おはようございます。
今日はディオンヌ・ワーウィックの名バラード「涙の別れ道」です。
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You looked inside my fantasies and made each one come true
Something no one else had ever found a way to do
I've kept the memories one by one, since you took me in
I know I'll never love this way again
I know I'll never love this way again
So I keep holdin' on before the good is gone
I know I'll never love this way again
Hold on, hold on, hold on
A fool will lose tomorrow reaching back for yesterday
I won't turn my head in sorrow if you should go away
I'll stand here and remember just how good it's been
And I know I'll never love this way again
I know I'll never love this way again
So I keep holdin' on before the good is gone
I know I'll never love this way again
Hold on, hold on, hold on
I know I'll never love this way again
So I keep holdin' on before the good is gone
I know I'll never love this way again
Hold on, hold on
I know I'll never love this way again
So I keep holdin' on before the good is gone
I know I'll never love this way again
Hold on, hold on
Writer/s: RICHARD KERR, WILL JENNINGS
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あなたは私の夢の世界をのぞきこみ ひとつひとつを叶えてくれた
他の誰も見つけられなかった方法で
あなたが私を連れていってくれてから
思い出をひとつひとつ大切にしまってきた
もう、こんな風に人を愛することはないはず
わかってるわ、もうこんな風に人を愛することはない
だから、これからもがんばってゆく 幸せが消えてしまう前に
わかってる、もうこんな風に人を愛することはないって
がんばって がんばってゆくの、、
愚かな人は昨日に手を伸ばして 明日を失ってしまう
もしあなたが去ることになっても 悲しみで振り返りはしない
ここに立ち続けて どれだけ素晴らしい恋だったか思い出すの
もう、こんな風に人を愛することはない、と
わかってるわ、もうこんな風に人を愛することはない
だから、これからもがんばってゆく 幸せが消えてしまう前に
わかってる、もうこんな風に人を愛することはないって
がんばって がんばってゆく、、
(和訳)
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「恋よさようなら」「小さな願い」「ウォーク・オン・バイ」など 1960年代にバート・バカラック&ハル・デヴィッド作品を象徴するシンガーとして大ヒットを飛ばしていたディオンヌ・ワーウィックですが、1970年代に入ると一気に失速してしまいます。
1974年にフィラデルフィア・ソウルのトム・ベルがプロデュースしスピナーズと共演した「Then Came You」が全米1位になりましたが、その後の彼女のソロ作品は9曲中8曲がチャートにすら入らないという大不振におちいってしまいました。
そんな彼女を迎え入れて復活のシナリオを書いたのが、クライヴ・デイヴィス率いる”アリスタ・レコード”でした。
そして、アリスタの稼ぎ頭であり”クライヴイズム”(今僕が勝手に作りました、、クライヴ・デイヴィス流プロデュース術みたいなもの)を最もよく理解しているバリー・マニロウが彼女のプロデュースを手がけることになりました。
ちなみに、彼は歌手で成功する以前に、ベッド・ミドラーのプロデューサーとして名を挙げた人です。
それから、 歌手とデビューしてから実は彼はディオンヌの前座をやったことがあり、そのときの彼のパフォーマンスを見てクライヴが契約を決めたというエピソードがあるそうです。ディオンヌは彼の恩人でもあったわけですね。
さて、そのバリーのプロデュースによるアルバムからのファースト・シングルに選ばれたのがこの「涙の別れ道」でした。
作詞はウィル・ジェニング。のちに、ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズの「愛と青春の旅立ち」、エリック・クラプトン「ティアーズ・イン・ヘヴン」、セリーヌ・ディオン「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」などを手がける、スタンダード・バラードの名手です。
作曲はリチャード・カー。バリー・マニロウの初ヒット「哀しみのマンデイ」を書き、その後ウィルとのコンビで「想い出の中に(Looks Like We Made It)」(全米1位)「夜のしじまに(Somewhere In The Night)」(全米9位)といったバリーの代表作を書いています。
バリーがプロデュースするにあたって、ベストの布陣だと言えます。
しかしこの曲はディオンヌに書き下ろした曲ではありませんでした。
最初に録音したのは70年代後半「チャーリーズ・エンジェル」で人気者になり、シンガーとしても「ダンス・フォーエヴァー」が日本でも大ヒットしたシェリル・ラッドでした。彼女が1978年のリリースしたファースト・アルバムに収録されています。
I Know I'll Never Love This Way Again
そして、その直後に作者のリチャード・カー自らが歌いリリースしています。
1st RECORDING OF: I’ll Never Love This Way Again - Richard Kerr (1978)
そして、昨日このブログに登場したノーランズも「ダンシング・シスター」の収録されたアルバムでこの歌を取り上げています。
ディオンヌのヴァージョンは全米最高5位まであがる大ヒットを記録。翌年のグラミー賞で最優秀女性ポップ・ヴォーカルを勝ち取り、見事にカムバックを果たし、第二の黄金期を迎えることになります。
この曲の歌詞についてウィル・ジェニングは
「時に、遅かれ早かれ、人は今まで達したことがない高みに到達する。だけど、その高みには二度と手は届かない。これはそういうストーリーなんだ」
(Songfacts)
この曲に僕が惹かれるのは”毅然とした品格”のようなものを感じるからで(歌に毅然とした品格なんて求めなくても別にいいのでしょうけど、、)、そこに最もぴったり合う品格で歌い切ったのが、ディオンヌだったように思います。感情を込めるのではなく、キリッと歌ったほうがいいバラードのように思います。
さて、この曲のカバーの中で僕がおすすめしたいのがジェストンという女性シンガーの2013年のヴァージョン。
イギリス出身でオックスフォード大時代に南米に興味を持ち、歌手になるためにブラジルに渡りリオのストリートで歌い話題になりデビューしたというプロフィールの持ち主です。
このビデオ・クリップではまさにリオで歌う彼女の映像が収められています。
彼女の歌いっぷりもまた毅然としています。
Jesuton - I'll Never Love This Way Again [Clipe Oficial]
最後にもう1曲。「涙の別れ道」の翌年に、同じウィル・ジェニングスとリチャード・カーのコンビの作品をリリースしていますが、その「愛の面影(No Night So Long)」(1980年全米23位)を。
「涙の別れ道」「愛の面影」、それに「愛のハーモニー」「ハートブレイカー」も収録したベスト