まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ある愚か者の場合(What A Fool Believes)」ドゥービー・ブラザーズ(1979)

 おはようございます。

 今日はドゥビー・ブラザーズの「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」。当時は「ある愚か者の場合」なんて邦題がついていました。


What a Fool Believes

 

 ” ヤツは彼女の遥か過去からやってきた

    センチメンタルで愚かなそいつは

      彼女の人生で”一度もなかった”ことを

   ”もう一度やろう”と自分が必死になっていることを

   わかってないのさ

 

    ヤツの昔話に彼女は精一杯笑顔を作って

  彼の本心には絶対近寄らないようにした

  寄りを戻すなんてありえないとはっきり気づいただけで

 

       ヤツの人生にはかつて彼女の場所があった

    けっして彼女をもう一度考えさせなかった

     彼女がごめんなさいと言って席を立って、彼も立ち上がるとき

       その場にいた他の人だけはちゃんとわかっている

     立ち去る彼女を彼が見送るはめになることを

       

    でも、ヤツが見ているのは 愚か者が信じてしまうもの

  どんな賢者もそれを説得して消し去る力はないんだ

     いつだって そう思えるものは 何もないよりはマシなんだと

     何も根拠がないのに彼は妄想し続けている

 

  彼女の遠い過去のどこかに どこか自分の場所があるって

  ヤツは信じている

  いつか、どこかで 彼女は帰ってくると

 

  ヤツの人生にはかつて彼女の場所があった

    けっして彼女をもう一度考えさせなかった

     彼女がごめんなさいと言って席を立って、彼も立ち上がるとき

       その場にいた他の人だけはちゃんとわかっている

     立ち去る彼女を彼が見送るはめになることを

 

  でも、ヤツが見ているのは 愚か者が信じてしまうもの

  どんな賢者もそれを説得して消し去る力はないんだ

     いつだって そう思えるものは 

  (もし愛が行き来するものなら、この愛ももう一度帰ってきてもいいじゃないか)

  何もないよりはマシなんだと(愚か者にも力はある)

     何も根拠がないのに彼は妄想し続けている

  (彼女は行ってしまわないと信じている)

 

  どんな賢者もそれを説得して消し去る力はないんだ

     いつだって そう思えるものは 

  何もないよりはマシなんだと

     何も根拠がないのに彼は妄想し続けている (拙訳)

 

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He came from somewhere back in her long ago
The sentimental fool don't see trying hard to recreate
What had yet to be created once in her life

She musters a smile for his nostalgic tale
Never coming near what he wanted to say
Only to realize
It never really was

She had a place in his life
He never made her think twice
As he rises to her apology
Anybody else would surely know
He's watching her go

But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be
Is always better than nothing
And nothing at all keeps sending him

Somewhere back in her long ago
Where he can still believe there's a place in her life
Someday, somewhere, she will return

She had a place in his life
He never made her think twice
As he rises to her apology
Anybody else would surely know
He's watching her go

But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be (if love can come and love can go, then why can't love return once more?)
Is always better than nothing (fool's got the power)
There's nothing at all (oh, now)
But what a fool believes he sees (i believe she's never gone away)

No wise man has the power
To reason away (to reason away)
What seems to be (oh, if love can come and love can go, oh, mama)
Is always better than nothing (better than nothing)
And nothing at all

 

Writers: Kenny Loggins, Michael McDonald

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 これは1979年の代表するヒット曲、そしてAORを代表する曲です。その後、この曲のフレーズを真似たフレーズをイントロや間奏に入れた曲が海外だけじゃなく、日本でもどれだけ作られたことでしょう。

 よく盗作で訴えられないなあ、と僕は当時思ったのですが、この曲を作ったマイケル・マクドナルド(共作は「フットルース」「デンジャーゾーン」を歌ったケニー・ロギンス、ケニーはBメロを書いたようです)は、このブログでも前に登場したキャプテン&テニールのキャプテン(ダリル・ドラゴン)に会ったときに

「きみはぼくが<ホワット・ア・フール・ビリーヴス>を書くきっかけになった男なんだ。ほら、<愛ある限り>と感じが似てるだろ?」(「ヨット・ロック」)

と言ったそうです。

 

popups.hatenablog.com

  マイケル本人も他の曲にインスパイアされたから、他の人に真似られても強く言えなかったんでしょうかね。

 元ネタのキャプテンのほうも、実は自分はファッツ・ドミノニューオーリンズ風味から影響を受けていた、と言っています。

 キャプテンさん、そんなこと言ってますが、「愛ある限り」はカバーで、オリジナルはニール・セダカ。彼のヴァージョンにはこのリフの原型が既にありました。


Neil Sedaka - "Love Will Keep Us Together" (1973)

 ニール・セダカは最近これはビーチ・ボーイズの「ドゥ・イット・アゲイン」にインスパイアされたと言っています。


Do It Again (Remastered 2001)

 ポップスはこんな風に「インスパイア」を順々に繋いでいくことで、作られていくものなんですね。

 

 曲の愚か者(A Fool)は、レストランでむかし恋人関係だった女性と会っていて、相手はもう全然気持ちはなくなっているのに、自分だけ都合のいいようなことを考えている男のこと。そして、女性に立ち去られてしまいます。

 恋愛について女性のほうが切り替えが早い、というのは、もう当たり前のこと。

そういう意味じゃ、普遍的な歌詞、ってことでしょう。

 


The Doobie Brothers - What A Fool Believes (Official Music Video)

 

 

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