まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「おお、プリティ・ウーマン(Oh, Pretty Woman)」ロイ・オービソン(1964)

 おはようございます。

 今日はロイ・オービソンプリティ・ウーマン。古い国内盤のシングルの画像を見たら「おお、プリティ・ウーマン」となっていました。なんともいえない、微妙な味わいがあります。”オー”、と”おお”、じゃ、女性に感嘆した気持ちの深度が違ってきますね。でもせっかく”おお、にしたのにその後がプリティ・ウーマンって、、。でも、「おお、べっぴんさん」とまではさすがにやれなかったんでしょうね、、。

 

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Roy Orbison - Oh, Pretty Woman (Audio)

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Pretty woman walking down the street
Pretty woman, the kind I'd like to meet
Pretty woman, I don't believe you, you're not the truth
No one could look as good as you
Mercy!

Pretty woman, won't you pardon me?
Pretty woman, I couldn't help but see
Pretty woman, that you look lovely as can be
Are you lonely just like me?

Pretty woman, stop a while
Pretty woman, talk a while
Pretty woman, give your smile to me
Pretty woman, yeah, yeah, yeah
Pretty woman, look my way
Pretty woman, say you'll stay with me
'Cause I need you, I'll treat you right
Come with me, baby, be mine tonight

Pretty woman, don't walk on by
Pretty woman, don't make me cry
Pretty woman, don't walk away, hey
Okay, if that's the way it must be, okay


I guess I'll go on home, it's late
There'll be tomorrow night
But wait! What do I see?
Is she walking back to me?
Yeah, she's walking back to me
Oh woah, pretty woman

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 プリティ・ウーマン 通りをこっちに歩いてくる

 プリティ・ウーマン 僕が会いたかったタイプだ

 プリティ・ウーマン 信じないよ 君が現実だなんて

 誰よりも君は素敵だ ああ,,

 

   プリティ・ウーマン 失礼をお許しください

 プリティ・ウーマン あなたを見ずにはいられないんだ

 プリティ・ウーマン これ以上なく愛らしい

 僕みたいにひとりぼっちなの? ワオ

 

 プリティ・ウーマン ちょっと止まって

 プリティ・ウーマン 少し話そうよ

 プリティ・ウーマン 僕のそばにいるって言ってくれないかい?

 だって君が必要なんだ 君を大切にするから

 ついておいで 今夜僕のものになるんだ  

 

 プリティ・ウーマン 歩き去っていかないで

 プリティ・ウーマン 僕を悲しませないで

 プリティ・ウーマン 行ってしまわないで どうか

 

 もしそうなる運命なら わかった 僕も帰ろう、もう遅い

 明日の夜もある でも、待った

 何かが見える  彼女がこっちに向かって歩いてくるの?
 やった 彼女が僕の方に戻ってくる

 おお、おお プリティ・ウーマン ”  (拙訳)

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 日本人男性が”Pretty Woman”をなんと訳すか、というのはその人の女性へのスタンスというかアティテュードが表れそうな気もします。

 マッチョなら「かわいい女」、フェミニンな人なら「素敵な女性」とか。それだけで歌の世界ががらっと変わってしまいます。

 そんなことを考えていたら、僕自身のスタンスを決められなくなってしまったので、

プリティ・ウーマン、そのまま、という結果になってしまいました(苦笑。

 

 あるとき、街で夢に見たような理想的な女性に遭遇して、舞い上がって妄想する、こういうシンプルで普遍的な設定は、ポップスにはこれ以上ないくらいピッタリはまります。

 アレンジも、曲のイメージがくっきりしているので、演出がズバッと決まっています。何度聴いても、お見事!と思ってしまう完璧な曲だと僕は思います。

 

  この曲はロイが自宅で共作者のビル・ディーズと曲を作っているときに、ビルの何気なく言った冗談がインスピレーションになったそうです。。

 作業中に、彼の奥さんが部屋に入ってきてロイに街に買い物に行ってくると言い、彼が奥さんにお金はいるか?と尋ねたところ、そこで、ビルがとっさに”Pretty Woman Never Needs Money"と軽口をはさんで、それを面白く思ったロイが”Pretty Woman Walking Down the Street”と口ずさみ始めたといいます。

 ビルがテーブルを叩きながらリズムを取り、それに合わせてロイが歌いながら曲を作っていきました。

 そして、ビルによると金曜日に曲を作って、翌週金曜にレコーディングし、その翌週金曜日には発売されていてそうで、今までで一番スピーディーだったそうです。

 それから、彼は”yeah!yeah!yeah!”とロイが歌うところは、ビートルズの影響じゃないかと推測しています(1963年にロイはビートルズを前座にイギリス・ツアーを行っています)。

 

 ロイ・オービソンはたくさんのアーティストに影響を与えていますが、特にその声に魅了された人が多いようです。この曲もワイルドなボーカルだったらもう、ちょっと下品に聴こえたかも、などと思ったりします。彼の”魅惑のベルベット・ボイス”のおかげで品格が保たれているんじゃないかと。

 

 ”ワイルドなボーカルだったら、もうちょっと下品に聴こえたかも”と書きましたが、ちょうど、こんなカバーがありましたね。1982年のヴァン・ヘイレン

www.youtube.com

 

  彼がいかにリスペクトされていたかがよくわかる動画。スプリングスティーンジャクソン・ブラウン、もう片方にはエルヴィス・コステロとJ.Dサウザー、キーボードにはトム・ウェイツ、最高のメンツです!


Roy Orbison - Oh, Pretty Woman (from Black & White Night)