まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「今夜はブギ・ウギ・ウギ(Boogie Oogie Oogie)」テイスト・オブ・ハニー(1978)

 おはようございます。

 今日は数多いディスコのヒット曲の中でも指折りの傑作テイスト・オブ・ハニーの

「今夜はブギ・ウギ・ウギ(Boogie Oogie Oogie)」です。

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If you're thinkin' you're too cool to boogie
Boy oh boy, have I got news for you
Everybody here tonight must boogie
Let me tell ya, you are no exception to the rule


Get on up on the floor
'Cause we're gonna boogie oogie oogie
Till you just can't boogie no more (No more boogie)
Boogie no more
You can't boogie no more (No more boogie)
Boogie no more, listen to the music


There's no time to waste, let's get this show on the road (Ooo)
Listen to the music and let your body flow
The sooner we begin, the longer we've got to groove (Ooo)
Listen to the music and let your body move (This is feeling good)


Now get on up on the floor
'Cause we're gonna boogie oogie oogie
Till you just can't boogie no more (No more boogie)
Boogie no more
You can't boogie no more (No more boogie)
Boogie no more, listen to my bass here


Boogie  Boogie
Boogie Boogie

Get down, boogie oogie oogie
Get down, boogie oogie oogie
Get down, boogie oogie oogie
Get down、、、

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もしもあなたたちがカッコつけて
ブギなんて踊れないなんて思ってるなら 
ひとつお知らせがあるわ
今日ここにいるみんなが踊らなくちゃいけないの
いい?あなたも例外じゃないから

 

フロアに上がって

だって私たちブギーで踊るの
あなたがこれ以上ブギできないくらいまで 
もうブギはたくさん
あなたはこれ以上ブギれない 
もうブギはたくさん、音楽を聴いて


無駄にする時間なんてないの、ショーを始めるわよ
音楽を聴いて、体を揺らすの
早く始めれば始めるほど、それだけ長くグルーヴに乗れる
音楽に耳を傾けて体を動かすの

 

さあ、フロアに上がって

だって私たちブギーで踊るの
あなたがこれ以上ブギできないくらいまで 
もうブギはたくさん
あなたはこれ以上ブギれない 
もうブギはたくさん、音楽を聴いて

 

踊ろう!ブギウギウギ

踊ろう!ブギウギウギ、、             (拙訳)

 

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 ディスコ・ヒットが乱発した1978年において、デビュー曲にして全米No.1、セールスは200万枚をこえ、グラミー賞最優秀新人賞までとりました。時の流れによって消え去ったヒット曲が数多くある中で、若い世代のDJ、アーティストから今なお人気が高いということは、それだけのクオリティをこの曲が持っている証拠でしょう。

 

 それにしても、そもそもブギウギって、何なんでしょう?

 ちなみに僕が初めて買ったポップスのレコードはダウンタウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」でした。あと、テレビで懐メロとして笠置しづ子の「東京ブギウギ」も何度か見たことがありました。ただ、それと、このディスコ・ナンバーと僕は何ら共通点を感じませんでした。大雑把に言えば、楽しそうな音楽、ということでしたが。

 ちなみに、ブギウギはさかのぼると19世紀後半のアメリカにたどりつくようで、1920年代に南部や中西部の州でポピュラーになったブルースのジャンルの一つ、シャッフルのリズムを使って反復するピアノの奏法から発展していったもののようです。そして、ブギウギのリズム、グルーヴをブギ(ブギー)というようです(厳密な使い分けはないようですが)。

 レコーディングされた最古のブギウギはこんな感じです。1928年のことで、パイントップ・スミスというアーティストです。

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 この歌詞の中で、すでに踊り方を示すフレーズがあり、当初からダンス・ミュージックでもあったようです。

 そして、10年後この曲をビッグ・バンドがアレンジしてやるようになります。

トミー・ドーシー楽団。 


TOMMY DORSEY- BOOGIE WOOGIE

 そして、ブギウギはスウィング・ジャズのレパートリーになり、流行歌も作られます。アンドリュー・シスターズ「ブギウギ・ビューグル・ボーイ」。


Andrews Sisters Boogie Woogie Bugle Boy

 「東京ブギウギ」はこれをモデルに作られたようです。

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 そして、カントリー&ウェスタンにも飛び火し、ギターでブギのリズムをやるようになり、それがヒルビリー・バップ、ロカビリー、ロックンロールへと繋がっていったようです。


Roy Hall - Whole Lotta Shakin´ Goin´ On

 「東京ブギウギ」はスウィング・ジャズからの流れで「スモーキン・ブギ」はロックン・ロールの流れなんですね。(ダウンタウン・ブギウギバンドは笠置しづ子の「買物ブギ」をカバーしていますが、)

 

 で、それがディスコとどうつながっていくのか、ということなんですが、音楽の形式云々というより、”黒人音楽をルーツに持つダンス・ミュージックである”ブギウギ”や”ブギー”という言葉が、いつか”ダンス”と同じ意味のスラングになり、ちょうどディスコ・ブームのときによく使われた、ということなんだと思います。

 

 1974年にはケイジーズが「Let's Boogie」という曲を出していますし、1977年にはヒートウェイヴの「ブギー・ナイツ」が大ヒットしているので、この頃すでにブギーという言い回しは定着していたのではないかと思います。同じ年にアース・ウィンド&ファイアーが「ブギー・ワンダーランド」を大ヒットさせますが、ジャンルのブギウギとはまったく関係なく”ディスコ夢の国”くらいの意味でとらえておくのが適当じゃないかと思います。

 

 

 さて、テイスト・オブ・ハニーはこの曲は華々しくデビューしましたが、実は彼女たちは下積みの長い実力派グループです。

 結成は1971年、カリフォルニア州ロサンゼルスで結成されていて、メジャーデビューまで7年もかかっているんですね。

 メンバーはジャニス・マリー・ジョンソン(ギター・ベース・ボーカル)、ヘイゼル・ペイン(ギター・ボーカル)の女性二人に、ペリー・キブル(キーボード)、ドナルド・レイ・ジョンソン(ドラムス)の男性二人の構成です。

 あるとき基地で演奏していたときに、お客さんたちのノリがあまりに悪かったので、メンバーのひとりがMCで実際に言った言葉が

 

もしもあなたたちがカッコつけて
ブギなんて踊れないなんて思ってるなら 
ひとつお知らせがあるわ
今日ここにいるみんなが踊らなくちゃいけないの
いい?あなたも例外じゃないから

 

それをそのまま歌詞に使ったそうです。

 ノリの悪いお客さんたちの前で幾たびも演奏して鍛え上げてきたグルーヴをすでに彼らは身に着けていたわけで、新人でも大ブレイクできたことは納得できます。

 

   それから、この曲のタイトルですが、ブギウギはBoogie Woogieと表記するところ

 Boogie Oogie OogieとWをとっています。どういう意図なのか、当時すでにこういう表記があったのかは不明ですが、映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」にはOogie Boogieという悪役キャラクターが出てきて、今ではOogieというのがスラング的に使われるようになっているみたいです。

 

 最後にもう一度この曲を。今度はTV「ソウルトレイン」の映像です。楽器を演奏しながら歌う彼女たちは本当にカッコいいですよね。


A Taste Of Honey Boogie Oogie Oogie

 

 

 

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