おはようございます。
今日は大貫妙子の「サマー・コネクション」です。
穏やかでいながら凛とした印象の強い彼女ですが、キャリアの初期には軽快なポップスもやっていました。その代表がこの曲でしょう。
ここ数年日本のシティポップがネットを介して海外で人気になっています。日本でもシティポップを好きな若いミュージシャン、アーティストが増えています。
この曲の収録されたアルバム「SUNSHOWER」もその1枚で、一昨年TV番組「YOUは何しに日本へ?」で、このアルバムを探しにアメリカから日本へやって来た男性が紹介されて話題になりました。
洋楽に憧れ、追いかけ続けたのが日本のポップスですが、70年代半ばあたりから、楽曲のクオリティ、ミュージシャンの技量、センスなどが飛躍的に上がって、80年代半ばくらいまでの時代は、「洋楽に最接近」したとも言えるのではないかと思います(その後は、”ガラパゴス化”に向かって今に至りますが、、)。
「SUNSHOWER」も、編曲を担当した坂本龍一を始め、まだ若くて凄腕のミュージシャンが集まって作られています。ドラムスだけはフュージョンのスーパーバンド”スタッフ”のクリス・パーカー を招聘し、そのことでアルバム全体の安定感は増したような気がします。
実はこの曲は、2ヴァージョンあります。「サマー・コネクション」と「Summer Connection」。カタカナ・タイトルはシングルでアルバム制作前に作られたもの。英語表記はアルバム用に新たにレコーディングされたものです
シングル・ヴァージョンのドラムスはクリス・パーカーではなく、村上”ポンタ”秀一。ずっしりとしていながら緻密なクリスと対照的に勢いや躍動感のあるドラミングが聴けます。シングルの方がテンポがはやく、彼女の歌も明るい印象があります。
他もギターが鈴木 茂、松木恒秀、ベースが田中章弘、パーカッションが斉藤ノブと、この時代最高に勢いのあったメンツが集まっています。
アルバム・ヴァージョンはクリス・パーカー以外は、エレピ(ローズ)が 今井 裕 ギターは 松木恒秀、ギター・ソロは大村憲司 ベースが 後藤次利、パーカッションが斎藤ノブ、コーラスには山下達郎が参加しています。
こちらがアルバムに収録された「Summer Connection」
「サマー・コネクション」は、まだ若く才能のあるミュージシャンたちの勢いがそのまま音になったような、心踊るできあがりだと思います。
それに対して「Summer Connection」はアメリカのスーパー・ドラマーと一緒にやるという緊張感もあってか、少し大人な、とても洋楽的に仕上がっている感じがします。
その頃、アメリカではポップスが成熟していきジャズやロックと融合したクロスオーヴァーというジャンルが人気になっていましたが、「Summer Connection」はその”クロスオーバー”に日本人も挑んでみた作品とも言えると思います。
「サマー・コネクション」の方は、歌謡曲、フォーク全盛期から、今でいう”シティポップ”を若いミュージシャンたちが作り始めた、その時代をくっきり反映しているように思えます。
同じ曲でアレンジの方向性も基本的に一緒なのに、プレイヤーが変わることで曲のトーンがグッと変わってしまう。それによって歌のニュアンスも変わり、全体の印象も違ってくる。そういうことも、音楽の醍醐味だなあ、と再確認させていただきました。
最後に、アルバム「SUNSHOWER」から、シティポップ・ブームで大人気の「都会」を。この曲のベースは細野晴臣。
「Summer Cinnection」「都会」に加え「サマー・コネクション」がボーナス・トラックで収録されています。