まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ブレックファスト・イン・アメリカ (Breakfast in America)」 スーパートランプ(1979)

 おはようございます。

 今日はスーパートランプの「ブレックファスト・イン・アメリカ です。


Breakfast In America (Remastered)

 

  "  僕のガールフレンドを見てごらん

     たった一人の彼女さ

     ガールフレンドっていうほどでもないかな

   得られるものはそんなになさそうだし

     

  ジャンボ機に乗って海を越えて

  アメリカを見に行きたいな

  カリフォルニアの女の子も見に行きたい

       実現するといいなあ だけど僕にできることはそんなにないけど

 

  朝食にキッパー(ニシンの燻製)をいただけますか?

 

  テキサスじゃ食べるのが当たり前だった

  みんな億万長者だからね

 

     僕は勝者 僕は罪人

  僕のサインが欲しいかい?

  僕は敗者 なんておどけ者

  君のことをからかっているんだよ

  他にもっとましなことがないからさ

 

  僕のガールフレンドを見てくれないかい

     たった一人の彼女さ

     ガールフレンドってほどじゃないかな

    得られるものはそんなになさそうだし

 (彼女が持っているもの たくさんじゃない)

 

  ジャンボ機に乗って海を越えて

  アメリカを見に行きたいな

  カリフォルニアの女の子も見に行きたい

       実現するといいなあ 

  だけど僕にできることはそんなにないけど”      (拙訳)

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Take a look at my girlfriend
She's the only one I got
Not much of a girlfriend
I Never seem to get a lot

Take a jumbo across the water
Like to see America
See the girls in California
I'm hoping it's going to come true
But there's not a lot I can do

Could we have kippers for breakfast
Mummy dear, mummy dear
They got to have 'em in Texas
'Cause everyone's a millionaire

I'm a winner, I'm a sinner
Do you want my autograph
I'm a loser, what a joker
I'm playing my jokes upon you
While there's nothing better to do

Ba-ba-ba-dow, ba-bow-dum-doo-de-dow-de-dow, de
Ba-ba-ba-dow, ba-bow-dum-de-doo-de-dow
Na na na, nana na na na na

Don't you look at my girlfriend (girlfriend)
She's the only one I got
Not much of a girlfriend (girlfriend)
 I Never seem to get a lot (what's she got, not a lot)

Take a jumbo cross the water
Like to see America
See the girls in California
I'm hoping it's going to come true
But there's not a lot I can do

Writer/s: RICHARD DAVIES, ROGER HODGSON

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 スーパートランプは1970年に結成されたイギリスのロック・バンド。リック・デイヴィス(ボーカル、キーボード)ロジャー・ホジソン(ボーカル、キーボード、ギター)という二人の個性的なソングライターが、ほとんどのレパートリーを書いています。

 ちょうどレノン=マッカートニーのように、彼らもほとんど別々に曲を書いていながら、作家クレジットを共作にしていました。

 一般的にスーパートランプといえば、ロジャーのハイトーンのボーカルをフィーチャーしたロジャーの作品を思い浮かべる人の方がかなり多いでしょう。

 

   彼らの最初のヒットは「Dreamer」(1974 全英13位)。ロジャーとリックの共作で、ロジャーがメインボーカルをとっています。


Supertramp - Dreamer [Official Music Video]

 

 そして、この「ブレックファスト・イン・アメリカ」は彼らを世界的に大ブレイクさせた6枚目のアルバムのタイトル曲です。アルバムは全米チャート合計で6週トップで、アメリカだけで400万枚以上売れています。

 この曲自体はイギリスで最高9位とまあまあでしたが、アメリカでは62位と振るいませんでした。

 しかし日本では、日立のシステム・コンポのTVCMソングになっていたので、この曲が一番有名でした。

 

  歌詞を和訳してみて、ちょっととりとめのない感じがしたのですが、作者のロジャーはどのようにしてこの曲を作ったのでしょう。

 

 この曲は彼がまだ十代の頃といいますから、1960年代、スーパートランプ結成以前に書いたものだと言います。

 

 

「自分自身を歌のキャラクターに当てはめていたと思う。あの日はどんな気分だったか思い出そうとしているんだけど、間違いなくとても気まぐれな気分だった。その時僕ににはガールフレンドはいなかったと思うし、いたとしてもその後は長くは続かなかっただろう。"Playing my jokes upon you(君をからかっているんだよ) "というラインは、この曲をある意味要約しているように思う。ただの頭の中のおしゃべりだったんだ。 思いついたアイデアを 書き留めただけなんだ」

 

「ちょうど楽しいことがたくさんあってそれが繋がったんだよ。ビートルズがちょうどアメリカに行っていたのをよく覚えていて、それにかなり感銘を受けた。それがきっかけで、アメリカに行きたいという夢が膨らんだんだ。テレビに映るカリフォルニアのゴージャスな女の子たちを見て、わお!と思ったりね。僕が行きたい場所はここだと思った」

 

 アメリカに憧れているイギリスのティーンエイジャーのとりとめもない夢想の歌、という感じでしょうか。

 

 ちなみにこの曲の歌詞を、リック・デイヴィスは気に食わなかったのだとロジャーは回想しています。

「”僕のガールフレンドを見てごらん”というのがすごく古臭いと。彼は技巧的に曲を書くことにものすごくハマっていてね。たとえ僕が歌詞をもっと面白くしたり、もっと妥当なものにしても、彼は満足しなかったと思うよ。僕もトライしたんだけど、結局最初に書いたものになった」

 

 ということですから当然アルバム・タイトルを「ブレックファスト・イン・アメリカ」にすることも、リックは反対したようです。

 しかし、結局これがいい方向に転がったわけですね。

 このタイトルをもじった、アルバム・ジャケットのデザインがビッグ・ヒットの後押しをすることになったわけですから。

 飛行機の窓から見えるマンハッタンは、自由の女神ではなく、朝食を運ぶウェイトレスのおばさん(リビーおばさん)がポーズを決めています。

 このデザインは、グラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞を獲得しています。

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