まいにちポップス

1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、勝手な推理、などで紹介していきます

「恋のサバイバル(I Will Survive)」グロリア・ゲイナー(1978)

 おはようございます。

 今日はグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」です。


Gloria Gaynor - I Will Survive [Official Video] 1978 [Audio iTunes Plus AAC M4A]

 

 "  最初は怖くて 自分を失っていたわ

 あなたがそばにいなくちゃ生きていけないって思い続けて

    だけど 今までどれほどあなたが私にひどいことをしてきたか

 考え続けながらいくつも夜を過ごしたら

 私は強くなった これからどうやっていけばいいかわかったの

 あなたがどこかはるか遠くから帰って来て

 部屋に入っていくと 寂しそうな顔を浮かべたあなたを見つけた

 家の鍵を変えておけばよかった あなたに鍵を置いて行かせればよかった

 私をあなたが帰って来てまた私を煩わせるって、ちょっとでも気づいていたら

 さあ行って、ドアから出て行って、今すぐ向こうに行って

 だってもうあなたは必要ないの

 別れを切り出して私を傷つけようとしたのはあなたじゃなかったの?

    私が崩れ落ちるほどの痛手をうけるって思った?

 倒れ込んで死んでしまうって思った?

 

 だめよ、私は生き残ってゆくの

 愛し方を知っている限り、私は生き続けていられる

 生きてゆくためにこの人生があって

 与えるためにこの愛はあるの、私は切り抜けてゆく

  生き残るてっゆくの

 

   自分が崩れてしまわないように全力を尽くしたの

 壊れた心のカケラを必死につなぎ合わせようとして

 ただ自分を哀れんでいくつも夜を過ごしたわ 泣きながら

 だけど今は顔を上に上げて あなたが見ているのは前とは違う誰か

 私は鎖に繋がれた弱い人間じゃないし、あなたをもう愛してもいない

 だからあなたが私がまだ一人だと思って立ち寄ったとしても

 今の私は真剣に愛してくれる誰かのために愛情は全部とってあるの 

 さあ行って、ドアから出て行って、今すぐ向こうに行って

 だってもうあなたは必要ないの

 別れを切り出して私を傷つけようとしたのはあなたじゃなかったの?

    私が崩れ落ちるほどの痛手をうけるって思った?

 倒れ込んで死んでしまうって思った?

 

 だめよ、私は生き残ってゆくの

 愛し方を知っている限り、私は生き続けていられる

 生きてゆくためにこの人生があって

 与えるためにこの愛はあるの、私は切り抜けてゆく

  生き残ってゆくの          ”    (拙訳)

 

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At first I was afraid, I was petrified
Kept thinking I could never live without you by my side
But then I spent so many nights thinking how you did me wrong
And I grew strong
And I learned how to get along
And so you're back
From outer space
I just walked in to find you here with that sad look upon your face
I should have changed that stupid lock, I should have made you leave your key
If I'd known for just one second you'd be back to bother me
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to hurt me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive, hey, hey

It took all the strength I had not to fall apart
Kept trying hard to mend the pieces of my broken heart
And I spent oh-so many nights just feeling sorry for myself
I used to cry
But now I hold my head up high and you see me
Somebody new
I'm not that chained-up little person and still in love with you
And so you felt like dropping in and just expect me to be free
Well, now I'm saving all my lovin' for someone who's loving me
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to break me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive

Oh
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to break me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive   I will survive

******************************

 

  この曲は数多あるディスコ・ソングの中でも最高峰のひとつと呼んでいいものでしょう。

 発売当時は全米NO.1、グラミー賞では一年だけ作られたディスコ部門で最優秀賞を受賞しています。ドナ・サマー「バッド・ガール」、マイケル・ジャクソン「今夜はドント・ストップ」、E,W&F「ブギー・ワンダーランド」、ロッド・スチュワート「アイム・セクシー」と錚々たる楽曲を打ち負かしての受賞でした。

 そして、現在でもその評価は高く、アメリカのケーブルTV”VH-1"が選んだ”100 Greatest Dance Song"で1位、ローリング・ストーン誌の史上最高のディスコソング100ではビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」に次いで2位になっています。

    また、YouTubeにあがっているこの曲の動画の再生数をざっと合算すると1億8000万回くらいというすごい数になります。

 文字通り時代を超えて”サバイバル”した、いや、サバイバルどころかもっとパワー・アップしているのがこの曲なのかもしれません。

 

 グロリア・ゲイナーというシンガーは1943年生まれですから、この曲をリリースした時にはすでに35歳、かなりの遅咲きでした。

  デビューは1965年。「She'll Be Sorry」という曲で、NY出身のR&Bシンガーのルー・コートニー(1974年にリリースした「I'm In Need of Love」は日本のR&Bファンからも人気があります)と、先日ブログで紹介した「ラインストーン・カウボーイ」(グレン・キャンベル)のプロデューサー、デニス・ランバートが共作しています。


Gloria Gaynor - She'll Be Sorry

   そして彼女の初めてのヒットは1974年。ジャクソン・ファイヴの「さよならは言わないで(Never Can Say Goodbye)」のカバーでした(全米9位)


Never Can Say Goodbye

 しかし、その後はヒットが続かず4年間の低迷期を経て、リリースしたのがこの「恋のサバイバル」だったのです。

 この曲を書いたのはフレディ・ペレンとディノ・フェカリス。二人はともにモータウンのスタッフ・ライターをやっていて、フレディは社長のベリー・ゴーディ率いるチーム”ザ・コーポレーション”の一員として、ジャクソン・ファイヴの「ABC」や「帰ってほしいの(I Want You Back)」を書いています。

 モータウンをクビになったディノはフレディとともに制作タッグを組み、引き受けた仕事の一つがグロリア・ゲイナーのシングルの制作でした。曲はライチャス・ブラザースの「Substitute」という曲のカバーでした。

 その流れで彼らはシングルのB面に自分たちの書いた「恋のサバイバル」を収録してもらえることになります。すでに何人ものアーティストから採用を見送られていた曲でした。作詞をしたのがディノで、彼がモータウンから解雇されて途方に暮れていると、テレビから自分がかつて書いた曲が流れて来て、そのとき

‘I’m going to make it. I’m going to be a songwriter. I will survive!’”

(成功してみせる、ソングライターになるぞ、俺は生き残るんだ)

と口に出したことが、モチーフになっていました。

 

 グロリアのほうはただヒットが出なかっただけではなく、母が亡くなり、マネージャーの使い込みによって多額の借金を背負うことになるなど、大変な困難な時期にいました。しかも、ステージでの転倒により下半身が麻痺してしまい、 脊椎の手術を受けてリハビリをしていたのです。レコーディングにも車椅子で現れ、上半身に支持具を装着し、マイクまでいくのにスタッフに支えられる状態だったそうです。

 療養生活を余儀なくされ活動できなくなっていた彼女にレコード会社は新しく契約は更新しないと告げていたそうで、無理をしてまで曲を作る必要があったのです。

 彼女はこの曲の歌詞に自分に重なるもの、そして他の人を励ますようなパワーを感じたと語っています。

 シングルのB面だったこの曲ですが、ラジオDJがオンエアし始め反響が大きくなると、あらためてA面となり再リリースされました。

 

 この曲を初めて聴いた時に僕は、男に捨てられて立ち直るのを”サバイバル”って大げさな言い方するなあ、などと思ったものですが、作詞者のディノも、歌っているグロリアもまさしく、自分の人生の”サバイバル”という本当に切迫した思いを込めた曲だったわけですね。

 

 そしてこの曲は、ゲイやLGBTコミュニティなど差別されている人たちから支持を集めていき、いまでは困難に打ち勝とうというあらゆる人たちにとっての”賛歌”になっているといいます。

 

 今年のコロナ禍の中で「#iwillsurvivechallenge」という、「恋のサバイバル」に合わせて20秒手洗いをする動画がTikTokなどで世界中で流行したそうで、グロリア自身もやっています。


Gloria Gaynor #WashYourHands #IWillSurviveChallenge on TikTok

 そして、こうした流れを受けて、数々のハウス・ミュージックの有名曲に関わってきたミュージシャン、DJのエリック・クッパーがこの曲の最新リミックスを今年発表しています。


Gloria Gaynor – I Will Survive (Eric Kupper Mix Edit) [Official Audio]

 

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