まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます

「マッカーサー・パーク(MacCarthur Park)」ドナ・サマー(1978)

 おはようございます。

 今日はポップス史に残る”奇曲”であり、そのディスコ・アレンジが全米NO.1になった「マッカーサー・パーク」を。

    以前このブログで紹介したオハイオ・エクスプレスの「ヤミーヤミーヤミー」は「マイアミヘラルド」誌のデイヴ・バリーというコラムニストによる史上最悪の曲第2位で、「TIME」誌が選ぶバカげた歌詞の曲”10曲にも選ばれたと紹介しましたが、この「マッカーサー・パーク」はデイヴ・バリーが選ぶ史上最悪ランキングの堂々1位、「TIME」誌の10曲にも当然入っています。

 

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  曲を書いたのはジミー・ウェッブフィフス・ディメンションの「ビートでジャンプ」他、数々の名曲を書き、アメリカ”ソングライターの殿堂”の会長まで務めている人です。

 

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  四部構成で7分半の大曲で、メロディは美しくアレンジはドラマティック、それが故に歌詞が意味不明だと余計それを際立ててしまう、ということなのかもしれません。

 マッカーサー・パークはロサンゼルスにあって、あのGHQ総司令官ダグラス・マッカーサーの名前がつけられた公園で、ジミー・ウェッブの昔の彼女の職場から近い思い出の場所だったと本人はインタビューで語っています。

 ”マッカーサーパークは夕やみに溶けてゆき 

 甘い緑のアイシング(糖衣)は流れ落ちてゆく

 誰かが雨の中 ケーキを置いていったんだ

 僕はもうケーキを手にすることはできないだろ 

 だって焼き上げるのに時間がかかるし

 二度とそのレシピを思い出せないから”

 

 確かによくわからない歌詞ですが、ケーキは”終わってしまった愛”の暗喩で、ジミー・ウェッブは実際に公園に置き忘れらえたケーキを見たことがあって、そこから歌詞を考えたようです。

 もともとはアソシエーションのプロデューサー、ボーンズ・ハウに”クラシカルな要素の入った、異なる曲調が含まれて、テーマが変わってゆくような曲”という依頼を受けて書いたそうですが、アソシエーション側はレコーディングしなかったそうです。

 

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  そして、結局歌うことになったのは俳優のリチャード・ハリスでした。ハリー・ポッターダンブルドア校長を演じた人ですね。そして1968年に全米2位の大ヒットになります。

 


Richard Harris MacArthur Park

 そしてこの曲のディスコ・ヴァージョンに挑んだのがイタリア人のプロデューサー、ジョルジオ・モロダーです。ディスコ・ミュージックのパイオニアとして近年も再評価されてダフト・パンクなどとも仕事をしている人です。

 ドナ・サマーを大ヒットさせていた彼は60年代のポップスをダンス・ミックスにするかディスコ・アレンジでリメイクさせたいと考えていたようで、あるとき車のラジオから流れてきた「マッカーサー・パーク」を聴いてこれだ!と思ったそうです。

 そして、リチャード・ハリスの「マッカーサー・パーク」を何度も聴いていくうちにドナ・サマーに歌わせることに決めます。

 イタリア出身でドイツで音楽活動していたジョルジオは、アメリカで成功できずにやはりドイツをメインに活動していたドナと出会い、「Love To Love You baby」というセクシーなディスコ曲を作りました。それがオランダで小ヒットとなり、そのテープをカサブランカ・レコードに送ったところ社長が気に入り、アメリカでリリースされ、大ヒットします。それをきっかけに、彼もアメリカ進出を果たし、ドナ・サマーの大ヒット曲を手がけていくことになるのです。

 

 話を戻しますが、英語ネイティヴじゃないジョルジオには、「マッカーサー・パーク」の陳腐な歌詞はさほど気にならなかったのかもしれませんね。

 それに、英国俳優が渋く歌うとより歌詞が陳腐に聞こえてしまいますが、セクシーな女性シンガーがノリノリのディスコで歌ったら、歌詞なんか気にならなくなる、ということもあったかもしれません。

 ともかく、見事なアレンジ、プロデュース・ワークもあってドナ・サマーのヴァージョンは全米1位の大ヒットになりました。

  そして、これが数々の名曲を持つジミー・ウェッブ唯一の全米1位曲だといいますから、不思議なものだなあ、と思ってしまいます。

 

 


MacArthur Park Donna Summer

 

マッカーサー・パーク

マッカーサー・パーク