まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「The Look」ロクセット(1989)

 おはようございます。

 今日はロクセットの「The Look」です。

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Walkin' like a man
Hitting like a hammer
She's a juvenile scam
Never was a quitter
Tasty like a raindrop
She's got the look

 

Heavenly bound
'Cause heaven's got her number
When she's spinnin' me around
Kissin' is a color
Her lovin' is a wild dog
She's got the look


She's got the look (She's got the look)
She's got the look (She's got the look)
What in the world can make a
Brown-eyed girl turn blue?
When everything I'll ever do
I'll do for you
And I go la la la la la
She's got the look


Fire in the ice
Naked to the T-bone
Is a lover's disguise
Bangin' on the head drum
Shakin' like a mad bull
She's got the look

 

Swayin' to the band
Movin' like a hammer
She's a miracle man
Lovin' is the ocean
And kissin' is the wet sand
She's got the look


She's got the look (She's got the look)
She's got the look (She's got the look)
What in the world can make a
Brown-eyed girl turn blue?
When everything I'll ever do
I'll do for you
And I go la la la la la
She's got the look

 


Walkin' like a man
Hitting like a hammer
She's a juvenile scam
Never was a quitter
Tasted like a raindrop
She's got the look


And she goes
A-na na na na na
Na na na na na
Na na na na na na
Na na na na na
Na na na na na na na na
She's got the look

 

She's got the look
(She's got the look)
She's got the look
(She's got the look)
What in the world can make a
Brown-eyed girl turn blue?
When everything I'll ever do
I'll do for you
And I go la la la la la
She's got the look

 

What in the world
Can make you so blue?
When everything I'll ever do
I'll do for you
And I go la la la la la


Na na na na na
Na na na na na
Na na na na na na
Na na na na na
Na na na na na na na na
She's got the look、、、、、

 

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一人前の男みたいに歩いて
ハンマーみたいに一撃する
彼女は子供みたいな詐欺師
決してやめたことなんてない
雨粒のように甘く
彼女はそんな顔してる

天にも昇る気持ち
だって天国は彼女の電話番号を知っているのさ
彼女が私を振り回すとき
キスは色づいて
彼女の愛し方は野良犬みたいさ
彼女はそんな顔をしてる


彼女はイカしている
彼女はイカしている
いったい、茶色の瞳の女の子をブルーにできるものがあるだろうか
これから僕のすること全部は
君のためにやるのさ
そして、僕はララララ
彼女はイカしてる


氷の中の炎
素っ裸になることは恋人たちの偽装
ドラムみたいに頭を叩きながら
猛牛みたいに体を震わす
彼女はイカしている

バンドの演奏に合わせて
ハンマーみたいに体を動かす
彼女は奇跡の人
海のように愛して
キスは濡れた砂のよう
彼女はイカしている


彼女はイカしている
彼女はイカしている
いったい、茶色の瞳の女の子をブルーにできるものがあるだろうか
これから僕のすること全部は
君のためにやるのさ
そして、僕はララララ
彼女はイカしてる


一人前の男みたいに歩いて
ハンマーみたいに一撃する
彼女は子供みたいな詐欺師
決してやめたことなんてない
雨粒のように甘く
彼女はそんな顔してる


彼女はこうさ、
na na na na na、、、、
彼女はイカしている


彼女はイカしている
彼女はイカしている
いったい、茶色の瞳の女の子をブルーにできるものがあるだろうか
これから僕のすること全部は
君のためにやるのさ
そして、僕はララララ
彼女はイカしてる

いったい、何が君をそんなにブルーにさせるのか?
これから僕のすること全部は
君のためにやるのさ
そして、僕はララララ


Na na na na na、、
彼女はイカしている

           (拙訳)

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 アバ以来スウェーデンのグループとして、久しぶりに全米チャートを制覇したのがロクセットでした。

 ギターとヴォーカル担当のペール・ゲッスルとヴォーカル担当のマリー・フレデリクソンからなる男女デュオで、ロクセット結成前にもそれぞれ活動していました。

 

 特にペールがフロントマンをつとめていた”Gyllene Tider(ユーレネ・ティーデル)”というバンドは、スウェーデン・チャートで1位を獲得するほどの人気バンドだったようです。

 

Gyllene Tider - När Vi Två Blir En

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 マリーはGyllene Tiderのバックコーラスをつとめ、ペールは彼女のソロ活動のために曲を書くなどして交流していきます。

 イギリス、パブ・ロックの代名詞的バンド、ドクター・フィールグッドの曲名からとっった”Roxette”は、最初Gyllene Tiderがアメリカ・リリースに際して考えられたものだったようです(実際にRoxetteという名前でアメリカでリリースされていたようです)

 ちなみに、これがドクター・フィールグッドの”Roxette"

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 彼らのファースト・シングル「Neverending Love」はいきなりスウェーデン・チャートで3位の大ヒットになります。

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 ペールはこう回想しています。

「デュオとして最初に作った曲は「Neverending Love」だったんだ。この曲は86年にスウェーデンで大ヒットしたんだけど、これは驚きだった。というのも、スウェーデンでは通常、スウェーデン人アーティストはスウェーデン語で活動するのがルールだから。英語でヒット曲を出したことは当時としては異例のことだったんだ」

(Classic Pop | December 18, 2018)

 

 彼らは特にアメリカで成功しようなんて思ってもいなくて、ドイツや他のヨーロッパの国々で成功したかったために英語の曲を作っていたのですが、それが思わぬきっかけでアメリカでブレイクすることになります。その経緯がすごくいい話なのでご紹介させてください。

 

 アメリカのミネソタ州ミネアポリスからストックホルムに来ていたディーン・クシュマン(Dean Cushman)という留学生が、スウェーデンで流行っていたロクセットの「The Look」を気に入り、CDを母国に持ち帰り自分で聴くだけじゃなくプロモーションを始めます。その中で、ミネアポリスのラジオ局KDWBのDJに渡したところ、気に入られオンエアされ、その火が全米に広がったということなんです。

 

 ディーンはこう語っています。

「僕はこの曲が大好きだった......。スウェーデンの友達もみんな好きだった。人気のある曲だし、キャッチーな曲だからね」

「僕が好きなら、友達も好きだろうし、ミネソタの人も好きだろうと思ったんだよ」

ロクセットに宝くじの当選券を売ったレジ係のような気分さ。僕は彼らの音楽や芸術性とは何の関係もないけど、ほんのちょっとしたやり方で彼らを助け、他の人々に彼らの音楽を楽しんでもらうことができたんだ」

CBC Radio

 

 ディーンはロクセットのメンバーと交流できただけじゃなく、レコード会社から「The Look」のゴールド・レコードを送られ、しかもなんと、スウェーデンロクセットのコンサートで知り合った女性と結婚したのだそうです。

 

 今はSNSでたくさんの人が好きな曲をレコメンしていますが、それってすごく根源的で大事なことだな、と思います。それに、大きなメディアの仕掛けで売れるものももちろん魅力的ですが、こういう草の根的に広がったものは、息長く続くことが多い、僕はそんな気がします。

 

 ロクセット一発屋じゃなく、たくさんのヒットを残しています。

「The Look」のようなトリッキーでキャッチーな曲だけじゃなく、北欧的な独特の哀愁のある曲を作れたことが大きかったようで、そういう曲の方が今も人気があるようです。

 スウェーデンが生んだ作曲家は、アバのベニー・アンデションとマックス・マーティンが双璧だと思いますが、ペール・ゲッスルはそれに次ぐくらいの才能を持っていた人だったように思えます。

 

 もちろん、曲がいいだけじゃだめですから、マリー・フレデリクソンという存在感のあるボーカリストと組めたことが、なによりロクセットの成功につながったのでしょう。

 マリーは長く脳腫瘍で闘病していたそうで、2019年に合併症で亡くなったというニュースが報じられています。21世紀に入っても彼らは母国でヒットを連発していましたから、本来ならまだまだ活躍できたはずですから、とても残念なことです。

 

 最後は彼らの代表的なヒット曲を。

 

「リスン・トゥ・ユア・ハート(Listen To Your Heart)」1989年全米1位

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「愛のぬくもり(It Must Have Been Love)」1990年全米1位。映画「プリティ・ウーマン」に使われていました。

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「ふたりのときめき(Joyride)」1991年全米1位

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「消えゆく花のように(Fading Like A Flower (Everytime You Leave)」1991年全米2位

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