まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングのエピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”なものになってしまったのかもしれませんが、みなさんの毎日の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出なども絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「レッツ・ステイ・トゥゲザー(Let's Stay Together)」アル・グリーン(Al Green)(1971)

 おはようございます。

 今日はアル・グリーン。1970年代のR&Bを代表する大定番「レッツ・ステイ・トゥゲザー(Let's Stay Together)」です。

www.youtube.com

I, I'm so in love with you
Whatever you want to do is alright with me
'Cause you make me feel so brand new
And I want to spend my life with you

Let me say that since, baby, 
since we've been together
Loving you forever is what I need
Let me be the one you come running to
I'll never be untrue

Let's, let's stay together
Lovin' you whether
Whether times are good or bad, 
happy or sad

Whether times are good or bad, happy or sad
Why somebody, why people break up
Turn around and make up, I just can't see
You'd never do that to me, would you baby?
Just being around you is all I see, 
it's what I want to do

Let's, we ought to stay together
Lovin' you whether
Whether times are good or bad, happy or sad

C'mon, let's, let's stay together
I'll keep on lovin' you whether
Whether times are, 
oh times are good or times are bad

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君に夢中なんだ 君がどんなことをしたくても
僕はいいんだよ   
だって君は僕を生まれ変わらせてくれた
だから これからもずっと一緒に生きていきたい
だって 二人一緒に過ごしてきたから

永遠に愛する 僕に大事なのはそれだけ
何かあればいつでも僕のもとにおいで
偽ったりしないから

さあ、一緒に過ごそう 
君を愛してる いい時も悪いときも 
幸福な時も悲しい時も

なぜ 別れたあとに、
もう一度やり直す人がいるんだろう?
僕には理解できないんだ
君はそんなことを僕にはしないよね
君の近くにいること、それだけが僕にはわかる
(それが僕の望むこと)
さあ、一緒にいようよ  

愛してる いい時も悪い時も 幸福な時も悲しい時も” 

                                                  (拙訳)

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「レッツ・ステイ・トゥゲザー(Let's Stay Together)」の楽譜はこちら

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 全米1位、R&Bチャートでは9週連続1位と当時全米で大ブームを起こした曲です。

 アル・グリーンはロックの殿堂入りを果たし、「ローリング・ストーン」誌の史上最高のシンガーのランキングで14位になるほどの”レジェンド”ですが、当時は”セクシーな”シンガーでした。

 この曲のYouTubeへの書き込みには

    ”こいつのおかげでたくさんの子供が生まれた”

 なんていうのがありましたが、

    この曲はまさに"恋人たちの夜のBGM"の王座に長年に渡って君臨してきたのでしょう。僕が洋楽を聴き始めた中学生のときに、この曲を聴いて”確かに歌い回しがなんかエロい”と思ったものです。息遣いなんかも感じますし。。

 しかし、今あらためて聴いてみるとそれほどエロくないですよね。びっくりしました。朝でも全然気持ちよく聴けます(笑。

 この曲の歌詞は恋愛の常套句をちりばめているだけで、ネットではこんなシンプルな歌詞でも売れていたなんていい時代があったんだなあ、などという意見もありました。

 しかし、僕はこう思うんです、この曲は、ダイレクトにはエロい言葉は一切使わず、プラトニックな恋愛の常套句を、ボーカル・ワークとグルーヴだけでどこまでセクシーにできるのか?という奇跡的な達成なんだと。

 セクシーさやエロさの基準が時代とともに過剰になってしまい、この曲のエロさは薄れていき、卓越したボーカルとグルーヴの素晴らしさだけが生き残って、夜の恋人たち限定じゃなく、万人が聴ける曲になったのかもしれませんね。

 この曲のヒットの2年後には、マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」というもっと露骨な曲がヒットしたり、バリー・ホワイトも”夜のBGM仕様”で大ブレイクしたり、マニアックなところではシルヴィア・ロビンソンの「ピロー・トーク」(僕は大好きでした)なんてのもありましたが、今思えばこの路線はアル・グリーンが開拓したものだったのだと思います。

 演奏についても少し説明を。

 この曲をリリースしたのはテネシー州メンフィスにあったHi Records(ハイ・レコード)で、専用のスタジオと専属のバンド(ハイ・リズム)により独自のサウンドを生み出していました。

 デトロイトモータウンの”ファンク・ブラザース”、アレサ・フランクリンを覚醒させたアラバマ州マッスル・ショールズのフェイム・スタジオの”スワンパーズ”などと、同じようなシステムですね。

 ハイ・リズムの繰り出すサウンドは”ハイ・サウンド”と呼ばれ当時人気を博しました。「レッツ・ステイ・トゥゲザー」のグルーヴは”旬”のサウンドでもあったのです。

 この曲が書かれた時のことをアル・グリーンはこう回想しています。

「ウィリー・ミッチェルがピアノでメロディを弾いていたので、それが何か尋ねたら、彼は「わからない」と言ったんだ。それから、アル・ジャクソンが入ってきて、椅子やビルの側面を叩いていたので、ウィリーが「それに合わせて何か歌詞を書いてみたら?」と言った。それで「I'm、、、」と書き始めました…。それから、どうしたんだっけ?何か「I'm」を書き始めて「どんなのが欲しいの?」と聞いたら、「So in love with you」と言われたので、「I'm so in love with you」と書きました。それで、「うん、それだってなった。ある程度書いたけど、ピッタリしなくて。だから、その夜に家に戻って、これは良いこれはダメと分けて、あれを捨てて、これを追加して…そんな感じで進めたよ。それで、一つにまとまったよ」

 ウィリー・ミッチェルはこの曲のプロデューサーでもあります。アル・ジャクソンはブッカー・T&ザ・MG'sドラマーとしても知られ、ハイ・リズムの重要な一員ですね。

 最後に数多あるこの曲のカバーをいくつかご紹介します。

一番有名なのはオバマ元大統領でしょう(?)

www.youtube.com

近年で代表的なのはマルーン5。


Let’s Stay Together

 女性のカバーでは、ちょっとマニアックですがマージー・ジョセフの1973年ものがボーカル、サウンドともにハイ・クオリティです。


MARGIE JOSEPH Let's Stay Together.wmv

オーヴァーエクスポーズド

オーヴァーエクスポーズド

  • アーティスト:マルーン5
  • 発売日: 2012/10/17
  • メディア: CD
 
マージー・ジョセフ

マージー・ジョセフ

 
 
 
 

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