕は思います。

 

 また、この映画の最後の方で彼は「アデルくらいビッグになってやろうって思わないヤツは、この音楽業界では負けだ」と言い切っていて、ソングライティングに関してあれほど純粋な哲学を持ちながらも、同時に相当タフな野心を持っている人、なのだと気付かされます。だからこそ、彼は成功しているのでしょう。

 

 さて、この「Shape of You」はアルバムがほぼ出来上がったときに、レーベルから売れるシングルが欲しいという要望を受けて仕上げたものだったようです。

 

 もとは、エドとスティーヴ・マックとスノウ・パトロールというバンドのメンバー、ジョニー・マクデイドの三人で他のアーティストに提供するものとして共作したものでした。

 提供する相手は最初はリトル・ミックス、それから曲を作るうちにリアーナが合っているんじゃないかという話になったそうです。

   曲作りは、スティーヴの作った、あの印象的なキーボードのリフからはじまったそうです。そして、そこにリズム要素を加えてゆくという、いわゆるR&B的なソングライティング手法です。

 そして、三人の誰もこの曲にのめり込むことなかったようで、ただ淡々と作業をし、同じ日に他にもう2曲作ったそうです。

 結局、リアーナが歌わなそうな歌詞がついたことや、レーベルサイドがこの曲を気に入ったことなどもあって、この曲はアルバムに入れることになり、シングル候補になります。

 曲の構造は、一つのパターンを反復するだけのシンプルなものなので、それを単調に聴こえないように、アレンジやミックスには苦労したようです。オリジナルとは別の新しいヴァージョンも作ったようですが、オリジナルをやり直すことを選んで試行錯誤するエドの姿を映画「ソングライター」で見ることができます。

 

 ともかく、エド・シーラン最大のヒット曲は、もともと自分が歌うつもりじゃなく女性シンガー向けで、かつ本来はギターを弾きながらメロディ先行で作ることの多い彼が、リフ先行でトラックにのせて曲を考えるというHIP-HOPやR&Bの制作スタイルで作ったものだったわけです。

 

 本当に何が当たるのかわからないのが、音楽の世界なんですね。

 しかし、彼のオープンな創作姿勢と、自分が一番売れてやるという野心がなければ間違いなくこの曲はできなかったと思います。

 

   ちなみに、この曲のサビのメロディーの一部がTLCのヒット曲「No Scrubs」に近いということで、「No Scrubs」の作者も共作者としてクレジットされています。


TLC - No Scrubs

 ほんの2小節程度のメロディーの動き方が似ているだけですが、R&Bっぽいループするビートと伴って伝わる印象から、盗作騒ぎになるのを事前に防ごうという危機管理なんでしょうね。

 ロビン・シックの「ブラード・ライン」がマーヴィン・ゲイの「黒い夜」の盗作だと訴えられて敗訴したというのが、かなり大きかったんじゃないでしょうか。 

 

 それにしても「No Scrab」を書いた三人は、ものすごい額の”棚ぼた印税”が入ったはずです。

 うち二人は、1990年代に活躍したXscapeエスケイプ)というグループのメンバーで、彼女たちは2017年にリユニオンしているので、”Shape of You"景気が後押ししたんじゃないかって、僕は一人で勘ぐっていますけど、、(ちなみにXscapeは、僕がレコード会社時代に担当したアーティストです)。

 

 

 

 

 

 

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