まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「オー・ガール(Oh Girl)」シャイ・ライツ(1972)

 おはようございます。

 今日はシャイ・ライツの「オー・ガール」です。

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Oh, girl
I'd be in trouble if you left me now
'Cause I don't know where to look for love
I just don't know how

Oh, girl
How I depend on you
To give me love when I need it
Right on time you would always be

All my friends call me a fool
They say, "Let the woman take care of you"
So I try to be hip and think like the crowd
But even the crowd can't help me now

Oh, girl
Tell me what am I gonna do
I know I've got a guilty face
Girl, I feel so out of place

Don't know where to go, who to see

Oh, girl
I guess I better go
I can save myself a lot of useless tears
Girl, I've gotta get away from here

Oh, girl
Pain will double if you leave me now
'Cause I don't know where to look for love
And I don't, I don't know how

Oh, girl
Why do I love you so
Better be on my way, I can't stay

Have you ever seen such a helpless man

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オー、ガール

今君がいなくなったら 僕は大変なことになってしまうよ

どこに愛を探したらいいかわからないから

ただ、どうしたらいいかわからないんだ

 

オー、ガール

なんて僕は君に頼りっぱなしなんだろう

僕が必要な時に 愛をくれて

その時に君はいつもいてくれるんだ

 

友達はみんな 僕をバカだと言う

こういうのさ、その女性に面倒を見てもらいなよって

だから僕は今風になろうとして 

みんなと同じように考えようとするけど

だけど、みんなは僕を助けることはできないんだ

 

オー、ガール

僕はどうしたらいいんだろう?

罪悪感のある顔をしているのはわかってる

ガール、どこにも居場所がないように思えてしまうんだ


どこに行けばいいのか、誰に会えばいいのか

わからないんだ

オー、ガール

僕は行ったほうがいいんだね

無駄にたくさん涙を流さなくてもすむし

ガール、ここから出て行かなくちゃ

オー、ガール

今君がいなくなったら、痛みは倍になるよ
どこに愛を探せばいいのかわからないから

わからないんだ、どうしたらいいのか

オー、ガール

どうしてこんなに君を愛しているんだろう
行ったほうがいいね、もういられない

こんなに哀れな男を君は見たことあるかい       (拙訳)
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  シャイ・ライツは1950年代後半にシカゴの高校生が結成したグループがもとになっています。オリジナル・メンバーは、リード・シンガーのユージン・レコード、ロバート・"リス"・レスター、クラレンス・ジョンソン、バート・ボーエン、エディ・リードの5人でした。そして、ボーウェンが脱退し、マーシャル・トンプソンが後任として加入。1960年にリードが亡くなると、マーシャルが同じグループにいたことのあるクリーデル”レッド”ジョーンズを連れてきました。

 

 当初は”ハイ・ライツ(Hi-Lites)”と名乗っていましたが、すでに同名のグループがいることがわかり、彼らの本拠地Chicagoにちなんで”Chi-Lites”とあらため、”マーシャル&シャイライツ”としてリスタートさせました。後任で入ったマーシャルがリーダー的存在になっていたんですね。

 そして、クラレンス・ジョンソンが脱退し4人組になったタイミングで、グループ名を

シャイ・ライツ”にしたそうです。

 

 1964年から彼らはシングルをリリースし始めますが、初めてチャート入りしたのが5年後の1969年、彼らが”ブランズウィック”というレーベルと契約してからでした。

 

 ブランズウィックはもとはアイオワ州にあった会社のレーベルで、1916年に会社が蓄音機を発売した後にレコードをリリースし始めたという、とても長い歴史があります。

 拠点をシカゴに移してからまずジャズの作品をリリースしていき、その後だんだんとR&Bに特化していくようになりました。

 そして、ジャッキー・ウィルソンという当時のR&Bのスーパー・スターのレコードで大当たりをとります。

 そして、1960年代半ばにカール・デイヴィスというプロデューサーが参加し、彼らを手がけたことで、潮目が変わったのです。

 

 彼らのブランズウィック初期の曲で今一番有名なのはこのこれでしょう。当時(1970年)は全米72位、R&Bチャート8位というまあまあのヒットでしたが、のちにビヨンセがサンプリングしたことで、特にこのイントロは世界中で有名になりました。「Are You My Woman? (Tell Me So)」。


The Chi-Lites - Are You My Woman (Tell Me So)

 

 そして、1971年に「Have You Seen Her(恋は冷たく)」が全米3位の大ヒットになります。


Have You Seen Her

  そして、その次のシングルがこの「オー・ガール」で一気に彼らのピークが訪れたわけです。

  彼らのほとんどのヒット・レコードを書いたのがリード・ヴォーカルのユージン・ワイルドで、「オー・ガール」も彼の作品です。しかし、この曲がこんなヒットするとは考えていなかったようです。

 カール・デイヴィスに7曲入ったテープを渡しておいたら、彼から電話が来てその中にNO.1ヒットになる曲があるぞと言われたんだ。僕は『オー・ガール』以外の他の全部の曲の名前を挙げたんだ。(それが「オー・ガール」だと聞いて)彼は冗談を言っていると思ったよ」

      ( Independent  18 July 2013 )

 R&Bの音楽評論家の第一人者吉岡正晴さんのブログによると、「フィリップ・ウィルソン・ショー」というTV番組で歌わせたところ、視聴者から大反響がありシングル発売することになったそうです。

 

たぶん、この映像だと思います。


Chi-Lites-Oh Girl

 そして、シングル化に合わせてあらたに弦アレンジが加わって、それが現在よく知られているヴァージョンになっています。

 セールスとしてはここがピークですが、その後も良質な楽曲をリリースし続け、1973年にリリースした「Stoned Out of My Mind」はポール・ウェラー率いるジャムがカバーしたことで有名になります。


Chi Lites ~ Stoned Out Of My Mind

 シャイ・ライツの全盛期に、プロデューサーのカール・デイヴィスとともに忘れてはいけないのが、エンジニアがブルース・スウェーデンだということです。彼はこの後、クインシー・ジョーンズの片腕となり、マイケル・ジャクソンの「オフ・ザ・ウォール」「スリラー」「BAD」などのエンジニアをつとめ、マイケルの共同プロデューサーにまでなった人です。

 

 

 さて、1970年代後半にはユージン・レコードはグループを脱退し、ソロ作品をリリースしますが、ここでも才能を発揮しています。特に、ソロ最初のシングルになった「Overdose of Joy」はマーヴィン・ゲイ・マナーを取り入れた素晴らしい仕上がりです。


Eugene Record - overdose of joy

 

 最後はこの曲のカバーを。まずはレオ・セイヤーの1979年のカバー。


Leo Sayer - Oh Girl

 そして、カバーとして一番ヒットしたのがポール・ヤング。1990年に全米8位まであがっています。


Paul Young - Oh Girl (UK Version) [Official Video]

 

 

 

 

 

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