まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「黒い夜<パート1>(Got To Give It Up)」マーヴィン・ゲイ(1977)

おはようございます。

今日はマーヴィン・ゲイの「黒い夜<パート1>」。

年末らしくパーティ・ソングで。

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I used to go out to parties
And stand around
Cause I was too nervous
To really get down
But my body yearned to be free
I got up on the floor and thought
"Somebody could choose me"
No more standin' there beside the walls
I done got myself together, baby
And now I'm havin' a ball
As long as you're groovin'
There's always a chance
Somebody watchin'
Might wanna make romance


Move your body, baby, and dance all night
To the groove and feel alright
Everybody's groovin' on like a fool
But if you see me  let me in
Baby just party high and low
Let me step into your erotic zone

 

Move it up
Turn it 'round
Shake it down
Oooww!!

 

You can love me when you want to, baby
This is such a groovy party, baby
We're here face to face
Everybody's swingin'
This is such a groovy place
All the young ladies are so fine!
You're movin' your body easy with no doubts
I know what you thinkin', baby
You wanna turn me out
Think I'm gonna let you do it, babe

 

Keep on dancin', oh, baby
You got to get it
Got to give it up
Keep on dancin' (You got to get it)
Got to give it up
Keep on dancin' (You got to get it)
Got to give it up
Keep on dancin' (You got to get it)
Got to give it up
Keep on dancin' (You got to get it)
Got to give it up
Keep on dancin' (You got to get it, oh darling)
Got to give it up

 

If you want it, baby
Got to give it up
If you want it, baby
Got to give it up
Want it, ah
Got to give it up
If you want it, baby
Got to give it up
Want it, ah
Got to give it up
If you want it, baby
I got to give it up

Dancing lady,,,

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昔はよくパーティに出かけると 突っ立っていた
なぜなら、本気で楽しむには
僕はナーヴァスになりすぎてたんだ
だけど、僕の体は解放されることを強く望んでた
フロアに立って、考えてみた
"誰かが僕を選ぶかもしれないじゃないか"
もう、壁のそばで立ち尽くすことはないさ
僕は自分を取り戻したんだ
そして今、楽しんでいる


君が楽しんでいる限り
いつだってチャンスはある
誰かが見ているよ
たぶんロマンスしたいのかも

 

体を動かして、ベイビー、朝まで踊ろう
グルーヴに乗って、最高の気分さ
みんなバカみたいにノッている
でも、僕を見たら、受け入れて
ベイビー、いたるところでパーティしよう
君のエロティックゾーンに踏み込ませてほしい

 

もっとノッて ターンして 体を揺らして

 

好きな時に僕を愛していいんだ、ベイビー
これはそれだけグルーヴィーなパーティーさ、ベイビー
僕たちはここにいる、見つめあって
みんなスィングしている
ここはそれだけグルーヴィーな場所
若い女の子たちはみんな最高
迷うことなく、気ままに体を動かしている
君が何を考えているかわかるよ、ベイビー
僕をその気にさせたいんだろ
そうさせてあげるよ、ベイビー

 

踊り続けるんだ ベイビー

自分のものにしなきゃ

僕のものにならなくちゃ、、、、、

 

もし君が望むなら

僕のものにならなくちゃ、、、、

                 (拙訳)

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 黒い夜、なんていうと、ちょっとハードボイルドとか犯罪の匂い(?)がしますが、全然そんな歌ではありません。

  

 ディスコがかなり盛り上がってきていた時代のパーティソングです。

 当時、彼はイギリスで大変人気が高く、ロイヤル・アルバート・ホールとロンドン・パラディウムのコンサートの模様を収めたライヴ・アルバム「ライヴ・アット・ザ・ロンドン・パラディウム」の制作をしていましたが、彼が所属するレーべル、モータウンからはディスコを作れとうるさく言ってきたそうで、ちょうど2枚組になるライヴアルバムのD面が空いていたので、そこを埋める曲を作ることになったそうです。

 

 このころのマーヴィン・ゲイは気が向くとピアノを弾いたりしながらジャム・セッションをして、それをエンジニアでプロデューサーのアート・スチュワートが全部録音して曲の形に編集することがよくあったらしく、アートはその方がマーヴィンの天才性のエッセンスがあると考えていました。

 この「黒い夜」もマーヴィンやミュージシャンたちが遊びながら演奏しているものを録音して、アートがまとめあげたものだったようです。

 アートはこう語っています。

 

「マーヴィンは僕がなにをやっているのか、よくわからないでいた。でも彼は僕が曲の要素をひとつひとつまとめ上げるのを勝手にやらせてくれた。1976年のクリスマスの日、何ヶ月もかかって完成させ、彼のヒドゥン・ヒルズの家に飛んで行った。彼は気に入ったが、でも、確信を持てなかったんだ。マーヴィンのいつものリアクションだ。だがすぐに、みんなこれを気に入ってくれて、1977年にリリースされ他時、ソウル、ポッップ療法で1位になったんだ」

       (「マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル」)

 

 結局、この「黒い夜」が彼にとって最後の全米NO.1ヒットになりました。

 

    2001年飛行機の墜落事故で22歳の若さで亡くなってしまった、1990年代を代表するR&Bの歌姫アリーヤもこの曲をカバーしていました。

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   それから、なんと小沢健二もカバーしています。マーヴィン のトリビュートアルバムの日本盤に収録されていました。

 


Got To Give It Up/小沢健二

 

 また、近年この曲が大きく注目されたのは”盗作訴訟”がきっかけでした。

 

    2013年にアメリカ、イギルス他25カ国以上で1位になり、全世界で1480万枚以上売れたと言われるロビン・シックの超大ヒット曲「ブラード・ラインズ(Blurred Lines)」が「黒い夜」の盗作だとして、マーヴィンの遺族に訴えられたのです。


Robin Thicke - Blurred Lines ft. T.I., Pharrell (Official Music Video)

 ロビンが、ファレル・ウィリアムスとスタジオに入って「黒い夜」みたいなノリの曲を作ろうと言ったという趣旨の発言を雑誌のインタビューでしていたことが決定的だったようで、裁判でロビンとファレルに484万ドルの損害賠償の支払いが命じられたそうです。

 僕個人としては、楽曲の盗作というのはよほど安直、確信犯的なものでない限りジャッジできないものだと思います。どんな楽曲も意識、無意識を問わず、既存の曲の影響なしでは作り得ないからです。

 ちなみに、特にこのケースに関しては「セーフ」だと僕は思います。全体のグルーヴの”ムード”以外は、似ていない。これが盗作だとされると、うかうか曲なんて作れなくなるんじゃないでしょうか。それに、単に「黒い夜」の真似だけだったらこれほどの特大ヒットにはなっていないはずです。強いオリジナリティがちゃんとあったわけです。

 でも、この曲があまりに売れすぎて、マーヴィンの遺族も看過できなかったんでしょうね。最初に確認しておくとか、いっそ少しサンプリングして最初から共作扱いにすればよかったのかもしれないですけどね。でも、ロビン・シック側もこんなに売れるとは夢にも思わなかったはずです。

 でも、視点を変えれば、似たサウンドの多かったディスコ時代の曲の中で、裁判で本家であると堂々と主張できるほど、マーヴィンの作ったサウンドのオリジナリティは際立っているということも言えます。

 

 この曲はもともとは「ダンシング・レディ」というタイトルで着想されたそうです。1976年にジョニー・テイラーの「ディスコ・レディ」という曲がむちゃくちゃヒットしていて、マーヴィンはそれを意識したと言われています。

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 ディスコと一口で言っても、1970年代中ごろと後半ではビートの速さが結構違います。マーヴィンだったら本来「ディスコ・レディ」くらいのテンポのほうが似合いそうですが、「黒い夜」ではテンポを早くした、これが大きな勝因のひとつだったと思います。

 ちなみにその「黒い夜」をさらにアップデートしたのがマイケル・ジャクソンの「今夜はドント・ストップ」です。

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 正確に言えば、「今夜はドント・ストップ」の雛形になったジャクソンズの「Shake Your Body」という曲が「黒い夜」にインスパイアされているわけですが。

 

ジャクソンズ「Shake Your Body」(1978)

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 ともかく、「ディスコ・レディ」〜「黒い夜」〜「今夜はドント・ストップ」というアップデートの流れを、追って聴き通すことで、ディスコのグルーヴの進化、テンポのアップの仕方を最短で、ダイジェストで感じることができると思います。

 

 最後にマーヴィン・ゲイの貴重なライブ、そしてジャスティン・ティンバーレイクのライブ映像を。あれ、ジャスティンが歌ってるとなんだか「ブラード・ラインズ」みたいに聴こえるような、、。

 


Marvin Gaye - LIVE Got To Give It Up 1981


Got To Give It Up - Justin Timberlake

 

 

 

 

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