まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「今夜はブギ・ウギ・ウギ(Boogie Oogie Oogie)」テイスト・オブ・ハニー(1978)

 おはようございます。

 今日は数多いディスコのヒット曲の中でも指折りの傑作です。

 ディスコ・ヒットが乱発した1978年において、デビュー曲にして全米No.1、セールスは200万枚をこえ、グラミー賞最優秀新人賞までとりました。時の流れによって消え去ったヒット曲が数多くある中で、若い世代のDJ、アーティストから今なお人気が高いということは、それだけのクオリティをこの曲が持っている証拠でしょう。

 

 それにしても、そもそもブギウギって、何なんでしょう?

 ちなみに僕が初めて買ったポップスのレコードはダウンタウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」でした。あと、テレビで懐メロとして笠置しづ子の「東京ブギウギ」も何度か見たことがありました。ただ、それと、このディスコ・ナンバーと僕は何ら共通点を感じませんでした。大雑把に言えば、楽しそうな音楽、ということでしたが。

 ちなみに、ブギウギはさかのぼると19世紀後半のアメリカにたどりつくようで、1920年代に南部や中西部の州でポピュラーになったブルースのジャンルの一つ、シャッフルのリズムを使って反復するピアノの奏法から発展していったもののようです。そして、ブギウギのリズム、グルーヴをブギ(ブギー)というようです(厳密な使い分けはないようですが)。

 レコーディングされた最古のブギウギはこんな感じです。1928年でした。


Pine Top Smith, December 1928: PineTop's Boogie Woogie

 この歌詞の中で、すでに踊り方を示すフレーズがあり、当初からダンス・ミュージックでもあったようです。

 そして、10年後この曲をビッグ・バンドがアレンジしてやるようになります。

トミー・ドーシー楽団。

 


TOMMY DORSEY- BOOGIE WOOGIE

 そして、ブギウギはスウィング・ジャズのレパートリーになり、流行歌も作られます。アンドリュー・シスターズ「ブギウギ・ビューグル・ボーイ」。


Andrews Sisters Boogie Woogie Bugle Boy

 「東京ブギウギ」はこれをモデルに作られたようです。

 そして、カントリー&ウェスタンにも飛び火し、ギターでブギのリズムをやるようになり、それがヒルビリー・バップ、ロカビリー、ロックンロールへと繋がっていったようです。


Roy Hall - Whole Lotta Shakin´ Goin´ On

 「東京ブギウギ」はスウィング・ジャズからの流れで「スモーキン・ブギ」はロックン・ロールの流れなんですね。(ダウンタウン・ブギウギバンドは笠置しづ子の「買物ブギ」をカバーしていますが、)

 

 で、それがディスコとどうつながっていくのか、ということなんですが、音楽の形式云々というより、”黒人音楽をルーツに持つダンス・ミュージックである”ブギウギ”や”ブギー”という言葉が、いつか”ダンス”と同じ意味のスラングになり、ちょうどディスコ・ブームのときによく使われた、ということなんだと思います。

 1974年にはケイジーズが「Let's Boogie」という曲を出していますし、1977年にはヒートウェイヴの「ブギー・ナイツ」が大ヒットしているので、この頃すでにブギーという言い回しは定着していたのではないかと思います。同じ年にアース・ウィンド&ファイアーが「ブギー・ワンダーランド」を大ヒットさせますが、ジャンルのブギウギとはまったく関係なく”ディスコ夢の国”くらいの意味でとらえておくのが適当じゃないかと思います。

 

 で、「今夜はブギ・ウギ・ウギ」もブギーを”踊る”という意味の動詞として扱っています。

 

 ”If you're thinkin' you're too cool to boogie  Boy,oh boy have I got news for you.

    Everybody here tonight must boogie  Let me tell ya,you're no exception to the rule”

 

 「もしもあなたたちが恥ずかしくて踊れないなんて思ってるなら 

 ひとつお知らせがあります 今日ここにいる全員が踊らなくちゃいけない

 いいですか?あなたも例外じゃないですからね」

 

  華々しくデビューしましたが、実は彼らは下積みの長い実力派グループです。あるとき基地で演奏していたときに、お客さんたちのノリがあまりに悪かったので、メンバーのひとりがMCで実際に言った言葉がこれで、それをそのまま歌詞に使ったそうです。

 ノリの悪いお客さんたちの前で幾たびも演奏して鍛え上げてきたグルーヴをすでに彼らは身に着けていたわけで、新人でも大ブレイクできたことは納得できます。

 

   それから、この曲のタイトルですが、ブギウギはBoogie Woogieと表記するところ

 Boogie Oogie OogieとWをとっています。どういう意図なのか、当時すでにこういう表記があったのかは不明ですが、映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」にはOogie Boogieという悪役キャラクターが出てきて、今ではOogieというのがスラング的に使われるようになっているみたいです。

 


A Taste Of Honey Boogie Oogie Oogie

 

 

今夜はブギ・ウギ・ウギ

今夜はブギ・ウギ・ウギ