まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングを、エピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などを交えて紹介しています。親しみやすいポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”な存在になってしまったのかもしれませんが、このブログがみなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。追加情報や曲にまつわる思い出などありましたらどんどんコメントしてください!text by 堀克巳(VOZ Record

「トゥルー(True)」 スパンダー・バレエ(Spandau Ballet)(1983)

 おはようございます。今日はスパンダー・バレエの「トゥルー(True)」 です。

youtu.be

Huh huh uh-huh hi
Huh huh uh-huh hi

So true
Funny how it seems
Always in time
But never in line for dreams
Head over heels when toe to toe
This is the sound of my soul
This is the sound!
I bought a ticket to the world
But, now, I've come back again
Why do I find it hard to write the next line?
Oh! I want the truth to be said

Huh huh uh-huh hi
I know this much is true
Huh huh uh-huh hi
I know this much is true!

With a thrill in my head
And a pill on my tongue
Dissolve the nerves that have just begun
Listening to Marvin
All night long
This is the sound of my soul
This is the sound
Always slipping from my hands
Sand's a time of its own
Take your seaside arms and write the next line
Oh! I want the truth to be known

Huh huh uh-huh hi
I know this much is true!
Huh huh uh-huh hi
I know this much is true!

I bought a ticket to the world
But, now, I've come back again!
Why do I find it hard to write the next line?
Oh! I want the truth to be said

Huh huh uh-huh hi
I know this much is true!
Huh huh uh-huh hi
I know this much is true!
This much is true

This much is true
This much is true、、、

Huh huh uh-huh hi
Know this much is true!
Huh huh uh-huh hi
Know this much is true!
This much is true
This much is true
I know, I know, I know this much is true!

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Huh huh uh-huh hi、、、  
あまりにも本当のことさ
おかしいよね、いつも二人で過ごしても
同じ夢にはつながっていないんだ
向かい合えば、夢中になってしまう
これが僕のソウルの響き
これがそのサウンドなんだ
僕は世界へのチケットを買った
だけどこうしてまた戻ってきた
どうして次の一行を書くのがこんなに難しいんだろう?
ああ 真実を語りたいのに

Huh huh uh-huh hi、、、

僕は知っているこれだけは確かだと
Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと

頭の中のスリルと
舌の上の薬が
騒ぎ始めた神経を溶かしてくれる
マーヴィンを聴きながら
一晩中
これが僕のソウルの響き
これがそのサウンドなんだ
いつも手からすり抜けていく
砂は自らの時間を刻むだけ
海で灼けた君の腕をとって次の一行を書くんだ
ああ 真実を伝えたいのに

Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと
Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと

僕は世界へのチケットを買った
だけど、こうしてまた戻ってきた
どうして次の一行を書くのがこんなに難しいんだろう?
ああ 真実を語りたいのに

Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと
Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと
これが真実だ

これが真実だ
これが真実だ、、、

Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと
Huh huh uh-huh hi、、、
僕は知っているこれだけは確かだと
これが真実だ
これが真実だ
僕は、僕は、僕は知っているこれだけは確かだと(拙訳)

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スパンダー・バレエ「トゥルー」のヤマハぷりんと楽譜はこちら

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 あの必殺のスキャットのフレーズの元はジョン・レノン×アル・グリーン

 

 この曲で耳に残るのははとにかくHuh huh uh-huh hi、、、というスキャットですよね。もはやポップス史上屈指のスキャットと言ってもさしつかえないと思うほどですが、これは意外なものからインスパイアされたものだったんです。

 この曲の作者であるスパンダー・バレエのギタリスト、ゲイリー・ケンプが書いたものです。彼は1982年のある夏の夜、自分の寝室のテレビででビートルズドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』をテ見ていたそうです。

『レット・イット・ビー』を見て頭に残った曲は「Dig a Pony」でした。曲の冒頭で、ジョン・レノンが「I, hi-hi, hi-hi, I dig a pony」と歌う部分がありました。彼が「I」というたった一つの単語を取り上げ、それを蛇行するようなメロディに仕立てたところが大好きでした。ギターを弾きながら、私も「I」という単語を中心に巻きつくようなメロディを考えようとしました。そこで思いついたラインが、「Ah ha-hah hahh-hi / I know this / much is / true-oo」でした。」 (The Wall Street Journal December 28, 2017)

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  「Dig a Pony」にインスパイアされたとは思えない、とてもセクシーなフレーズですよね。それには理由がありました。

「曲を書いている間、2つの大きな影響がありました。1つ目はマーヴィン・ゲイアル・グリーンです。彼らのレコードをターンテーブルで最もよく聴いていました。彼らのような脆さや、不確かさが漂う雰囲気を持つ曲を書きたかったのです」(The Wall Street Journal December 28, 2017)

音楽的には、アル・グリーンの「Let's Stay Together」の「I'm, I'm so in love with you」というフレーズのようなものを書きたいと思っていました。でも実際には「Huh huh uh-huh huh」となりました」(The Gurdian.  Mon 14 May 2012 )

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 ”新しいもの”というのは、既存のものをミックスさせたものだと、多くのアーティストが語っているのを目にしますが、この不滅のスキャットも「Dig a Pony」×「Let's Stay Together」という意外な曲の組み合わせだったんですね。

 また、歌詞の内容は、スコットランドニューウェーヴバンド、オルタード・イメージズのシンガーで女優でもあったクレア・グローガンへの恋心を歌ったものだったそうです。に夢中でした。彼女とはイギリスの人気音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』で出会い、一度はスコットランドまで彼女とそのご両親とお茶をするために行ったこともあったそうですが、報われずに終わったのだそうです。

 

オルタード・イメージズはこんなバンドでした。「Happy Birthday」(1981年全英2位)

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「この歌詞には、クレアへの暗号的なメッセージがたくさん詰め込まれています。いまだに「Take your seaside arms」というフレーズでは批判されますが、これは彼女がプレゼントしてくれたウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』から取ったものです(ただし原作では「seaside limbs」となっています)。また、「With a thrill in my head and a pill on my tongue」という部分も、ナボコフの表現を少し改変したものです。クレアを困らせたくはありませんが、私が22歳で彼女が18歳のときに書いた曲であり、「True」は私自身と私の愛の考え方についての歌なんです」 (The Gurdian.  Mon 14 May 2012 )

 ただ単にクレアへの想いを反映させた歌詞というレベルじゃなくて、ナボコフの「ロリータ」という二人の接点から具体的に引用して忍ばせるという、けっこう”本気度の高いラブレター”的な歌詞だったんですね。

 また、印象的なサックス・ソロを聴かせてくれるスティーヴ・ノーマンもインスピレーションの元を明かしてくれています

「「True」のソロは実は2つのテイクを組み合わせたものです。サックスを始めてわずか1年のころで、グローヴァー・ワシントンJrとビル・ウィザースの「Just the Two of Us」を何度も聴いていました。このソロはその曲に対する返答のようなものです。転調の部分では音がぐっと持ち上がり、曲に高揚感のある瞬間をもたらしています。」

(The Gurdian.  Mon 14 May 2012 )

 スパンダー・バレエはニュー・ウェイヴ系のバンドとして、デュランデュランなどと同時代に活躍しましたが、彼らの代表曲はかなりメロウなR&Bをベースに作られたんですね。

 僕がこの曲を聴いていつも思い出してしまうのは、1984年のアメリカ映画「すてきな片想い(Sixteen Candles)」のダンス・パーティーのシーンです。監督のジョン・ヒューズはのちに「ホーム・アローン」の脚本、製作で有名になりますが、1980年代に彼が作った青春映画(『ブレックファスト・クラブ』、『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』、『フェリスはある朝突然に』など)は音楽の使い方も絶妙で好きでした。

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