まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「フィラデルフィアより愛をこめて(Could It Be I’m Falling In Love)」ザ・スピナーズ(1973)

 おはようございます。

 今日はスピナーズの「フィラデルフィアより愛をこめて」です。

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Since I met you
I've begun to feel so strange
Every time I speak your name
That's funny
You say that you are so helpless too
That you don't know what to do

Each night I pray
There will never come a day
When you up and take your love away
Say you feel the same way too
And I wonder what
It is I feel for you

(Could it be I'm falling in love)
With you, baby
(Could it be I'm falling in love)
(Could it be I'm falling in love)
With you With you With you (With you)

I don't need all those things
That used to bring me joy
You've made me such a happy boy
And honey, you'll always be
The only for me
Meeting you was my destiny

 

You can be sure
I will never let you down
When you need me
I'll be around
And darling you'll always be
The only one for me
Heaven made you specially

(Could it be I'm falling in love)
With you, baby
(Could it be I'm falling in love)
(Could it be I'm falling in love)
With you With you With you (With you)

And darling you'll always be
The only one for me
Heaven made you specially

(Could it be I'm falling in love)
With you, baby
(Could it be I'm falling in love)
I want to know now, baby
(Could it be I'm falling in love)
With you With you With you (With you)

 

I walk around with my heart in my hands, hey
I walk the street as long as I can, baby
I used to sing fa fa fa fa
But right now I feel so good, I sing la la la la
Once you get me up, won't let me down
Just let this feeling carry me on
Skip the beats with my heart girl

 

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君と出会ってから

その名前を口にするたびに

すごく不思議な感じになるんだ

ヘンだよね

君は何をしたらいいかわからなくて

自分がすごく無力だって言う

 

毎晩僕は祈るよ

君が目覚めて愛を捨て去るような日が来ないように

君も同じ気持ちだって言ってほしい

それで、僕の君へのこの感情は何だろう

 

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、ベイビー

ひょっとして、僕は恋しているの

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、君に、君に

かつて僕を楽しませてくれたものは全部

必要ないのさ

君が僕を幸せにしてくれたんだ

だからハニー、君はいつでも僕のただ一人の人

君に出会うことは運命だったんだ

 

君を絶対にがっかりさせたりしない

君が必要なときは、そばにいるよ

ダーリン、君はいつも僕にとってただ一人の人さ

天が特別に君を作ったのさ

 

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、ベイビー

ひょっとして、僕は恋しているの

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、君に、君に

 

ダーリン、君はいつも僕にとってただ一人の人さ

天が特別に君を作ったのさ

 

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、ベイビー

ひょっとして、僕は恋しているの

ひょっとして、僕は恋しているの

君に、君に、君に

 

喜びでいっぱいになって僕は歩きまわる

この通りをどこまでも歩いてゆく

前は僕は、ファファファって歌っていた

だけど今は気分がいいから ラララと歌うよ

君が気持ちをアゲてくれたから もう落ち込むことはないさ

 

ただこの気分にまかせてゆくよ

心臓を高鳴らせて              

                      (拙訳)

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 デトロイト出身で長いキャリアを持ちモータウンと契約したスピナーズは、テンプテーションズやフォートップスのようなエース級になれずに、モータウンのライバル、アトランティック・レコードに移籍し、当時勢いに乗っていたフィラデルフィアのプロデューサー、トム・ベルと作品を作ることになりました。

 

 バラードが真骨頂であったトムでしたが、仲間のパーカッショニストの挑発に乗ってスリー・コードのシンプルな曲を書いてみると、スピナーズのぴったりだと思い、”保険”としてバラード曲のB面に入れたところ、DJたちが気にって大ヒットしたのが「いつもあなたと(I'll Be Around)」でした。

 

 そして、この曲が取り入れた2拍目の4拍目を強調するリズムパターンを、トムが中心になりどんどん使われ、それがディスコの基本ビートになり、今の時代でもEDMなどで使われる鉄板パターンになっています。

 

 さて、この「フィラデルフィアより愛をこめて」は「いつもあなたと」(全米3位、R&B1位)に続くシングルで、同様の大ヒット(全米4位、R&B1位)になり、「いつもあなたと」がチャートインしなかったイギリスでも11位になりました。

 

 「いつもあなたと」で使った、2拍目と4拍目を強調し、バスドラムで1拍目と3拍目に2回、2拍目と4拍目に1回叩くという、リズムパターンが使われています。

 

 この2曲があって続けにヒットしたことで、このグルーヴが大衆に浸透して言ったんじゃないかと思います。”2曲セット”もしくは”2部作”のように、僕はとらえています。

 

 フィラデルフィア・ソウルは、スタイリスティックスやデルフォニックスのような甘いバラード系、オージェイズ、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツのような男っぽいソウル系がありましたが、ここでスピナーズのポップなダンス系というのが生まれたわけで、これがディスコへとつながっていきました。

 

 ”これは恋なのかしら?”といいった歌詞とは全く関係のない「フィラデルフィアから愛をこめて」という邦題を日本の担当者がつけたのは、当時それほどフィラデルフィアが新たな音楽の中心地として注目されていて、それを日本の洋楽ファンにも届けたい気持ちがあったからだったように、僕は推測します。

 

 この曲を書いたのは、マーヴィン&メルヴィン・スティールズという兄弟のソングライター・チームです。彼らは”Mystro & Lyric”という作家名で表記されることもあって、メルヴィンが"Mistro"、マーヴィンが"Lyric"だということです。

  大ヒットしたのはこの曲くらいですが、グロリア・ゲイナーの「ハニー・ビー」やトランプス、エクスタシー、パッション&ペインなどフィラデルフィア・ソウルのダンスものを書いています。

 

最後にこの曲のカバーを。

 

 1985年に全英チャートで5位になった、デヴィッド・グラントとジャッキー・グラハムのデュエット

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 レジーナ・ベルの1995年のアルバム「フィリー(Reachin' Back)」から。

(僕は当時国内盤の担当者でした)

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 KISSのポール・スタンレーがR&Bの名曲をカバーする新プロジェクト”ポール・スタンレーズ・ソウル・ステーション”をスタートさせ、今年(2021年)3月にアルバム『Now And Then』をリリース。その中にこの曲のカバーもありました。他も、「ウー・ベイビー・ベイビー」「はかない想い」「ララは愛の言葉」など、このブログにも登場した名曲が多数入っています。

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