おはようございます。今日はヴァン・モリソンの「エンライトメント」です。
Chop that wood, carry water
What's the sound of one hand clapping?
Enlightenment, don't know what it is
Every second, every minute
It keeps changing to something different
Enlightenment, don't know what it is
Enlightenment, don't know what it is
It says it's non attachment
Non attachment, non attachment
I'm in the here and now, and I'm meditating
And still I'm suffering, but that's my problem
Enlightenment, don't know what it is
Wake up!
Enlightenment says the world is nothing
Nothing but a dream
Everything's an illusion and nothing is real
Good or bad baby you can change it
Anyway you want you can rearrange it
Enlightenment, don't know what it is
Chop that wood and carry water
What's the sound of one hand clapping?
Enlightenment, don't know what it is
All around baby, you can see
You're making your own reality everyday because
Enlightenment, don't know what it is
One more time
Enlightenment. don't know what it is
It's up to you
Enlightenment. don't know what it is
It's up to you everyday
Enlightenment, don't know what it is
It's always up to you
Enlightenment, don't know what it is
It's up to you, the way you think
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薪を割り、水を運ぶ
片手の鳴るというのはどんな音なんだ?
悟り、それが何なのかわからない
一秒ごとに、一分ごとに
それは違う何かへと変わり続ける
悟り、それが何なのかわからない
悟り、それが何なのかわからない
それはいう、執着を捨てることだと
執着を捨てる、執着を捨てる、、、
私は”今、ここ”にいて、瞑想にふけっている
そして今も苦しんでいる、だけどそれは私自身の問題だ
悟り、それが何なのかわからない
目を覚ますんだ
悟りが言うには、この世は無だ
ただの夢に過ぎない
すべては幻想で、リアルなものないのだと
善いものか悪いものか、ベイビー、君が変えられる
好きなように作り変えることだってできる
悟り、それが何なのかわからない
薪を割り、水を運ぶ
片手の鳴るというのはどんな音なんだ?
悟り、それが何なのかわからない
まわりを見渡せば、ベイビー、わかるはずさ
君は毎日、君だけのの現実を作り上げているんだ
それは、悟りが何なのかわからないんだから
もう一度
悟り、それが何なのかわからない
それは君次第なんだ
悟り、それが何なのかわからない
毎日、君次第なんだ
悟り、それが何なのかわからない
それはいつでも君次第なんだ
悟り、それが何なのかわからない
君次第さ、君が考え方次第さ (拙訳)
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Enlightmentという言葉は、分解すると、En-(~にする)Light(光)-en(状態にする)-ment(名詞化)なので<光を当てて明るく照らし出すこと>を意味しているそうです。
古くは、<啓蒙(けいもう)>(たしか歴史の教科書で見たような、、、)や<啓発>なんていう難しい日本語が訳語に当てはめられます。、無知の状態に正しい知識や考え方を教えて知性を開かせるような意味です。
そこから仏教の<悟り>の英訳にも使われるんですね。
この歌の場合、Enlightmentは<悟り>なんですね。歌詞が完全にそうです。
What's the sound of one hand clapping?
片手の鳴るというのはどんな音なんだ?
これは完全に<禅>の話なんです。
禅の世界には、悟りを開くために師匠が弟子に与える問題、これを<公案>と呼ぶらしいのですが、この片手の鳴る音というのはその<公案>の一つで、創唱したのは日本の臨済宗中興の祖とされる白隠慧鶴(はくいんえかく)禅師です。
白隠は江戸中期の人で禅を独自のやり方で発展させ、大衆化させた人物と言われています。
片手の音声を聞けというのは、隻手(せきしゅ)の声、隻手音声(せきしゅおんじょう)とも呼ぶらしいのですが、それまで当然と思っていた思慮分別を根本から疑わせて、理屈や言葉を超えたものと対峙することが目的なんですね。
両手を叩けば音は鳴るけど、片手では鳴らないという思い込みを疑え、ということなんでしょうか。そうは言っても鳴らないものは鳴らないような、、、w。
ともかく、禅では、これまでの思考や想念や感覚を払い去って自由な感覚を得ることがし、すべての迷いから解放されることであると言っているんですね。
そんな難しい禅の<公案>をさらっと歌に入れたのが、ヴァン・モリソン。北アイルランド出身で、1993年にロックの殿堂入りを果たし、1996年に大英帝国勲章OBEを受章した、まさにロック界のレジェンドの一人です。まだ来日していないロック・アーティストの中では最高峰じゃないでしょうか。
そして、この「エンライトメント」という曲は1990年にリリースされた彼のアルバムの表題曲です。
もともとヴァン・モリソンは神秘的で精神的なものを探求するような姿勢が、キャリアの当初からありました。
初期の代表曲の一つ「Into the Mystic」(1970)
聞け、今、船乗りたちの叫び声が聞こえる
海の香りを嗅ぎ、空を感じよう
魂と精神を解き放ち、
神秘の世界へ飛び立とう
彼は特に1970年代の終わりから1990年初めくらいまでは、いわゆる”スピリチュアル”な世界観と彼らしいソウルフルな歌い回しを融合させる方向性を強く打ち出していました。
ただ、ふつうスピリチュアルな音楽というと、世俗的な生活から遠く離れて、意識が一気に宇宙へと行ってしまうようなもの(?)が多い気がしますが、彼の場合は現実生活を無骨に生きながら、そこにスピリチュアルな答えを求める、という感じがあって、僕にはその方が説得力を感じます。
この曲は、まさにそうですね。<禅>の教えを考えながら、でも俺にはわからない、わからないと、繰り返すだけです。でも、答えを求めることを諦めてもいないんですよね。
99.9%以上の人間は、望んでもきっと「悟り」には到達できないのでしょう。でもそれでいいんですよね。
現実世界で当たり前だと思われていることに疑問を持ったり、自分のつらい心としっかり向き合ったり、自分の理解できない不思議な大きな力が世界にはあることに気づいたり、そういうことをしたことがあるとないとでは、心の持ちようはずいぶんと違うものです。
この歌で彼は<悟り>はわからないと歌いながら、それは自分次第、自分の考え方の問題だと歌っていて、そこに辿り着くだけでも十分なように思います。
最後にアルバム「エンライトメント」からもう1曲、アルバムのオープニング・ナンバーでシングルにもなった「Real Real Gone」を。Real Real Goneとは”完全に打ちのめされてる / 心を奪われてる ”。恋にやられてしまった気持ちに、サム・クックやウィルソン・ピケットなどのソウル・シンガーの歌を絡めていくというニクイ構成になっている軽快な曲です。アルバムではこの曲の次に<悟り>の曲になるわけですw。

