まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛のハーモニー(That's What Friends Are For)」ディオンヌ&フレンズ(ディオンヌ・ワーウィック、スティーヴィー・ワンダー、グラディス・ナイト、エルトン・ジョン)(1985)

おはようございます。

今日はディオンヌ&フレンズの「愛のハーモニー」です。

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And I never thought I'd feel this way
And as far as I'm concerned
I'm glad I got the chance to say
That I do believe I love you
And if I should ever go away
Well then, close your eyes and try
To feel the way we do today
And then if you can remember


Keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me for sure
That's what friends are for
For good times and bad times
I'll be on your side forevermore
That's what friends are for


Well, you came and opened me
And now there's so much more I see
And so, by the way, I thank you
Oh, and then, for the times when we're apart
Well then, close your eyes and know
These words are comin' from my heart
And then if you can remember, oh


Keep smiling, keep shining
Knowing you can always count on me for sure
That's what friends are for
In good times, in bad times
I'll be on your side forevermore
Oh, that's what friends are for, oh


Oh, keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me for sure
That's what friends are for
For good times and bad times
I'll be on your side forevermore
That's what friends are for


Keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me, oh, for sure
'Cause I tell you that's what friends are for
For good times and for bad times
I'll be on your side forevermore, oh
That's what friends are for


On me for sure
Count on me for sure
Count on me for sure
That's what friends are for
Keep smilin', keep shinin'

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こんな気持ちになるとは思いもしなかった
そして、私にしてみたら
言えるチャンスがあってうれしいの
あなたを愛していると強く思っていると
もし私がいなくなったら
その時は、目を閉じて
今日の私たちのような気持ちになってみて
そして、もしあなたが思い出せるなら、、


笑顔を絶やさず、輝き続けて
いつだって私を頼っていいのよ
それが友達というもの
いい時も悪い時も
永遠に君の味方でいるわ
それが友達というもの


君がやって来て、僕の心を開いてくれた
そして今はもっと多くのことが見える
だから、ついでに、君に感謝するよ
そして、二人が離れている時には
目を閉じて、知るんだ
この言葉が僕の心からのものだと
そして、もし君が思い出せるなら、、


笑顔を絶やさず、輝き続けて
いつだって僕を頼っていいんだ
それが友達というものさ
いい時も悪い時も
永遠に君の味方でいるよ
それが友達というものさ


笑顔を絶やさず、輝き続けて
いつだって私を頼っていいのよ
それが友達というもの
いい時も悪い時も
永遠にあなたの味方でいるわ
それが友達というもの


笑顔を絶やさず、輝きを絶やさず
いつでも僕を頼っていいんだよ。
言っただろ、それが友達というのもさ
いい時も悪い時も
いつまでも君の味方でいよう
それが友達というものだ


私に頼って 
僕に頼って 僕に頼って
それが友達といいもの
笑顔を絶やさず、輝き続けて、、

            (拙訳)

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 この曲はもともと1982年の映画「ラブ IN ニューヨーク(NIGHT SHIFT)」のためにバートバカラックキャロル・ベイヤー・セイガーが書いた曲で、ロッド・スチュワートが歌っていました。

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 映画は『ビューティフル・マインド』や『ダ・ヴィンチ・コード』で知られるロン・ハワードの第2作目で、死体置き場の夜勤(Night Sift)が主役の都会型のコメディで僕はけっこう好きでした。

 

 この曲を作るのにはかなり手間取ったようで、バカラックが最初作ったブリッジをキャロルが気に入らなかったために書き直したり、曲の冒頭の「ダ、ダン」という音符二つのところに、キャロルが"I”という一音の言葉を入れたことで大もめしたりしたそうです(”And I”とすることで解決しました)。バカラックは常に、16音符一つ必要かどうかを1時間音楽室にこもって考えることなんてざらにあったとキャロルは語っています。

 

 しかし、ロッドの歌ったテイクをバカラックもキャロルも気に入ってなかったらしく、ディオンヌ・ワーウィックにニュー・アルバムの候補曲として聴かせたところ、彼女も気に入り、レコーディングすることになりました。

 

 バカラックはこう語っています。

「女性ヴォーカルがもうひとり必要だと考えたわたしはグラディス・ナイトを招き入れ、するとディオンヌもクロマティック・ハーモニカと歌で、スティーヴィー・ワンダーに協力を仰いだ。曲の構成からすると、さらにもうひとりの声が必要だったので、わたしはホームランを打てるクリーンナップのバッターを起用したいと考えた。私の頭にあったのは、つねづねとてもクールで、信じられないほどすばらしいシンガーだと思っていたルーサー・ヴァンドロスだった」

 (「バート・バカラック自伝 ザ・ルック・オブ・ラヴ」)

 

 第一候補はエルトン・ジョンじゃなく、ルーサー・ヴァンドロスだったんですね。ルーサーは1981年にバカラックの「ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム」をカバーし、このヴァージョンをこの曲のベストだとバカラックは絶賛していました。しかし、レコーディングしてみるとうまく合わなかったため、バカラックエルトン・ジョンを代わりに起用することにしたようです。

 

 ルーサー・ヴァンドロスがどう合わなかったのか、これが謎です。この当時、R&Bシーンのみならずポピュラー・ミュージック界においても、最も歌の上手い男性シンガーだったと言っていいルーサーが、この曲を上手く歌えなかったというのは想像できません。

 そんな、ことを考えながらYouTubeを見ていたら、この曲をルーサーが歌っている動画がありました、ディオンヌ、スティーヴィーにルーサー、ホイットニー・ヒューストン。1986,7年ころのもののようです。

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 これは僕の勝手な考えですが、ルーサーがあまりに歌えすぎたんのが裏目に出たような気がします。この動画でもホイットニーとルーサーの二人が完全に持っていっちゃってますしね。ディオンヌとのバランスをバカラック考えたんじゃないかと。あと、この曲の歌詞、曲調からも、もうちょっとさりげなく、ストレートなニュアンスを求めていたのかもしれないですね。ルーサーの代わりをR&B系じゃない、エルトンにしたことからも想像できるような気がします(といいながら、このメンツに入ったエルトンは、いつになく熱唱していますが、、)。

 しかし、ホイットニーとルーサーの見事な歌いっぷりを聴きながら、二人とももうこの世にいないんだなあと思うと切なくなります。

 

 そうやって、聴き比べてみるとディオンヌ・ワーウィックというのは本当に稀有なシンガーですね。R&Bはゴスペルっぽい熱唱型の歌い手が多いですが、彼女の場合はそうではないですよね。歌い上げるんじゃなくて、曲の最初から最後までを絶妙に流れるように歌います。特に、平歌(サビの前までの部分)が絶品です。熱唱型は多くの場合、平歌をサビまでの助走みたいに、力をためて歌うような人が結構いますが、ディオンヌはあんなにさりげなく力を抜いているのに、全然揺れたりブレたりせず、彼女らしいエレガントなニュアンスを出しています(こういう平歌のテクニックの方がサビを熱唱するより実は難しかったりします)。

 

 グラディス・ナイトは熱唱型ではありますけど、やり過ぎなくて品格が感じます。だからディオンヌとのバランスもすごくいいように思えます。

 

 実は、当時この曲は僕はバカラックの中ではそんなにいい曲では思ってなくて、ちゃんと聴いてなかったんですけど、あらためて聴くと、こういう一流の歌力と調和して実に聴き応えのある曲だと、あらためて気づかされます。

 

 この曲の動画はいろんな年代のライヴ動画がたくさんあって興味深いのですが、その中から、ディオンヌ、グラディス、スティーヴィーにバカラック、キャロルが加わったものを最後に。

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