まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「98.6」キース(KIETH)(1966)

 おはようございます。

 今日はキースの「98.6」です。

www.youtube.com

 

Good morning, sun, I say it's good to see you shining
I know my baby brought you to me
She kissed me yesterday, hello to silver lining
Got spring and summer running through me


Hey, 98.6, it's good to have you back again
Oh, hey, 98.6, her lovin' is the medicine
That saved me, oh, I love my baby


Hey, everybody on the street, I see you smiling
Must be because I found my baby
You know she's got me on another kind of highway
I want to go to where it takes me


Hey, 98.6, it's good to have you back again
Oh, hey, 98.6, her lovin' is the medicine
That saved me, oh, I love my baby

You know she's got me on another kind of highway
I want to go to where it takes me


Hey, 98.6, it's good to have you back again
Oh, hey, 98.6, her lovin' is the medicine
That saved me, oh, I love my baby

***********************************************************************

 ”おはよう、太陽。輝いてる君に会えて嬉しいよ

  彼女が君を連れて来てくれたんだね

     彼女は昨日キスをしてくれたんだ ハロー 銀色の光(*希望の兆しの意)

   君のおかげで僕の中に春と夏が駆け抜けていったような気分だ

 

     ヘイ!98.6 君が戻って来てくれてうれしいよ

  ヘイ!98.6   彼女の愛は僕を救った薬さ

  彼女を愛してるんだ

 

  ヘイ!通りをゆくみんなが笑顔を浮かべてるのは

  僕に彼女ができたからにきまってる

  彼女はまた別のハイウェイに僕を連れていってくれた

  その道が導くままに 僕は行くのさ

 

     ヘイ!98.6 君が戻って来てくれてうれしいよ

  ヘイ!98.6  彼女の愛は僕を救った薬さ

  彼女を愛してるんだ                                        "   (拙訳)

 

****************************************************************************

   

 彼女ができて、なんかもう、おめでたいくらいに、むちゃくちゃ元気になった男の歌です。

 

「98.6」は華氏の温度。摂氏にすると37度くらいなので、人の平熱です。

 彼女のおかげでやっと平熱に戻って来たよ、人間に戻れたよ(?)、

という感じなんでしょう。

 それまでは、冷えきった気持ちで生きていたんでしょうね。

 恋で熱に浮かされる、という表現は昔からよくありましたが、恋して平熱に戻って来たという表現は新鮮ですね。

 

   キース本人はこの歌がヒットする(全米7位)なんて微塵も思わなかったようで、レコーディング後にガールフレンドに

”自分でも信じられないんだけど、人間の体温に関係した歌を録音して来たんだよ”

  と話したのだそうです。仕事で変な曲を歌わされたよ、くらいな気持ちだったのでしょう。

                   (参考:Songfacts)

 

 作詞したのはトニー・パワーズ。作曲はジョージ・フィショフ。

 ちなみに、トニー・パワーズはジェリー・リーバー&マイク・ストーラーのもとでキャリアを始めた人で、エリー・グリニッチとのコンビでフィル・スペクターとも仕事をしています。

 スパンキー&アワ・ギャングの「LAZY DAY(青空は恋の色)」もこのコンビが手がけています。

www.youtube.com

 

 キースはフィラデルフィア出身。同じくフィラデルフィアで活動していたプロデューサーのジェリー・ロスと出会い彼のプロデュースで、”キース&アドミレイションズ”というグループとしてコロンビア・レコードから一枚シングルをリリースしています。


TEEN GROUP Keith and The Admirations - Caravan of lonely men

   このシングル「Caravan of lonely men」はラファイエッツというグループのカバーで、ジェフ・バリーが作者に名を連ねています。ジェフ・バリーはエリー・グリニッチとのコンビでロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」などを書いた人ですね。

 

 アレンジはジミー・ワイズナー。ジェリー・ロスは自身のプロデュース作品ではアレンジャーはジミー・ワイズナーとジョー・レンゼッティの二人を主に使っていました。

 ちなみに、この曲、日本でも克美しげるが「夜霧のロンリー・メン」なるタイトルでカバーしています。

 そして、シングルのカップリングの「Dreams」はジェリーとジョー・レンゼッティが作者に名を連ね、アレンジはジョーが担当しています。


Keith and The Admirations - Dream - Nice 4 Seasons Style Doo Wop

 

 その後、ジェリーがマーキュリー・レコードのA&Rになったときに、彼がキースをソロ・アーティストとして一緒に連れて行くことになり、その結果「98.6」が生まれたというわけです。

 

 また、キースの作品に影響を受けたのが若き山下達郎で、その代表的な曲が「パレード」なんですが、その「パレード」の収録されたアルバム「ナイアガラ・トライアングルVOl.1」には、ジェリー・ロス、ジミー・ワイズナー、ジョー・レンゼッティ、キースに捧げる、とクレジットされています。

 

 こちらが、「98.6」の前のシングル「Ain't Gonna Lie」(邦題「嘘はつかない」)。「パレード」に一番近いのはこれでしょうか。やはり、トニー・パワーズ&ジョージ・フィショフの作です。

www.youtube.com

 シングルにはなっていませんが、パワーズ&フィショフの作品をもう1曲。

「Sweet Dreams」


Sweet Dreams (Do Come True)

 

 

98.6 ベスト・オブ・キース

98.6 ベスト・オブ・キース

  • アーティスト:キース
  • ユニバーサル
Amazon

 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com